【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
51 / 83

第51話

しおりを挟む
 ――◆――◆――◆――

 俺は小さな頃から前世の記憶を持っていた。いや魔法使いになりたいと言う、漠然とした思いを前世から受け継いだと言った方が正しい。

 五歳の時に転機が訪れた。
 そう俺に、魔法の才能があったのだ。
 嬉しくなって、集まりの時に『将来は魔法博士になる!』と宣言した。
 双子の弟のアマートがいるし、魔法博士になれるとその時は思っていたんだ。
 だけど両親は、猛反対した。俺に継がせたいという。
 納得がいかない。納得が行く説明をしてほしいと言うも、五歳児に説明をしてくれるはずもなく。

 そこでこちらから条件を出した。
 魔法博士の試験を受けさせて欲しいと。落ちれば諦める。そういう約束を取り付ける。
 両親は、10歳の時に一度だけ受けさせると言った。きっと受からないと思っての事だろうけど、俺は受かる気満々だ。
 もちろん、ちゃんと勉強もする事も条件に入っていた為に、それも手を抜かずにやった。そして、魔法の先生もつけてもらう。

 3歳ぐらいから教育は始まっていて、アマートと二人で受けていた。その頃は適当にやっていた。別に爵位には興味がなかったからだ。
 反対にアマートは一生懸命勉強をしていた。
 だが、本気を出して取り組み始めると、アマートとの差が開いて行く。

 魔法学園の受験が間近に迫ったある日、両親が突然『一般的には貴族学園に通いながら習う。そうしないか』と言い出した。
 その場合、魔法博士にはなれない。扱いを習うだけなのだ。それを知っていた俺は、試験を受けると断言した。
 俺が、このままだと魔法学園に受かるとわかったのだろう。
 そして、とうとうどうして俺に継がせようとしているのか、9歳の子には衝撃的な話を始めたのだ。



 アマートは、タカビーダ侯爵父親の弟の子で、両親は事故で他界。まだアマートが生後一か月の事だった。

 タカビーダ侯爵家では、子宝に恵まれず、もし二人目が出来たら女子でもいいから子を引き取らせて欲しいと、秘密裏に話していたところだった。
 なので、アマートを引き取る事にする。

 この国では、戸籍の登録は産まれた年のみで、届け出は一年経っても受け付けられる。
 まだ出生届が出されていなかったので、そのまま自身の子として登録する為に乳母と母親は別邸に籠った。一年程して帰れば、そこまで怪しまれないだろうと思ったのだ。

 この国では、本家の子以外の爵位の順位は同一という法がある。これが厄介で、伯爵家だろうが男爵家だろうが優秀な者が爵位を継ぐ事が出来る。
 つまり、熾烈な争いが繰り広げられる事になる。だから弟からこっそり子を授かり、実子として育てる為に密談していたのだから。

 このまま上手くいくと思っていたが、夫人のおなかがポッコリとしてくる。生理不順は前からあったので、まさか妊娠しているとはこの時まで気づけなかった。つわりが軽かったようだ。

 妊娠していたと喜ぶも、アマートをどうしようかとなった。まだ出生届はだしてはいない。
 妊娠しているとわかって、安静にする為に別邸で過ごしている事にしたからだ。それが現実となった。
 アマートを知っている者には、一緒に亡くなったと告げてもいた。
 傍系に育てされるとしても、そこから推測をされるだろう。
 弟の子を自身の子として育てようとしたが、自身の子が産まれたので追いやったと。
 気づいた傍系は、便宜を図るように脅迫まがいの事をしてくるに違いない。

 そこで、双子として育てる事にする。
 嬉しい事に生まれた子は、男児。双子として育てるが、将来家を継ぐのはこの子だ。男児でよかったと両親は安堵する。
 息子の名は、レオンスと名付けた。もちろん、俺だ。
 本当ならアマートが一歳過ぎたら戻る予定だったが、5か月の差があるのでその時期に戻ると双子ではない事が一目瞭然。
 そこで3歳まで、別邸過ごした。

 それでも、身長差はあった。
 俺に継がせるために俺を長男にし、アマートには俺を兄と呼ばせるようにする。
 俺も前世の記憶があるとはいえ、そんな小さな時の事など覚えていなかった。
 いや、話を聞いた時に振り返ってみると、確かに頷ける。
 アマートの方が、色々出来ていたような気がする。

 両親も出来るだけ、同じく愛情を注ぐようにしたと言っていた。ただし、爵位は俺に継がせる。それだけは譲れないらしい。
 本来なら9歳の子に話したとして、半分も理解できない内容だ。アマートが兄弟ではなく従兄弟だと認識するぐらいだろう。

 両親はきっと、それでアマートではなく自分が爵位を継ぐという思いを持ってくれると思ったんだと思う。
 仕方がないので、10歳で魔法学園に入る。それは俺も譲れない。けど、貴族学園にも通い爵位も継ぐ。
 それで納得してもらったのだ。

 もちろん、アマートはこの事実を知らないし、両親は教える気もないようだ。
 俺が魔法学院に通うと、アマートを言いくるめ初等科に通わせた。

 婚約者の件も、俺は魔法博士になるから婚約者はいらないと、婚約するにしても婚約式はしないと言い切っていたので、中々相手が見つからなかったようだ。
 本来なら無理やり婚約して婚約式を行うだろうけど、初めての婚約の顔合わせ時に、婚約式は行わない。俺は、魔法博士になる。それを飲めるのが条件だと。6歳にして堂々と宣言したものだから、破談になった。
 しかもその噂が流れ、魔法学園に行くつもりだと婚約の顔合わせの度に言っていたので、とうとう相手がいなくなり、5つも年上の婚約者が出来た。
 彼女には、可愛そうな事をしたけど、婚約式を行っていなかった事により、めでたく? 婚約解消でき運命の相手、ファビアと巡り合ったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者が最凶すぎて困っています

白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。 そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。 最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。 *幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。 *不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。 *作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。 *カクヨム。小説家になろうにも投稿。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

世界一美しい妹にせがまれるので婚約破棄される前に諦めます~辺境暮らしも悪くない~

tartan321
恋愛
美しさにかけては恐らく世界一……私の妹は自慢の妹なのです。そして、誰もがそれを認め、私は正直言って邪魔者なのです。でも、私は長女なので、王子様と婚約することになる運命……なのですが、やはり、ここは辞退すべきなのでしょうね。 そもそも、私にとって、王子様との婚約はそれほど意味がありません。私はもう少し静かに、そして、慎ましく生活できればいいのです。 完結いたしました。今後は後日談を書きます。 ですから、一度は婚約が決まっているのですけど……ごたごたが生じて婚約破棄になる前に、私の方から、婚約を取り下げます!!!!!!

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。

千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。 だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。 いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……? と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

ヤンキー、悪役令嬢になる

山口三
恋愛
岸田和華(きしだわか)は異世界に飛ばされた。自分が読んでいた小説の悪役令嬢ジュリエットに憑依してしまったのだ。だが和華は短気でガサツで、中学高校と番を張ってたヤンキーだ。高貴な身分の貴族令嬢なんてガラじゃない。「舞踏会でダンス? 踊りなんて盆踊りしか知らないからっ」 一方、リアル世界に残された和華の中にはジュリエットが入っていて・・。

“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。

ぽんぽこ狸
恋愛
 レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。  その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。  ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。  しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。  それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。  彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

処理中です...