【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

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第67話

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 「体調はいかがですか」
 「良いわけない。最悪だ」

 ちょっと待って。何普通に問いかけているのよ。
 それで、何普通に答えているのよ。

 「水をお飲みになりますか」
 「ここに備えられているものを口にすれと?」
 「それもそうか。では、私達が借りた部屋へ移動しよう。肩を貸します」
 「すまない」
 「………」

 レオンス様が、ルイス様の右腕を肩に掛け二人は歩き出す。

 「ポケーとしてないで行くぞ、ファビア」
 「あ、うん」

 どうなってるの?
 部屋はトイレの左側の通路にあった。私はどうやら、トイレを出た時に、右側に出てしまったようね。

 「ここの水はお飲みになりますか?」
 「あぁ、頂く」

 レオンス様から水が入ったグラスを受け取り、ルイス様は一気に飲み干した。
 私達は、テーブルを挟んでルイス様が座る向かい側のソファーに並んで腰を下ろす。

 「やっぱり僕が起きていたのに気づいていたんだな」
 「はい。フロール嬢が酒の話を出した辺りで」

 うそ。そんな前から起きていたの?
 しかもレオンス様は、気づいたんだ。

 「で、ルイス様はどこから聞いていたのですか」
 「どこからって全部さ。で、僕が気づいているとわかって彼女にあんな提案をしたのか」

 全部ですって!!
 って、そう言えばそうね。知っていて、仲間に誘った。

 何だか視線を感じると思ったら隣に座るレオンス様が、私をジド―っと見ていた。

 『何を話した』

 何って。色々と話しちゃったわよ。
 なんて言っていいかわからないので、私はごめんなさいと呟いて俯いた。

 「そうか。最初から聞いていたのか。だったら話は早い。俺達はちょっとした秘密を持っている」

 って、いきなり砕けた口調になってる。

 「テンセイシャってやつか? で、フロール嬢はその秘密をガムン公爵に握られていると?」
 「いや違うな」
 「違う? ではなぜ彼女はあいつに従っている? あなたを憎んでいるようでもあったけど? 彼女に何かしたのか?」
 「これは、理解できるかどうかわからないけど、最初から説明した方が早そうだ」

 え? 全部? 大丈夫なの? って、まあ聞かれたんだから説明するしかないか。

 レオンス様は、端的に転生者などの話をして聞かせた。
 前世の記憶を持つ者を転生者といい、時代はわからないが、同じ国の前世を持っていた事。

 その為、色んな概念がこの世界の人達と違う為に、将来を模索した。その結果、私とレオンス様は魔法博士になる選択をして、偶然に魔法学園で出会った。
 そして、転生者同士だと気づき婚約に至ったと。惹かれ合ってなのかぁ? 今は相思相愛だけどさ。

 フロール嬢が転生者だと知ったのは、向こうが暴露したから。
 ただその理由は、勘違いによる復讐心から。
 彼女の誤解を解きたいが、聞き耳を持ってくれないと話した。

 凄い。道筋が立っている。色々抜けているけど。

 「なるほどな」

 え? 確かに辻褄は合っているようだけど、信じちゃうの?

 「納得できたの?」
 「納得? できるわけないだろう。ただ僕が寝ていると思っていて会話をしていたのなら、芝居茶番を演じていたわけではないだろう」
 「うん。ソウダネ」

 納得はしないけど、状況はわかったというわけね。

 「その上で、質問はあるか?」
 「フロール嬢は、あなたの家庭の事情を知っているそぶりだったが?」
 「あぁ。それ? 古い情報だ」

 古い情報って。まあ間違っていないのかもしれないけど。

 「その情報を信じてアマート様と結婚しようと思っていたと? なるほどな。本当なら彼が魔法学園に行っていたわけか」
 「二人の話を聞いて、ルイス様はそう思ったという事ですか?」

 ルイス様が、自分の整理した考えを口にすると、レオンス様が問う。

 「違うのか? 彼女はそんな事を言っていただろう」

 と、ルイス様が私を見た。
 そんな事を言っていたっけ?

 「えーと……」
 「レオンス様が魔法学園に行ったからだと言っていただろう」
 「え? それってそういう意味?」
 「違ったのか? 僕はそう捉えたけど」
 「やはりな。私達は思い込みでお互い話していた。だから話がかみ合わなかったのだろうな」
 「それって。本来はアマート様が魔法学園へ行っていたって事?」
 「だろうな。まあそれなら彼女が言っていた事も何となく辻褄が合う」

 レオンス様が一人納得して頷いている。
 私にも説明してよ。

 「ルイス様。俺達と手を組みませんか」
 「手を組むだと。あなたは彼女にもそう言っていたと思うが」
 「えぇ。俺の前世は平和主義でね。それが抜けないんですよ」

 もしも~し。それ本当ですか。滅茶苦茶怪しまれてますよ。

 「僕にメリットはない」
 「ありますよ。このままだと、あなたは潰されます。俺以上に反感を買ってますからね。ここは手を組んで、あいつを潰しましょう」
 「どこが平和主義なんだか。で、どうやって潰すって言うんだ」
 「証拠になる盗聴器持っているのでしょう。正確には、魔法陣を。魔法アイテムにしなければ、紙一枚で済みますよね?」

 何ですって! それってさっきフロール嬢と話していた一部始終が録音されているって事!?

 「どうしてそう思うんだ」
 「大人しく話を聞いていたではないですか。わざと策に嵌ったのですよね?」
 「仕掛けて来るとは思っていた。だが彼女に台無しにされた」
 「え? 私!?」

 助けたつもりが、邪魔してしまったの?
 でも本当に具合は悪かったのよね。

 「彼女は何も事を起こしていないし、この会話だけだと証拠として弱い。彼女を切ればいいだけだからな」
 「まあそうだよな。実子だとしても、彼女が傷ついても構わない作戦だし」
 「実子だって!?」
 「おや知りませんでしたか?」

 ニヤッとしてレオンス様が言うと、ルイス様がムッとする。
 手を組みたいといいながらその態度。協力し合うの無理じゃない?
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