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第29話
はあ疲れた。
でも彼女達みたいに聞きに来てくれれば弁明もできるけど、このままだとフランシスク様に迷惑がかかるわ。というか、かかっているわよね。
このままだと、彼の名誉が傷つく。
かと言って、フランシスク様が我が家に毎日に来ている事を誓約書の件を抜きにして説明するのは難しいのよね。
家に帰れば、アンナがガストン様と楽しそうにおしゃべりをしている。こっちの気も知らないで。
「アンナ。ちょっとお話があるのだけど」
「なーに?」
「二人で……」
「僕がいたら話せない内容なのか?」
そうね。いても大丈夫な話よね。
「あなた、フランシスク様がここでタダ働きをしていると学校で話したわね」
「え、知らない」
「本当の事じゃないか」
だからこそ、困っているんじゃない。
「いい? 彼は領主の息子なのよ。その彼がタダ働きなんて、名誉が傷つくでしょう。
「ふん。あいつが言い出した事だろう」
「そ、そうよ。それに噂なんて、尾びれ背びれがついて大きくなっていくものでしょう」
「………」
それにしては、的を得たというか事実だけど、釈明しづらい事ばかりが噂になっているのよね。
「だとしても、貴族がいえ領主の息子がタダ働きしているという噂になんてなるわけないでしょう」
「あらレネット。噂をアンナのせいにしないで頂けるかしら? そもそもあなたの噂というより、彼の噂なのでしょう。たまたまタダ働きしているという先がここなだけ。迷惑を掛けられている立場ではありませんか」
いつの間にか話を聞いていたエルダ夫人が、口を挟んで来た。
確かにエルダ夫人が言うように、元はフランシスク様の婚約解消の噂から。それが今は私のせいとなっている。
婚約解消とかがなければ、フランシスク様が葬儀に参列していてもこんな噂話にはなっていない。
まあ婚約者がいるのに、クラスメイトの家に通い詰めているのは、悪い噂にはなっただろうけど。
けど、私にはこの噂は悪意があって流されていると思っている。
一旦収まったのに、話さなければ知り得ない内容まで噂として流れているのだから。
「噂を流したのがアンナなら、迷惑を掛けられているのはフランシスク様という事になると思うのですが?」
「あいつの行動の結果だろう?」
「そうよレネット。抗議はマスティラン子息にするべきよ。まあ私達の身分では難しいわよね。彼の名誉が云々というのなら、ここに来ない様にいうしかないと思うわよ」
「………」
エルダ夫人の言葉に二人は頷いている。
そう言う事ね。
私からフランシスク様に言えば、ここに来なくなる。噂を上手く使ったのね。
さすがアンナの母親。彼女を上手く使っているわ。
でも困ったわね。
ここまで噂が広がっていたら、フランシスク様がここに来なくなったからと言って、消えないでしょう。
ほとんどが事実で、フランシスク様と私の立場が悪くなっているのだから。
せめて、アンナを追い出しているみたいな噂をなくさないと。
「わかったわ。噂の大半は事実だものね。でも、事実ではないものは、ちゃんと否定してちょうだい」
「そんな噂あったの?」
白々しい。ことんと顔を傾けるのもあざとい。
「フランシスク様が来るからと、その間あなたが追い出されているって話しよ」
「あ、ごめんなさい。あの人と会うのが嫌で、すぐに街に出かけていたからだわ。きっと誤解されちゃったのね」
うん? 本当に出かけていたの?
帰ってきたら薬師の仕事をしていたから気づかなかったわ。
そもそも仕事場に来なければ、フランシスク様と会う事なんてないじゃないの。
「理由はどうあれ、出かけるのまで制限をかけるというの?」
「そ、そういうわけでは……ただ、その為に婚約者であるガストン様をアンナに押し付けているって噂まであるようだから」
「へえ。そうなんだ。帰りにアンナを拾って帰って来てるから、見られたのかもな」
なんですって!
アンナに手を出していないでしょうね。
でも二人が一緒のところを見られても、私が押し付けた事になっちゃうのは理不尽だわ。
私ってそんなに悪役に見えるのかしらね。
でも彼女達みたいに聞きに来てくれれば弁明もできるけど、このままだとフランシスク様に迷惑がかかるわ。というか、かかっているわよね。
このままだと、彼の名誉が傷つく。
かと言って、フランシスク様が我が家に毎日に来ている事を誓約書の件を抜きにして説明するのは難しいのよね。
家に帰れば、アンナがガストン様と楽しそうにおしゃべりをしている。こっちの気も知らないで。
「アンナ。ちょっとお話があるのだけど」
「なーに?」
「二人で……」
「僕がいたら話せない内容なのか?」
そうね。いても大丈夫な話よね。
「あなた、フランシスク様がここでタダ働きをしていると学校で話したわね」
「え、知らない」
「本当の事じゃないか」
だからこそ、困っているんじゃない。
「いい? 彼は領主の息子なのよ。その彼がタダ働きなんて、名誉が傷つくでしょう。
「ふん。あいつが言い出した事だろう」
「そ、そうよ。それに噂なんて、尾びれ背びれがついて大きくなっていくものでしょう」
「………」
それにしては、的を得たというか事実だけど、釈明しづらい事ばかりが噂になっているのよね。
「だとしても、貴族がいえ領主の息子がタダ働きしているという噂になんてなるわけないでしょう」
「あらレネット。噂をアンナのせいにしないで頂けるかしら? そもそもあなたの噂というより、彼の噂なのでしょう。たまたまタダ働きしているという先がここなだけ。迷惑を掛けられている立場ではありませんか」
いつの間にか話を聞いていたエルダ夫人が、口を挟んで来た。
確かにエルダ夫人が言うように、元はフランシスク様の婚約解消の噂から。それが今は私のせいとなっている。
婚約解消とかがなければ、フランシスク様が葬儀に参列していてもこんな噂話にはなっていない。
まあ婚約者がいるのに、クラスメイトの家に通い詰めているのは、悪い噂にはなっただろうけど。
けど、私にはこの噂は悪意があって流されていると思っている。
一旦収まったのに、話さなければ知り得ない内容まで噂として流れているのだから。
「噂を流したのがアンナなら、迷惑を掛けられているのはフランシスク様という事になると思うのですが?」
「あいつの行動の結果だろう?」
「そうよレネット。抗議はマスティラン子息にするべきよ。まあ私達の身分では難しいわよね。彼の名誉が云々というのなら、ここに来ない様にいうしかないと思うわよ」
「………」
エルダ夫人の言葉に二人は頷いている。
そう言う事ね。
私からフランシスク様に言えば、ここに来なくなる。噂を上手く使ったのね。
さすがアンナの母親。彼女を上手く使っているわ。
でも困ったわね。
ここまで噂が広がっていたら、フランシスク様がここに来なくなったからと言って、消えないでしょう。
ほとんどが事実で、フランシスク様と私の立場が悪くなっているのだから。
せめて、アンナを追い出しているみたいな噂をなくさないと。
「わかったわ。噂の大半は事実だものね。でも、事実ではないものは、ちゃんと否定してちょうだい」
「そんな噂あったの?」
白々しい。ことんと顔を傾けるのもあざとい。
「フランシスク様が来るからと、その間あなたが追い出されているって話しよ」
「あ、ごめんなさい。あの人と会うのが嫌で、すぐに街に出かけていたからだわ。きっと誤解されちゃったのね」
うん? 本当に出かけていたの?
帰ってきたら薬師の仕事をしていたから気づかなかったわ。
そもそも仕事場に来なければ、フランシスク様と会う事なんてないじゃないの。
「理由はどうあれ、出かけるのまで制限をかけるというの?」
「そ、そういうわけでは……ただ、その為に婚約者であるガストン様をアンナに押し付けているって噂まであるようだから」
「へえ。そうなんだ。帰りにアンナを拾って帰って来てるから、見られたのかもな」
なんですって!
アンナに手を出していないでしょうね。
でも二人が一緒のところを見られても、私が押し付けた事になっちゃうのは理不尽だわ。
私ってそんなに悪役に見えるのかしらね。
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