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第43話
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「あの、フランシスク様は、どのような対策をするつもりなのでしょうか」
「そうだよね。聞かないと判断できないよね。まずは、今回聞いた話の裏を取るよ。相手は役人だ。捏造だとは言わないだろう」
「そうでしょうか……」
クラスメイトなだけで、私側の人間だと言った人たちだからなぁ。
「そのまま伝えればいいんだよ。ただ、君の父親の件は許せない噂だけどね」
そうだった!
それも書いたんだったわ。ワザと流したのか調べて貰おうと思ったんだったわ。
「あの、えーと」
「こんな噂は、あってはいけない事だからね」
「えぇ。まあ」
「君も傷ついたよね」
「驚きましたけど、普通そんな事を本人に言わないと思うので、その、対応した職員の方だけなんではないかなぁ」
「報告は上げておくから、大丈夫。君はこの態度を通報した事にして、その事の裏どりでルトルン子息を見たという事も確証を得た事にすればいい。というか、まんまだね」
私は、そうですねと頷いた。
「ただ問題は、彼に言うタイミングだね。私達だけではなく、プロンテヌ侯爵がいる時が望ましい。連絡を取ってこちらに来るとなると、十日はみないとダメだろうね」
「はい。そうですね」
「その間、証拠固めしておくよ。そして、婚約破棄状を叩きつけよう!」
「はい!」
その後30分ぐらい、二人で楽しく紅茶を飲んで屋敷に帰った。
書類を提出したと話すとガストン様は、上機嫌になった。書類が、抗議のものだとは知らないからね。
一応、証拠として残す為にあの場で書き、フランシスク様が持ち帰った。
そう言えば、何かを忘れているような気がするわ。
その忘れていた事は、数日後何だか発覚した。
「これは何!」
エルダ夫人が、学園から帰るなり私に手紙を見せ憤慨している。
それは、プロンテヌ侯爵からの抗議文だった。
そうだったわ。送るって返事がきていたのを忘れていたわ。
フランシスク様に言うのも忘れてた!
あ、でも、プロンテヌ侯爵から連絡行ってるかな? あの時は、知らない様子だったけど。
「チクったのかよ!」
チクったと言う事は、悪い事をしているという認識があるって事よね。
「そりゃそうでしょう。偽造して書類を提出しなければ、レリーフの事を知り様ないではありませんか。もし、レリーフを作っていなくてその書類が通ってしまっていれば、偽造罪ですわ」
「あら嫌だ。手間を省いただけではありませんか」
「手間だなんて。一緒に住んでいるのですから、言うだけで済むではないですか。私は何も聞かされていなかったですよ」
「まあいいわ。口出しをしたのですから、誓約書を無効できるわね!」
「はい!?」
まさかそっちへ持って行くとは思わなかったわ。
わかっているのかしら? 誓約書を無効にする証拠が必要な事を。それは、今エルダ夫人が手にしているプロンテヌ侯爵からの抗議文だと。その内容が検討されるって言う事を。
「そうよね。私は迷惑を掛けていないのに口出ししたのだものね」
「そうだ。僕だって君に手を出していない!」
そう言えば、ガストン様とのデートの件がいつのまにかうやむやに! いやしたいとは思ってないけど。
「さあ、誓約書無効の手続きをしにいきましょう!」
「本気ですか? その抗議文を証拠として提出するつもりですか? それって、犯罪未遂しましたって言っているようなものよ」
そう言うと、エルダ夫人がニヤリとする。
「あら嫌だ。レリーフを押す前にガストンが持って行ってしまっただけではありませんか。それをあなたが騒ぎ立て、プロンテヌ侯爵に連絡してこうなったのよ」
ガストン様とアンナがそうそうと頷いていた。
サインだけの書類を提出しようとした事は実証できても、私が書いたサインではなかったと今更実証しようがないって事!?
「あぁ、あなたも来る? ガストンが偽造したのは本当だと証言でもする? それ、あなたにメリットあるかしら?」
「………」
確かに婚約破棄を出来るだけで、メリットなどないわ。いいえ、婚約者が犯罪者だという醜聞が広まるだけだわ。
もしかして、私がプロンテヌ侯爵に手紙で知らせるかもって思って言ってきた事なの? レリーフを押せって!
まあその後の事は、憤ったガストン様が仕出かした事だと思うけど。
三人が嬉しそうに出かけて行く姿を私はただ見送る事しかできなかった。
「そうだよね。聞かないと判断できないよね。まずは、今回聞いた話の裏を取るよ。相手は役人だ。捏造だとは言わないだろう」
「そうでしょうか……」
クラスメイトなだけで、私側の人間だと言った人たちだからなぁ。
「そのまま伝えればいいんだよ。ただ、君の父親の件は許せない噂だけどね」
そうだった!
それも書いたんだったわ。ワザと流したのか調べて貰おうと思ったんだったわ。
「あの、えーと」
「こんな噂は、あってはいけない事だからね」
「えぇ。まあ」
「君も傷ついたよね」
「驚きましたけど、普通そんな事を本人に言わないと思うので、その、対応した職員の方だけなんではないかなぁ」
「報告は上げておくから、大丈夫。君はこの態度を通報した事にして、その事の裏どりでルトルン子息を見たという事も確証を得た事にすればいい。というか、まんまだね」
私は、そうですねと頷いた。
「ただ問題は、彼に言うタイミングだね。私達だけではなく、プロンテヌ侯爵がいる時が望ましい。連絡を取ってこちらに来るとなると、十日はみないとダメだろうね」
「はい。そうですね」
「その間、証拠固めしておくよ。そして、婚約破棄状を叩きつけよう!」
「はい!」
その後30分ぐらい、二人で楽しく紅茶を飲んで屋敷に帰った。
書類を提出したと話すとガストン様は、上機嫌になった。書類が、抗議のものだとは知らないからね。
一応、証拠として残す為にあの場で書き、フランシスク様が持ち帰った。
そう言えば、何かを忘れているような気がするわ。
その忘れていた事は、数日後何だか発覚した。
「これは何!」
エルダ夫人が、学園から帰るなり私に手紙を見せ憤慨している。
それは、プロンテヌ侯爵からの抗議文だった。
そうだったわ。送るって返事がきていたのを忘れていたわ。
フランシスク様に言うのも忘れてた!
あ、でも、プロンテヌ侯爵から連絡行ってるかな? あの時は、知らない様子だったけど。
「チクったのかよ!」
チクったと言う事は、悪い事をしているという認識があるって事よね。
「そりゃそうでしょう。偽造して書類を提出しなければ、レリーフの事を知り様ないではありませんか。もし、レリーフを作っていなくてその書類が通ってしまっていれば、偽造罪ですわ」
「あら嫌だ。手間を省いただけではありませんか」
「手間だなんて。一緒に住んでいるのですから、言うだけで済むではないですか。私は何も聞かされていなかったですよ」
「まあいいわ。口出しをしたのですから、誓約書を無効できるわね!」
「はい!?」
まさかそっちへ持って行くとは思わなかったわ。
わかっているのかしら? 誓約書を無効にする証拠が必要な事を。それは、今エルダ夫人が手にしているプロンテヌ侯爵からの抗議文だと。その内容が検討されるって言う事を。
「そうよね。私は迷惑を掛けていないのに口出ししたのだものね」
「そうだ。僕だって君に手を出していない!」
そう言えば、ガストン様とのデートの件がいつのまにかうやむやに! いやしたいとは思ってないけど。
「さあ、誓約書無効の手続きをしにいきましょう!」
「本気ですか? その抗議文を証拠として提出するつもりですか? それって、犯罪未遂しましたって言っているようなものよ」
そう言うと、エルダ夫人がニヤリとする。
「あら嫌だ。レリーフを押す前にガストンが持って行ってしまっただけではありませんか。それをあなたが騒ぎ立て、プロンテヌ侯爵に連絡してこうなったのよ」
ガストン様とアンナがそうそうと頷いていた。
サインだけの書類を提出しようとした事は実証できても、私が書いたサインではなかったと今更実証しようがないって事!?
「あぁ、あなたも来る? ガストンが偽造したのは本当だと証言でもする? それ、あなたにメリットあるかしら?」
「………」
確かに婚約破棄を出来るだけで、メリットなどないわ。いいえ、婚約者が犯罪者だという醜聞が広まるだけだわ。
もしかして、私がプロンテヌ侯爵に手紙で知らせるかもって思って言ってきた事なの? レリーフを押せって!
まあその後の事は、憤ったガストン様が仕出かした事だと思うけど。
三人が嬉しそうに出かけて行く姿を私はただ見送る事しかできなかった。
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