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ところ変わって、王都にある名門凌家の別邸にて。
執務室でその日の業務をこなしていた主の元へ、使用人が手紙を届けにやってきました。
「名門凌夫人より、ご報告が届いたようです」
「……報告?一体何だと言うんだ」
書類と対面しすぎてピントの合わなかった目を瞑り、眉間を指で揉んで……
手紙を受け取った凌家の家長は、使用人に茶の準備を促します。
(領民からの税収含め、領地にて行っている事業の報告はつい先日届いたように思っていたが……)
しかしそれらは領地にいる代官からの報告です。
この時期に自分の妻から来るような報告が特に思い当たらなかったため、何やら嫌な予感もして……
名門凌家の紋章が描かれている封蝋を外して、手紙の中を改めました。
内容は、第二夫人の連花が懐妊したとのこと。これには家長からも、喜色の声が口をついて出ます。
「おお、そうか……涼珩にようやく子が……」
文面は、そのことに対する祝いや、名門凌夫人がどれだけやってきたかという自賛の言葉。
そして妊娠に際してまた家具の入れ替えや部屋の改装を行うなど……
(……む、またか……)
つい一年と少し前、涼珩が初めて結婚を行った際にも、凌家は大規模な改修を行いました。
その時は、第一夫人が持参した様々な品や金銭を支払いにあてたのですが……
どうも、その辺りから凌夫人に急激に浪費癖がついているように感じていたのは確かです。
しかし凌家を長く留守にしている身としては、強く止めるのにも骨が折れ……
執務室でその日の業務をこなしていた主の元へ、使用人が手紙を届けにやってきました。
「名門凌夫人より、ご報告が届いたようです」
「……報告?一体何だと言うんだ」
書類と対面しすぎてピントの合わなかった目を瞑り、眉間を指で揉んで……
手紙を受け取った凌家の家長は、使用人に茶の準備を促します。
(領民からの税収含め、領地にて行っている事業の報告はつい先日届いたように思っていたが……)
しかしそれらは領地にいる代官からの報告です。
この時期に自分の妻から来るような報告が特に思い当たらなかったため、何やら嫌な予感もして……
名門凌家の紋章が描かれている封蝋を外して、手紙の中を改めました。
内容は、第二夫人の連花が懐妊したとのこと。これには家長からも、喜色の声が口をついて出ます。
「おお、そうか……涼珩にようやく子が……」
文面は、そのことに対する祝いや、名門凌夫人がどれだけやってきたかという自賛の言葉。
そして妊娠に際してまた家具の入れ替えや部屋の改装を行うなど……
(……む、またか……)
つい一年と少し前、涼珩が初めて結婚を行った際にも、凌家は大規模な改修を行いました。
その時は、第一夫人が持参した様々な品や金銭を支払いにあてたのですが……
どうも、その辺りから凌夫人に急激に浪費癖がついているように感じていたのは確かです。
しかし凌家を長く留守にしている身としては、強く止めるのにも骨が折れ……
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