姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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夫人は、その手法で持参金であった金銭の数字を限りなくゼロに見せかけてやろう、と企んでいるのでした。

「しかし奥様、こちらの利益の方はどう説明をすればよろしいのでしょうか?」

男性は、夫人が卓上へ投げ出すようにおいた書類の一束を拾い上げて、ぱらぱらと捲り上げます。
その表情はどこか焦りが滲み出ているものでした。

「これだけの金額が出ているものを、隠し通すことが出来るとはとても思えず……」

夫人の顔色と考えを恐る恐る窺うようなその様子に、彼女は心の中で苛立ちを募らせました。
それはすぐに手元にも表れて、腹立ちを紛らわせるようにティーカップをガチャンと鳴らして受け皿へと戻します。

(商会の中じゃやり手と聞いて連れてきたはいいが……貴族社会のことにほとんど馴染みがなかったのは誤算だね)

「だから言ったろう、金貨に名前が書いてあるわけじゃないんだよ」

夫人は苛立たし気に、帳簿めいたその書類の一つの欄を指でトントンと示します。
そこは元手の金銭をどこから引き出しているのかを記すスペースがありました。

利益を出している方も、わざと利益をマイナスにしている方も、出所自体は銀行からになっているのですが……
補足する箇所に、その銀行へ入金する時の状況が詳しく記されています。

「こっちの利益が出てる側は、あの女の実家から名門凌家へ送るよう指示していた月々の金を元手にしたと答えればいいのさ。そう書かせたんだからね」

「は、はい!それではそのように……」
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