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9話
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「もう! お母様の再婚の話など関係ないじゃない。話をそらさないで!」
「そうよね。今は、シャーロットの話をしていたのだったわ」
シャーロット嬢がワザと言ったのかはわからないけど、あきらかにメーラ夫人は話を逸らそうとしているわね。
「関係あるわよ」
「「え……」」
「同じ事をシャーロット嬢にさせようとしているのだから」
私がそう言えば、呆けた顔のままお父様が私を見た。
「もう気が付いたのではありませんか。お父様。まあ高貴な方が婚姻前に関係を持つなどするはずもありませんけど。だから婚約を結ぼうとした。お父様は利用されたのです」
「り、利用……」
「何をおっしゃいます! 娘の幸せを考えて協力して下さったのです」
「利用だなんて、ひどいわ! 出会いの場を作って下さっただけではありませんか! 現に公爵様は愛を囁いて下さった。殿下もほほ笑んで下さった」
うっとりした様子でシャーロット嬢が言う。もしかしたら彼女が一番の被害者かもしれない。
ダン!
うっとりしていたシャーロット嬢の顔が大きな音によりハッとして、驚いた顔で音の方へと振り向く。
そこには、騎士隊長が立っていた。どうやら足を踏み鳴らしたみたい。声を上げるより注目するわね。
「黙って事を見守ろうと思っておりましたが、殿下の名誉の為に言わせていただきます」
鋭い視線をシャーロット嬢に送りそう騎士隊長が述べる。驚いたシャーロット嬢は、母親のメーラ夫人の後ろに隠れた。
「殿下は、あなたにうつつを抜かしてなどおりません。あのままだと、公爵子息がそのままあなたに婚約の約束をしてしまいそうだったので、止めただけです」
「え……」
「まあ。二人で争いを?」
メーラ夫人がそう言えば、騎士隊長が眉間に皺を寄せる。私も顔に出れば、皺が寄ったかもしれないわ。
そんなわけあるかぁって。
「理解できていないようなので、もっとかみ砕きましょうか。殿下は、シャルル・グルーン様の事をご存じでした。もちろんお会いした事があるという訳ではなく、プロジェクトの件で調べておいででした。その後の報告書で父親が再婚し連れ子がいる事も、もちろんご存じでおりました」
さすがね。メーラ夫人と再婚してすぐのパーティーだったのに。随時身元調査を行っているって事ね。
「ですから来年会いましょうとなったのです」
「え……わざと邪魔したのですか?」
怯えながらも不満を述べるシャーロット嬢。
彼女は、貴族の教育を一切受けていないのでしょうね。だから単純に羨ましいとか自分より先に婚約するのが気に入らないとかの理由だと思っているのでしょう。
「そうです。ワザとです」
「ひ、ひどいわ。権力を使って……」
「はぁ。そんなわけないでしょう」
レイモンドが堪らず漏らす。
「公爵にグルーン伯爵家の事を調べる様に言ったのでしょう。いや、盲目になっている公爵子息にそう伝えた」
「聞いていると思いますが、公爵子息には婚約者ができました。あなたではなく、婚約者を選んだのです」
「え、選んだって……そう仕向けたのでしょう?」
シャーロット嬢が、涙目になって言う。
きっと彼女は今まで、モテモテだったのでしょうね。もちろん、平民の男にだけど。
「真実を知った公爵子息が親が薦める令嬢とシャーロット嬢を天秤に掛けた結果、親が薦める方を選んだって事だよ」
「シャーロット。今回は諦めましょう。婚約者がいるのでは……」
レイモンドが言うと、メーラ夫人が慌てた素振りを見せる。
「どうして? 確かにシャルルだと思わせる様にしたけど、私だってお父様の子よ。伯爵家の娘よ!!」
「本当に私の娘なのかメーラ」
「え……何を言い出すのよ」
「そうだな。ではメーラ。私を愛しているか」
「あ、当たり前でしょう」
「だったらグルーン家から籍を抜いた後も一緒にいてくれるか?」
「え……」
お父様の意外な言葉にメーラ夫人は、表情を固まらせる。
「どうせ、パーティーには参加できない。だったら娘にしがみついていても仕方がない……」
「ですが、生活していけるのですか?」
「仕事は続けさせてくれるだろう。まあ今の様な生活はできないだろうけどな」
「え? 嫌よ。またあの貧しい生活をしなくてはいけないの? お母様言ったじゃない。お父様と暮らせば貴族の様な生活ができると。本当だった。美味しい料理にドレス……」
お父様が、シャーロット嬢の言葉に目を丸くする。はっきりと、平民だったと言ったのだから。しかも、目的は裕福な暮らし。
「……そうね。離婚はしないわ。でもね、責任は取ってほしいわ! どうして籍を抜けるのよ! この子がいたから再婚が出来なかった! あの時、運命だって言ってくれたじゃない。私も再び出会えた事を運命だと思ったわ!」
「もうやめて! 何が運命よ! プロジェクトの事を小耳にでも挟んだのでしょう。お母様が亡くなったって。チャンスだって。調べたって言ったでしょう! 結婚せずとも身を寄せていた男性がいた事はわかっているわ! 籍を抜かなくたってこれ以上、あなた達に贅沢させないわ!」
私がつい熱くなってそう言えば、メーラ夫人がギロッと私を睨みつける。
「偉そうに言うけど、母親の功績をただ受け継いだだけでしょう。それをゴランが行っていれば、彼が家名を継げた。違う?」
「違いますね」
そう答えたのは、驚く事に騎士隊長だった。
「あなたは例外があって、上手くいけばゴラン殿が継げると思っているようですが、それはあり得ません。なって仮当主です。もし当主の資格がある者がいなくなれば、その爵位は廃爵になります。それと、母親の功績を受け継がれたのではなく、彼女の功績だと伺っております」
騎士隊長の言葉に三人は、驚いた顔を私に向ける。
私が発案者で、スタンプラリー案も私が考えたと言うのをやはりお母様は、死に際にツッピェ侯爵に話してしまっていたのね。
学園に通う前の私が発案したとなれば、異様でしょう。それでなくても、10歳から学園に通ってかなり変な目で見られたのに。
「本当なのか? シャルル。あいつはそんな事は何も言っていなかった。次期当主だから傍においているのだと……」
それって、自分の子に嫉妬していたって事?
「お父様。私はただ、お母様の手助けをしたかっただけですわ。でも私は子供だった。ちゃんと支える事ができなかった。お父様が支えてくださったら……」
「君は、ちゃんと支えになっていたよ。僕が知ってる」
俯く私をレイモンドが優しく抱き寄せた。
「……すまなかったシャルル。私は、やけになっていたのだ。同じ赤字ならあのまま子爵家を継いでメーラと一緒になりたかった。でもメーラはいなくなり、グルーン家に婿入りすれば、すぐさま世継ぎをつくれと義父に言われ、お前が産まれた。その後すぐに義父が亡くなった為、私は自由になった気でいたのだ。私の役目は終わったとな」
お父様は、しょぼくれていた。
メーラ夫人を忘れられなかったお父様は、お母様に協力する気がおきなかったのでしょうね。いやむしろ、グルーン家の事情など関係ないと、どうでもいいと思っていたに違いない。
しかも、これ見よがしに私に仕事を教えていたように見えた。
お母様もお父様に、協力を仰がなかったのよね。それは、赤字の所に婿入りさせたから、乗り気ではないお父様にさせるのが忍びなかった。
「そうよね。今は、シャーロットの話をしていたのだったわ」
シャーロット嬢がワザと言ったのかはわからないけど、あきらかにメーラ夫人は話を逸らそうとしているわね。
「関係あるわよ」
「「え……」」
「同じ事をシャーロット嬢にさせようとしているのだから」
私がそう言えば、呆けた顔のままお父様が私を見た。
「もう気が付いたのではありませんか。お父様。まあ高貴な方が婚姻前に関係を持つなどするはずもありませんけど。だから婚約を結ぼうとした。お父様は利用されたのです」
「り、利用……」
「何をおっしゃいます! 娘の幸せを考えて協力して下さったのです」
「利用だなんて、ひどいわ! 出会いの場を作って下さっただけではありませんか! 現に公爵様は愛を囁いて下さった。殿下もほほ笑んで下さった」
うっとりした様子でシャーロット嬢が言う。もしかしたら彼女が一番の被害者かもしれない。
ダン!
うっとりしていたシャーロット嬢の顔が大きな音によりハッとして、驚いた顔で音の方へと振り向く。
そこには、騎士隊長が立っていた。どうやら足を踏み鳴らしたみたい。声を上げるより注目するわね。
「黙って事を見守ろうと思っておりましたが、殿下の名誉の為に言わせていただきます」
鋭い視線をシャーロット嬢に送りそう騎士隊長が述べる。驚いたシャーロット嬢は、母親のメーラ夫人の後ろに隠れた。
「殿下は、あなたにうつつを抜かしてなどおりません。あのままだと、公爵子息がそのままあなたに婚約の約束をしてしまいそうだったので、止めただけです」
「え……」
「まあ。二人で争いを?」
メーラ夫人がそう言えば、騎士隊長が眉間に皺を寄せる。私も顔に出れば、皺が寄ったかもしれないわ。
そんなわけあるかぁって。
「理解できていないようなので、もっとかみ砕きましょうか。殿下は、シャルル・グルーン様の事をご存じでした。もちろんお会いした事があるという訳ではなく、プロジェクトの件で調べておいででした。その後の報告書で父親が再婚し連れ子がいる事も、もちろんご存じでおりました」
さすがね。メーラ夫人と再婚してすぐのパーティーだったのに。随時身元調査を行っているって事ね。
「ですから来年会いましょうとなったのです」
「え……わざと邪魔したのですか?」
怯えながらも不満を述べるシャーロット嬢。
彼女は、貴族の教育を一切受けていないのでしょうね。だから単純に羨ましいとか自分より先に婚約するのが気に入らないとかの理由だと思っているのでしょう。
「そうです。ワザとです」
「ひ、ひどいわ。権力を使って……」
「はぁ。そんなわけないでしょう」
レイモンドが堪らず漏らす。
「公爵にグルーン伯爵家の事を調べる様に言ったのでしょう。いや、盲目になっている公爵子息にそう伝えた」
「聞いていると思いますが、公爵子息には婚約者ができました。あなたではなく、婚約者を選んだのです」
「え、選んだって……そう仕向けたのでしょう?」
シャーロット嬢が、涙目になって言う。
きっと彼女は今まで、モテモテだったのでしょうね。もちろん、平民の男にだけど。
「真実を知った公爵子息が親が薦める令嬢とシャーロット嬢を天秤に掛けた結果、親が薦める方を選んだって事だよ」
「シャーロット。今回は諦めましょう。婚約者がいるのでは……」
レイモンドが言うと、メーラ夫人が慌てた素振りを見せる。
「どうして? 確かにシャルルだと思わせる様にしたけど、私だってお父様の子よ。伯爵家の娘よ!!」
「本当に私の娘なのかメーラ」
「え……何を言い出すのよ」
「そうだな。ではメーラ。私を愛しているか」
「あ、当たり前でしょう」
「だったらグルーン家から籍を抜いた後も一緒にいてくれるか?」
「え……」
お父様の意外な言葉にメーラ夫人は、表情を固まらせる。
「どうせ、パーティーには参加できない。だったら娘にしがみついていても仕方がない……」
「ですが、生活していけるのですか?」
「仕事は続けさせてくれるだろう。まあ今の様な生活はできないだろうけどな」
「え? 嫌よ。またあの貧しい生活をしなくてはいけないの? お母様言ったじゃない。お父様と暮らせば貴族の様な生活ができると。本当だった。美味しい料理にドレス……」
お父様が、シャーロット嬢の言葉に目を丸くする。はっきりと、平民だったと言ったのだから。しかも、目的は裕福な暮らし。
「……そうね。離婚はしないわ。でもね、責任は取ってほしいわ! どうして籍を抜けるのよ! この子がいたから再婚が出来なかった! あの時、運命だって言ってくれたじゃない。私も再び出会えた事を運命だと思ったわ!」
「もうやめて! 何が運命よ! プロジェクトの事を小耳にでも挟んだのでしょう。お母様が亡くなったって。チャンスだって。調べたって言ったでしょう! 結婚せずとも身を寄せていた男性がいた事はわかっているわ! 籍を抜かなくたってこれ以上、あなた達に贅沢させないわ!」
私がつい熱くなってそう言えば、メーラ夫人がギロッと私を睨みつける。
「偉そうに言うけど、母親の功績をただ受け継いだだけでしょう。それをゴランが行っていれば、彼が家名を継げた。違う?」
「違いますね」
そう答えたのは、驚く事に騎士隊長だった。
「あなたは例外があって、上手くいけばゴラン殿が継げると思っているようですが、それはあり得ません。なって仮当主です。もし当主の資格がある者がいなくなれば、その爵位は廃爵になります。それと、母親の功績を受け継がれたのではなく、彼女の功績だと伺っております」
騎士隊長の言葉に三人は、驚いた顔を私に向ける。
私が発案者で、スタンプラリー案も私が考えたと言うのをやはりお母様は、死に際にツッピェ侯爵に話してしまっていたのね。
学園に通う前の私が発案したとなれば、異様でしょう。それでなくても、10歳から学園に通ってかなり変な目で見られたのに。
「本当なのか? シャルル。あいつはそんな事は何も言っていなかった。次期当主だから傍においているのだと……」
それって、自分の子に嫉妬していたって事?
「お父様。私はただ、お母様の手助けをしたかっただけですわ。でも私は子供だった。ちゃんと支える事ができなかった。お父様が支えてくださったら……」
「君は、ちゃんと支えになっていたよ。僕が知ってる」
俯く私をレイモンドが優しく抱き寄せた。
「……すまなかったシャルル。私は、やけになっていたのだ。同じ赤字ならあのまま子爵家を継いでメーラと一緒になりたかった。でもメーラはいなくなり、グルーン家に婿入りすれば、すぐさま世継ぎをつくれと義父に言われ、お前が産まれた。その後すぐに義父が亡くなった為、私は自由になった気でいたのだ。私の役目は終わったとな」
お父様は、しょぼくれていた。
メーラ夫人を忘れられなかったお父様は、お母様に協力する気がおきなかったのでしょうね。いやむしろ、グルーン家の事情など関係ないと、どうでもいいと思っていたに違いない。
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