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第40話
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「しかし妙だな」
馬車に乗り私の隣に座ったレオンス様が神妙な顔つきで呟く。
足と腕を組み考え込む姿は様になっている。ちょっと格好いいかも。って! 少し大人っぽくなったからよ。うん。気の迷いよ。
「妙って何が?」
「俺達がと言いながら、ターゲットがファビアな気がした」
「まあ女性の魔法博士は少ないからね」
「……いや俺が言っているのは、ガムン公爵だ」
「へ? なんで私が狙われるの? 接点ないのだけど」
「だよなぁ」
接点と言えば、タシデホア先生とガムン公爵にもないでしょう。仮にガムン公爵の策だとして、なぜ彼に命じたのよ。まあ風属性持ちの先生だからかもしれないけど。
貴族学園には、それぞれの属性持ちの五名の先生方が居る。いないのは闇属性の先生。
私が魔法陣をお願いした先生は、水属性の先生よ。水を吸収する水属性の魔法陣だからね。
それを消して、タシデホア先生が書き換えた。
消すのは簡単よ。水を使って発動させればいい。水魔法が使えなくてもいいし。後は、あの魔法陣に書き換えるだけ。
だけど、言われたからとやるだろうか。まあ脅されてさせられた可能性はあるけど。
それをさせる理由がわからない。
「大丈夫だって。何があっても俺が守ってやるから」
「べ、別に守ってもらわなくても大丈夫よ」
「いや君は大人しくしていた方がいい」
「でも、私がターゲットだとは限らないわ」
「いや君だろう。魔法陣が書き換えられていたし」
「魔法陣に細工したくても、あれしかなかったからではないですか?」
「王宮でも言ったけど、意地悪の域を出ているって」
そう言われても。それ以外の理由が思いつかない。
「まあ魔法陣の事は置いておくとしても、ガムン公爵の態度からして君だったのだろうな」
「え……」
「君は知らない様だけど、タシデホア先生の本家はガムン公爵家だ」
「な、何でもご存じナノデスネ」
「自分が通う学園だ。魔法博士のバックくらい調べておくさ」
「さすが、本家本元。高位貴族様ですね」
「だから嫌なんだよなぁ。高位貴族って」
それ、私達を見送ってくれた二人の先生のセリフでは?
「でもタシデホア先生がガムン公爵の傍系なら、事件を隠蔽しようとしただけなのでは?」
「始め俺もそう思った。だが、どうもそれだけではみたいだな。少なくとも魔法陣の件はガムン公爵の命令ではないだろう。俺なら絶対させないからな」
ガムン公爵ならではなく自分ならなんだ。
「殿下いや他国の者まで巻き込んで、自分が関わっていると知れたら大変だろう? 小娘一人の為にする事ではない。それに、魔法の事をある程度知っていないと、命令できないだろう?」
確かに。ガムン公爵は魔法の事はあまり知らなさそうだった。
「思うに、タシデホア先生から経緯を聞いたガムン公爵が、そのままファビアに責任を押し付けようとしたのではないかと」
「えぇ!?」
「たぶん理由は、君が優秀だからではないと思う。俺が凄いとアピールしたけど、反応なかったからな」
それであんなに自分が凄いと。でもね、私は無能みたいな言い方はどうかと思いますけどね!
「それと、リサさんが何か聞いて来ても、能力の事は伏せておけよ」
「うん? 伏せておくとは?」
「学園で習った事以外は出来ないって事にしておけってこと」
「わかったわ」
まあいつもの如く、雨を降らせましたって言うだけなのにね。心配性ね。
◇
「ファビア。この後、私の部屋に来てちょうだい」
「はい」
今日の歓迎会の事を語らい楽しいディナーを終えた時、リサおばあ様に声を掛けられた。
何だろう?
部屋に入った私は、リサおばあ様に促され向かい側のソファーに座った。侍女も部屋から退出させている。
「歓迎会の後、犯人を捕らえる為に殿下達と共に迎え撃ったそうね」
はい!? なぜそれをご存じでなのですか。
「学園から連絡が来ました。やろうとした事は立派かもしれませんが、殿下をしかも国賓である他国の殿下まで巻き込むなどもっての外」
今日の事なのにもう連絡が来ていたのですね。今回もお仕事がお早いコトデ……。
リサおばあ様が言う事は、ごもっともです。ですが、巻き込んだのはレオンス様なのですがと言いたい。
「ごめんなさい。以後気を付けます……」
「私はね。あなたに何かあったら大変だと言っているのです。確かに魔法を扱えるかもしれませんが、あなたは研究者になったのでしょう。そんな危険な事に首を突っ込まなくて宜しいのです」
「リサおばあ様……」
私の心配をしてくれたのね。
「こんな事であなたを失いたくありません」
「気に掛けて下さり、ありがとうございます」
そんなにお母様を。そして、その娘の私まで気に掛けて下さっている。でもなぜかしら?
「あの……リサおばあ様は、私がお母様の子だから他の子より目を掛けて下さっているのですよね? どうしてそんなにお母様を?」
「あら嫌だわ。そうならないようにと思っていたのに。ダメね、私も」
優し気にほほ笑んで言うリサおばあ様の瞳は少し悲しげだ。
「あなたの母、ユリナは親友の忘れ形見でね。彼女を侍女として雇っていたの。その後、ギャバンと結婚して……。だというのに、同じ名前で雰囲気がそっくりだとあの女狐と再婚したのよ! どこが雰囲気がそっくりよ。髪色が同じだけでしょうに!」
私も同意しますわ。リサおばあ様。
なるほど。そりゃお父様を良く思わないわけだわ。
馬車に乗り私の隣に座ったレオンス様が神妙な顔つきで呟く。
足と腕を組み考え込む姿は様になっている。ちょっと格好いいかも。って! 少し大人っぽくなったからよ。うん。気の迷いよ。
「妙って何が?」
「俺達がと言いながら、ターゲットがファビアな気がした」
「まあ女性の魔法博士は少ないからね」
「……いや俺が言っているのは、ガムン公爵だ」
「へ? なんで私が狙われるの? 接点ないのだけど」
「だよなぁ」
接点と言えば、タシデホア先生とガムン公爵にもないでしょう。仮にガムン公爵の策だとして、なぜ彼に命じたのよ。まあ風属性持ちの先生だからかもしれないけど。
貴族学園には、それぞれの属性持ちの五名の先生方が居る。いないのは闇属性の先生。
私が魔法陣をお願いした先生は、水属性の先生よ。水を吸収する水属性の魔法陣だからね。
それを消して、タシデホア先生が書き換えた。
消すのは簡単よ。水を使って発動させればいい。水魔法が使えなくてもいいし。後は、あの魔法陣に書き換えるだけ。
だけど、言われたからとやるだろうか。まあ脅されてさせられた可能性はあるけど。
それをさせる理由がわからない。
「大丈夫だって。何があっても俺が守ってやるから」
「べ、別に守ってもらわなくても大丈夫よ」
「いや君は大人しくしていた方がいい」
「でも、私がターゲットだとは限らないわ」
「いや君だろう。魔法陣が書き換えられていたし」
「魔法陣に細工したくても、あれしかなかったからではないですか?」
「王宮でも言ったけど、意地悪の域を出ているって」
そう言われても。それ以外の理由が思いつかない。
「まあ魔法陣の事は置いておくとしても、ガムン公爵の態度からして君だったのだろうな」
「え……」
「君は知らない様だけど、タシデホア先生の本家はガムン公爵家だ」
「な、何でもご存じナノデスネ」
「自分が通う学園だ。魔法博士のバックくらい調べておくさ」
「さすが、本家本元。高位貴族様ですね」
「だから嫌なんだよなぁ。高位貴族って」
それ、私達を見送ってくれた二人の先生のセリフでは?
「でもタシデホア先生がガムン公爵の傍系なら、事件を隠蔽しようとしただけなのでは?」
「始め俺もそう思った。だが、どうもそれだけではみたいだな。少なくとも魔法陣の件はガムン公爵の命令ではないだろう。俺なら絶対させないからな」
ガムン公爵ならではなく自分ならなんだ。
「殿下いや他国の者まで巻き込んで、自分が関わっていると知れたら大変だろう? 小娘一人の為にする事ではない。それに、魔法の事をある程度知っていないと、命令できないだろう?」
確かに。ガムン公爵は魔法の事はあまり知らなさそうだった。
「思うに、タシデホア先生から経緯を聞いたガムン公爵が、そのままファビアに責任を押し付けようとしたのではないかと」
「えぇ!?」
「たぶん理由は、君が優秀だからではないと思う。俺が凄いとアピールしたけど、反応なかったからな」
それであんなに自分が凄いと。でもね、私は無能みたいな言い方はどうかと思いますけどね!
「それと、リサさんが何か聞いて来ても、能力の事は伏せておけよ」
「うん? 伏せておくとは?」
「学園で習った事以外は出来ないって事にしておけってこと」
「わかったわ」
まあいつもの如く、雨を降らせましたって言うだけなのにね。心配性ね。
◇
「ファビア。この後、私の部屋に来てちょうだい」
「はい」
今日の歓迎会の事を語らい楽しいディナーを終えた時、リサおばあ様に声を掛けられた。
何だろう?
部屋に入った私は、リサおばあ様に促され向かい側のソファーに座った。侍女も部屋から退出させている。
「歓迎会の後、犯人を捕らえる為に殿下達と共に迎え撃ったそうね」
はい!? なぜそれをご存じでなのですか。
「学園から連絡が来ました。やろうとした事は立派かもしれませんが、殿下をしかも国賓である他国の殿下まで巻き込むなどもっての外」
今日の事なのにもう連絡が来ていたのですね。今回もお仕事がお早いコトデ……。
リサおばあ様が言う事は、ごもっともです。ですが、巻き込んだのはレオンス様なのですがと言いたい。
「ごめんなさい。以後気を付けます……」
「私はね。あなたに何かあったら大変だと言っているのです。確かに魔法を扱えるかもしれませんが、あなたは研究者になったのでしょう。そんな危険な事に首を突っ込まなくて宜しいのです」
「リサおばあ様……」
私の心配をしてくれたのね。
「こんな事であなたを失いたくありません」
「気に掛けて下さり、ありがとうございます」
そんなにお母様を。そして、その娘の私まで気に掛けて下さっている。でもなぜかしら?
「あの……リサおばあ様は、私がお母様の子だから他の子より目を掛けて下さっているのですよね? どうしてそんなにお母様を?」
「あら嫌だわ。そうならないようにと思っていたのに。ダメね、私も」
優し気にほほ笑んで言うリサおばあ様の瞳は少し悲しげだ。
「あなたの母、ユリナは親友の忘れ形見でね。彼女を侍女として雇っていたの。その後、ギャバンと結婚して……。だというのに、同じ名前で雰囲気がそっくりだとあの女狐と再婚したのよ! どこが雰囲気がそっくりよ。髪色が同じだけでしょうに!」
私も同意しますわ。リサおばあ様。
なるほど。そりゃお父様を良く思わないわけだわ。
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