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第42話
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「やあ、昨日ぶりだね。って、呑気に挨拶している場合じゃなかったね。何があったの?」
「なぜ、フランシスク様が……」
にっこり微笑んで入って来たフランシスク様は、挨拶した後に真面目な顔つきになった。
そう言えばここの甘味処は、マスティラン侯爵家屋敷の横だったわね。
「じゃ、それから話す?」
「え? あ、はい」
フランシスク様に促され、ふんわりしたソファーに座れば、カートに乗せて持ってきた紅茶を入れて、甘味と一緒にテーブルの上に置いた。
侯爵家の息子が茶を入れているわよ、奥さん!
って落ち着け私。
自分で淹れて飲む方もいる。私も淹れて飲むし。私の場合は、前世の記憶があるからだけど。
「どうぞ。遠慮しないで飲んで。淹れたのは私だけど、ここの紅茶とお菓子だから、味は保証するよ」
「え? あ、はい。ありがとうございます。頂きます」
取りあえず、落ち着く為にも紅茶を頂いた。
「美味しい。この前来た時と違う紅茶だわ」
「私が一番好きな紅茶なんだ」
「そうなんですかぁ」
っは! 和んでいる場合ではなかったわ。
「えーと、それで……」
「そうだったね。もしなにかあったら君がここに来るからその時は宜しくと、プロンテヌ侯爵から頼まれていてね」
「え……では、プロンテヌ侯爵と連絡を取れるわけではないのですか?」
「……申し訳ない。私では頼りないか」
「そ、そういうわけではないです! ただ、ちょっと……」
私は目を泳がせてしまう。
だって彼の領地の役所の失態を話す事になるのだもの。
「もしかして、男の私に話しづらい何か起こった?」
心底心配そうにフランシスク様言われ、私は慌てた。
「違います! ただフランシスク様に話すのは少し躊躇われる内容なだけで」
「私に話しづらいのであれば、持参した手紙を受け取ってプロンテヌ侯爵に早馬で届けるよ」
「え……なぜ手紙を持って来ていると」
「さすがに本人が現れるなんて思ってなかったでしょう。手紙を早く届ける手段がここだと思って来るのではないかと思ってね」
その通りよ。
ここにプロンテヌ侯爵の関係者が居るものだと思っていたわ。まあある意味、フランシスク様も当てはまるかもしれないけど。
でも、これからの事を考えれば、フランシスク様に話した方がいいのかもしれないわね。
「では、これを読んで下さい」
「え? 私が読んでいいの?」
「はい。封切りますね」
封を切り中身を出して、手渡した。
「これ、本当の事?」
「はい。他の領地の息子が相手でしたので、承諾したのは何となくわかるのですが、その、私への態度はいかがなものかと、思ったりしまして。いや、それよりガストン様が浮気をしていて……」
私は、ギュッとスカートを握りしめる。
まさかこんな話をフランシスク様にする事になるとは思っていなかったので、情けない気持ちになってしまった。
「ふう。まさか、ここまで愚かだったなんて。役人も!」
あ、かなり怒っていらっしゃる?
「失礼。役所の事は対策をするよ。迷惑を掛けたね。で、新たに雇った薬師は今日も仕事を?」
「今日は、休みの日です。学園が休みの日は休みにしているんです。私もゆっくりしたいので」
「そうか。だったら至急、手配するね。少しの間失礼するよ。あ、お菓子はいっぱいあるから食べてて」
「え……ありがとうございます」
よく見れば、カートにまだお菓子が乗っている。
ふう。驚いた。
誰も居ないので、紅茶をグビグビと飲み干す。
「この紅茶おいしいわ」
勝手に紅茶のお代わりを自分で淹れる。
お菓子を食べていいというのだから、紅茶もいいわよね。
「お待たせ」
驚く事に15分程で戻って来た。
「ここにマスティラン家の方いらっしゃるのですか?」
「いやいや、違うよ」
先ほどと同じくテーブルを挟んだ向かい側にフランシスク様は座ると、カラクリ? を話してくれた。
屋敷を囲う塀には、正門の他にも門がありこの甘味処と接する様に門があって、敷地内を馬で移動するので時間はかからないそうです。はい。
ここは、マスティラン侯爵家が、密談に使う建物らしい。
いいのかしらそんな事を私に話して。
あれ? これも密談になるのかしら?
「色々とごめんね。ダマレドゴ嬢の事といい、君には迷惑ばかりかけたね。私が押し掛けた事により、あらぬ噂が立ってしまったし」
「いえ。流したのはアンナで間違いないと思いますので、フランシスク様のせいではありません」
「ありがとう。で、相談事の解決方法はプロンテヌ侯爵に一任されてはいるけど、どうする?」
どうすると言われても、フランシスク様は一体どうするつもりなのかしら。
「なぜ、フランシスク様が……」
にっこり微笑んで入って来たフランシスク様は、挨拶した後に真面目な顔つきになった。
そう言えばここの甘味処は、マスティラン侯爵家屋敷の横だったわね。
「じゃ、それから話す?」
「え? あ、はい」
フランシスク様に促され、ふんわりしたソファーに座れば、カートに乗せて持ってきた紅茶を入れて、甘味と一緒にテーブルの上に置いた。
侯爵家の息子が茶を入れているわよ、奥さん!
って落ち着け私。
自分で淹れて飲む方もいる。私も淹れて飲むし。私の場合は、前世の記憶があるからだけど。
「どうぞ。遠慮しないで飲んで。淹れたのは私だけど、ここの紅茶とお菓子だから、味は保証するよ」
「え? あ、はい。ありがとうございます。頂きます」
取りあえず、落ち着く為にも紅茶を頂いた。
「美味しい。この前来た時と違う紅茶だわ」
「私が一番好きな紅茶なんだ」
「そうなんですかぁ」
っは! 和んでいる場合ではなかったわ。
「えーと、それで……」
「そうだったね。もしなにかあったら君がここに来るからその時は宜しくと、プロンテヌ侯爵から頼まれていてね」
「え……では、プロンテヌ侯爵と連絡を取れるわけではないのですか?」
「……申し訳ない。私では頼りないか」
「そ、そういうわけではないです! ただ、ちょっと……」
私は目を泳がせてしまう。
だって彼の領地の役所の失態を話す事になるのだもの。
「もしかして、男の私に話しづらい何か起こった?」
心底心配そうにフランシスク様言われ、私は慌てた。
「違います! ただフランシスク様に話すのは少し躊躇われる内容なだけで」
「私に話しづらいのであれば、持参した手紙を受け取ってプロンテヌ侯爵に早馬で届けるよ」
「え……なぜ手紙を持って来ていると」
「さすがに本人が現れるなんて思ってなかったでしょう。手紙を早く届ける手段がここだと思って来るのではないかと思ってね」
その通りよ。
ここにプロンテヌ侯爵の関係者が居るものだと思っていたわ。まあある意味、フランシスク様も当てはまるかもしれないけど。
でも、これからの事を考えれば、フランシスク様に話した方がいいのかもしれないわね。
「では、これを読んで下さい」
「え? 私が読んでいいの?」
「はい。封切りますね」
封を切り中身を出して、手渡した。
「これ、本当の事?」
「はい。他の領地の息子が相手でしたので、承諾したのは何となくわかるのですが、その、私への態度はいかがなものかと、思ったりしまして。いや、それよりガストン様が浮気をしていて……」
私は、ギュッとスカートを握りしめる。
まさかこんな話をフランシスク様にする事になるとは思っていなかったので、情けない気持ちになってしまった。
「ふう。まさか、ここまで愚かだったなんて。役人も!」
あ、かなり怒っていらっしゃる?
「失礼。役所の事は対策をするよ。迷惑を掛けたね。で、新たに雇った薬師は今日も仕事を?」
「今日は、休みの日です。学園が休みの日は休みにしているんです。私もゆっくりしたいので」
「そうか。だったら至急、手配するね。少しの間失礼するよ。あ、お菓子はいっぱいあるから食べてて」
「え……ありがとうございます」
よく見れば、カートにまだお菓子が乗っている。
ふう。驚いた。
誰も居ないので、紅茶をグビグビと飲み干す。
「この紅茶おいしいわ」
勝手に紅茶のお代わりを自分で淹れる。
お菓子を食べていいというのだから、紅茶もいいわよね。
「お待たせ」
驚く事に15分程で戻って来た。
「ここにマスティラン家の方いらっしゃるのですか?」
「いやいや、違うよ」
先ほどと同じくテーブルを挟んだ向かい側にフランシスク様は座ると、カラクリ? を話してくれた。
屋敷を囲う塀には、正門の他にも門がありこの甘味処と接する様に門があって、敷地内を馬で移動するので時間はかからないそうです。はい。
ここは、マスティラン侯爵家が、密談に使う建物らしい。
いいのかしらそんな事を私に話して。
あれ? これも密談になるのかしら?
「色々とごめんね。ダマレドゴ嬢の事といい、君には迷惑ばかりかけたね。私が押し掛けた事により、あらぬ噂が立ってしまったし」
「いえ。流したのはアンナで間違いないと思いますので、フランシスク様のせいではありません」
「ありがとう。で、相談事の解決方法はプロンテヌ侯爵に一任されてはいるけど、どうする?」
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