姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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お茶を運んできた従業員が扉を閉めるのを確認してから、この事業の取りまとめを任されている男性が口を開きました。
それはどこか落ち着きがなく、心配そうな口調で……
建物の奥で個室、部屋の外や周りには味方である従業員や家の使用人しかいませんが……念のため、とかなり声量を落としています。

「しかし、よろしいのですか奥様。ここの開業資金も運営のための金銭も……すべてあの女の持参金や、その実家から送られてきた支援から出しているのでしょう」

今この部屋には男性、夫人、そして家の使用人が一人の、全員でも三人しかいませんが……扉の辺りへ視線を走らせながら心配そうに伝える男性は、更に言葉を続けます。

「持参金を基礎にして得た金銭は、それらも含めて本人に戻されると聞きましたが……」

この男は商会でやり手だというものを引っ張ってきた人材です。
商売のノウハウは知っていても、身分高きものの慣習などには馴染みがないと見えて……

ひそやかに小声でそれを告げられ、夫人の笑みがまた悪どく歪みました。

「そうさ、持参金を元手にして得た利益っていうのはねぇ。利益ごと加算されて持ち主に返されるっていうんだよ」

しかしその歪んだ表情は、明らかに企みの色を持っていて……

「で、では……」

慌てたように言いつのる男性に、夫人は落ち着き払って茶器へと手を伸ばしました。
考えるところがあると見えて、勝ち誇ったように鼻を鳴らします。

「ふん、金の出どころなんて分かるわけがないよ。金貨に名前がついてるわけじゃないだろう」
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