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第66話
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「で、これを緩めたのはどっちだ?」
うん? 私の背中を見つめレオンス様が言った。
ぎゃぁ。そうだった!
あ、これに気が付いたから兵士を遠ざけたのね。
でもまさか、兵士と一緒に探すなんてね。
「私が緩めてあげたわ」
フロール嬢の言葉に、レオンス様が安堵の様子を見せた。
「あなた達は、白い結婚を望んでいるのかと思っていたわ」
「そんな気は全くない。どちらかというと、俺は真っ黒だ」
はい!? 真っ黒って何?
「冗談は置いておいて。この作戦を考えたのはガムン公爵なんだろう」
レオンス様は、ソファーに横になるルイス様の様子を確認して聞いた。
私もレオンス様の後についていき、ルイス様の様子を確認する。
顔色が悪い。でも寝ているみたいね。
「何を飲ませた」
「薬とか毒ではないから大丈夫よ。度数が強い酒」
「は? いや学園の催しで酒なんて出ないだろう! どういう設定で、こんな事を行った。いやどうやって飲ませたんだ」
お酒だったの? 普段飲まないのに強いお酒を飲ませて、急性アルコール中毒を起こしているのではないでしょうね。
「すぐ、医務室連れて行った方がいいのでは?」
「だな」
「待って! どういう体裁で連れて行く気?」
「……お前が飲ませたって事にでもするさ」
「それはやめた方がいいわ」
「ガムン公爵が、お前を助ける為に動くって事か」
違うとフロール嬢は、首を横に振る。
「今日の衣装、ファビア嬢と似ているでしょう」
レオンス様が私を見た後にフロール嬢に向き直る。
「まさか、合わせたのか?」
「偶然でしょう。でもその偶然を使うのがガムン公爵よ。私の衣装は、ルイス様の色に合わせた物よ。失敗はないと言っていたわ。誰かさんのせいで、思いっきり失敗に終わったけどね」
ワザとらしくフロール嬢は、かぶりを振った。
「ファビアが飲ませた事にするというのか」
「違うわよ。本来は私が酔わされて襲われたって事になるはずだったの。もちろん、持たされたお酒を飲んでね」
フロール嬢が小さな小瓶をポケットから出して見せる。
やけになったのかしら。色々暴露してきたわ。
「ガムン公爵の狙いは、ルイス様と婚約者の婚約破棄。もっと言えば、ルイス様の破滅よ。だから襲われたのは私でなくてもいいわけよ。いいえ、私と彼を婚約などさせる気などないから、ファビア嬢にすり替えが出来るならそうするでしょうね」
「待って! そこまでわかっていて、ガムン公爵を裏切るつもりだったと言うの? そのままなし崩しに彼と結婚という形にあなたは持っていこうと思っていたの?」
傷モノになった令嬢は、令嬢が悪くなくても後ろ指をさされる。ガムン公爵の命令だとはいえそうなれば、結婚できるとかできないではなく、生きづらいでしょう。
ルイス様の事を知っているとしても、とても幸せになれるとは思えない。
私はてっきり、浮気していたと周りに思させると思っていたわ。
それにガムン公爵がそれを許さないでしょう。本当の傷モノにされる可能性だってあるわ。
「仕方ないでしょう。そうしないと私は……」
「言いたくないなら言わなくてもいいけど、ガムン公爵の作戦は成功しても、君の作戦は成功しなかっただろうな」
「え……なぜ、そう言えるのよ」
暗い顔をして俯いていたフロール嬢が、顔を上げキッとしてレオンス様を睨みつけた。
「ドアを少し開けてあっただろう」
「「え!?」」
私とフロール嬢の驚きの声が重なった。
なぜフロール嬢も驚いているの。開けておいたのよね。
「あなた、カギを閉めたと言わなかった?」
「あ……」
そういう事か。ドアが動かない様に風魔法でしたけど、隙間から漏れる声を遮断する事はしていないから、外へ声が漏れ出していた。
「待って。私達の会話、漏れまくりだった!?」
「そうなるな。全く、上手く誤魔化せたからいいものを」
「意味がわからないわ。カギを掛けたのに、ドアが開いていたというの?」
「あ、実は、カギを掛けたのではなくドアを固定したの、魔法で」
「え! 魔法で固定?」
フロール嬢がカギを掛けたと言った時より驚いた。
この世界の魔法は、物理的に火を出したり水を出したりするだけの魔法だものね。
前世の記憶を持っていても、柔軟な発想をしないと思いつかないかもね。
「君は襲われたではなく、逢引きをしているように見せるつもりだったのだろうけど、それでは噂にならないんだ」
「ど、どういう事?」
「ここは、侯爵以上しか立ち入らない場所だ。つまり現場を目撃する相手は、先ほどの兵士。その者達は、襲っている現場なら立ち入るだろうけど、逢引きなら見なかった事にする。事件でも何でもないからな」
「え……」
フロール嬢は、本当に驚いた顔でレオンス様を見つめていた。
「ガムン公爵は、君が言った様に結婚させる気などないだろうな。もし兵士から何も上がって来なかったら、自身から事を持ち出すつもりだったのだろう。フロール嬢がルイス様に襲われたと。外に漏れないようにノーモノミヤ公爵も手を打つ。そして、黙っている条件として、姉にでも爵位を継がせる事にする提案を出しただろう」
それって、二人がいるところを兵士に見られていればいいって事? 本当にルイス様を破滅させるつもりだったんだ。
「ガムン公爵は、君が思っているより狡猾だ。あの時は断ったけど、俺と手を組まないか」
「今更なぜ、私と手を組むなんて発想になるのかしら? あぁ、私を嵌める気?」
「そのつもりなら、こんな話などしない。俺も周りを荒らされるのは、面倒なんでね。君が知っているこの世界の事を話してくれればいい」
「知ってどうするのよ。もう何の意味をなさないわ。それに、この世界の事は彼女に聞けばいいでしょう! どうしてこんな……全部、あなたのせいなんだから!」
「おっと……」
お酒が入った小瓶を泣きながらレオンス様に投げつけたフロール嬢は、部屋を出て行ってしまった。
なんだか彼女、追い詰められていない?
「……ガムン公爵の掌の上か」
そう言ったのは、体を起こしたルイス様だった!
ぎゃぁ!!! 聞かれていたぁ!
うん? 私の背中を見つめレオンス様が言った。
ぎゃぁ。そうだった!
あ、これに気が付いたから兵士を遠ざけたのね。
でもまさか、兵士と一緒に探すなんてね。
「私が緩めてあげたわ」
フロール嬢の言葉に、レオンス様が安堵の様子を見せた。
「あなた達は、白い結婚を望んでいるのかと思っていたわ」
「そんな気は全くない。どちらかというと、俺は真っ黒だ」
はい!? 真っ黒って何?
「冗談は置いておいて。この作戦を考えたのはガムン公爵なんだろう」
レオンス様は、ソファーに横になるルイス様の様子を確認して聞いた。
私もレオンス様の後についていき、ルイス様の様子を確認する。
顔色が悪い。でも寝ているみたいね。
「何を飲ませた」
「薬とか毒ではないから大丈夫よ。度数が強い酒」
「は? いや学園の催しで酒なんて出ないだろう! どういう設定で、こんな事を行った。いやどうやって飲ませたんだ」
お酒だったの? 普段飲まないのに強いお酒を飲ませて、急性アルコール中毒を起こしているのではないでしょうね。
「すぐ、医務室連れて行った方がいいのでは?」
「だな」
「待って! どういう体裁で連れて行く気?」
「……お前が飲ませたって事にでもするさ」
「それはやめた方がいいわ」
「ガムン公爵が、お前を助ける為に動くって事か」
違うとフロール嬢は、首を横に振る。
「今日の衣装、ファビア嬢と似ているでしょう」
レオンス様が私を見た後にフロール嬢に向き直る。
「まさか、合わせたのか?」
「偶然でしょう。でもその偶然を使うのがガムン公爵よ。私の衣装は、ルイス様の色に合わせた物よ。失敗はないと言っていたわ。誰かさんのせいで、思いっきり失敗に終わったけどね」
ワザとらしくフロール嬢は、かぶりを振った。
「ファビアが飲ませた事にするというのか」
「違うわよ。本来は私が酔わされて襲われたって事になるはずだったの。もちろん、持たされたお酒を飲んでね」
フロール嬢が小さな小瓶をポケットから出して見せる。
やけになったのかしら。色々暴露してきたわ。
「ガムン公爵の狙いは、ルイス様と婚約者の婚約破棄。もっと言えば、ルイス様の破滅よ。だから襲われたのは私でなくてもいいわけよ。いいえ、私と彼を婚約などさせる気などないから、ファビア嬢にすり替えが出来るならそうするでしょうね」
「待って! そこまでわかっていて、ガムン公爵を裏切るつもりだったと言うの? そのままなし崩しに彼と結婚という形にあなたは持っていこうと思っていたの?」
傷モノになった令嬢は、令嬢が悪くなくても後ろ指をさされる。ガムン公爵の命令だとはいえそうなれば、結婚できるとかできないではなく、生きづらいでしょう。
ルイス様の事を知っているとしても、とても幸せになれるとは思えない。
私はてっきり、浮気していたと周りに思させると思っていたわ。
それにガムン公爵がそれを許さないでしょう。本当の傷モノにされる可能性だってあるわ。
「仕方ないでしょう。そうしないと私は……」
「言いたくないなら言わなくてもいいけど、ガムン公爵の作戦は成功しても、君の作戦は成功しなかっただろうな」
「え……なぜ、そう言えるのよ」
暗い顔をして俯いていたフロール嬢が、顔を上げキッとしてレオンス様を睨みつけた。
「ドアを少し開けてあっただろう」
「「え!?」」
私とフロール嬢の驚きの声が重なった。
なぜフロール嬢も驚いているの。開けておいたのよね。
「あなた、カギを閉めたと言わなかった?」
「あ……」
そういう事か。ドアが動かない様に風魔法でしたけど、隙間から漏れる声を遮断する事はしていないから、外へ声が漏れ出していた。
「待って。私達の会話、漏れまくりだった!?」
「そうなるな。全く、上手く誤魔化せたからいいものを」
「意味がわからないわ。カギを掛けたのに、ドアが開いていたというの?」
「あ、実は、カギを掛けたのではなくドアを固定したの、魔法で」
「え! 魔法で固定?」
フロール嬢がカギを掛けたと言った時より驚いた。
この世界の魔法は、物理的に火を出したり水を出したりするだけの魔法だものね。
前世の記憶を持っていても、柔軟な発想をしないと思いつかないかもね。
「君は襲われたではなく、逢引きをしているように見せるつもりだったのだろうけど、それでは噂にならないんだ」
「ど、どういう事?」
「ここは、侯爵以上しか立ち入らない場所だ。つまり現場を目撃する相手は、先ほどの兵士。その者達は、襲っている現場なら立ち入るだろうけど、逢引きなら見なかった事にする。事件でも何でもないからな」
「え……」
フロール嬢は、本当に驚いた顔でレオンス様を見つめていた。
「ガムン公爵は、君が言った様に結婚させる気などないだろうな。もし兵士から何も上がって来なかったら、自身から事を持ち出すつもりだったのだろう。フロール嬢がルイス様に襲われたと。外に漏れないようにノーモノミヤ公爵も手を打つ。そして、黙っている条件として、姉にでも爵位を継がせる事にする提案を出しただろう」
それって、二人がいるところを兵士に見られていればいいって事? 本当にルイス様を破滅させるつもりだったんだ。
「ガムン公爵は、君が思っているより狡猾だ。あの時は断ったけど、俺と手を組まないか」
「今更なぜ、私と手を組むなんて発想になるのかしら? あぁ、私を嵌める気?」
「そのつもりなら、こんな話などしない。俺も周りを荒らされるのは、面倒なんでね。君が知っているこの世界の事を話してくれればいい」
「知ってどうするのよ。もう何の意味をなさないわ。それに、この世界の事は彼女に聞けばいいでしょう! どうしてこんな……全部、あなたのせいなんだから!」
「おっと……」
お酒が入った小瓶を泣きながらレオンス様に投げつけたフロール嬢は、部屋を出て行ってしまった。
なんだか彼女、追い詰められていない?
「……ガムン公爵の掌の上か」
そう言ったのは、体を起こしたルイス様だった!
ぎゃぁ!!! 聞かれていたぁ!
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