44 / 45
番外編 ジャンヌとルーカス
邪魔
しおりを挟む
私とルーカスの間を邪魔するもので、一番厄介な存在は、中々私達を解放してくれない。私は歳のわりに愛について何も知らない。愛されることも、愛することも本当の意味で今が初めてのことだ。
義弟になるはずだった可愛らしい少年は今では私の婚約者で、じきに、夫になる。
ルーカスはいろんな表現で、私を大切にしてくれる。生まれてこの方、肉親以外の男性とは近くに寄ることすら禁じられてきた身としては、近くに顔があるだけで、恥ずかしさでどうしようもなくなる。
「お前の顔を見ていると、辛気臭くなる。」
いつだったか、前婚約者に言われた言葉だ。私は特別美しいわけでも可愛いわけでもない。それに、今は愛想を振り撒く時間でもない。だから、静かにしていたのに、そんな言葉で傷つけられてから、尚更彼の前では、表情を殺すようにしてしまった。
前婚約者が好きになったご令嬢は、コロコロと表情がよく変わり、彼にぶら下がり甘えた声を出していた。なるほど、ああいう方が、男性はお好きなのね、と思ったが、羞恥心が先に立ち、真似をすることはできなかった。
ルーカスは、私と婚約する、となった時、もしかして、押し付けられたのではないかと危惧していたが、彼によると、立候補したらしい。
「ジャンヌが好きなんだ。私と結婚してほしい。」
可愛い顔はそのままに、真剣な顔で言うものだから、少しドキッとしてしまった。彼はただ義理堅いだけで、私を憐れに思ってくれたのだと、わかっている。けれど、ルーカスはその後も私に甘い言葉を囁いたり、スキンシップを取ったりして、義理とは?と考えてしまうほど、私を気分よく癒してくれた。
ルーカスに、婚約者がいなかった理由は、は忘れられない人がいるからだ、と言う噂があった。
その相手と言うのは、私の知っている人かしら?その噂を聞いた時は、微笑ましく思って応援したかったのに、今ではすっかり絆されて、お願いだから彼を奪っていかないで、と思う。
彼がプレゼントしてくれた白い馬は綺麗な瞳をしていて、私をすぐに主人だと認めてくれた。ルーカスに甘やかされて、愛されていると、この人をどんどん手放せなくなることに愕然とする。
「ジャンヌ、キスしてもいい?」
断る理由は私にはない。
ルーカスは、少しの間、唇を重ねて、すぐに離そうとした。はしたない、とわかっていたけれど、彼の頬に手を伸ばして、唇を引き寄せる。
恋愛初心者の辿々しいキスの味は羞恥により全く覚えていないけれど、ルーカスが泣きそうな顔をして笑ったから、良いのだと思う。
「ジャンヌ、もう一回だけ、いい?」
見上げるとさっきまでの泣きそうな顔ではなくて、真剣な顔をしている。
返事をする間もなく、食べられる。夢中で抱きしめると、ルーカスが笑った。
「愛してる、ジャンヌ。私の側にいて。」
彼はやっぱり泣きそうで、可愛かった。
義弟になるはずだった可愛らしい少年は今では私の婚約者で、じきに、夫になる。
ルーカスはいろんな表現で、私を大切にしてくれる。生まれてこの方、肉親以外の男性とは近くに寄ることすら禁じられてきた身としては、近くに顔があるだけで、恥ずかしさでどうしようもなくなる。
「お前の顔を見ていると、辛気臭くなる。」
いつだったか、前婚約者に言われた言葉だ。私は特別美しいわけでも可愛いわけでもない。それに、今は愛想を振り撒く時間でもない。だから、静かにしていたのに、そんな言葉で傷つけられてから、尚更彼の前では、表情を殺すようにしてしまった。
前婚約者が好きになったご令嬢は、コロコロと表情がよく変わり、彼にぶら下がり甘えた声を出していた。なるほど、ああいう方が、男性はお好きなのね、と思ったが、羞恥心が先に立ち、真似をすることはできなかった。
ルーカスは、私と婚約する、となった時、もしかして、押し付けられたのではないかと危惧していたが、彼によると、立候補したらしい。
「ジャンヌが好きなんだ。私と結婚してほしい。」
可愛い顔はそのままに、真剣な顔で言うものだから、少しドキッとしてしまった。彼はただ義理堅いだけで、私を憐れに思ってくれたのだと、わかっている。けれど、ルーカスはその後も私に甘い言葉を囁いたり、スキンシップを取ったりして、義理とは?と考えてしまうほど、私を気分よく癒してくれた。
ルーカスに、婚約者がいなかった理由は、は忘れられない人がいるからだ、と言う噂があった。
その相手と言うのは、私の知っている人かしら?その噂を聞いた時は、微笑ましく思って応援したかったのに、今ではすっかり絆されて、お願いだから彼を奪っていかないで、と思う。
彼がプレゼントしてくれた白い馬は綺麗な瞳をしていて、私をすぐに主人だと認めてくれた。ルーカスに甘やかされて、愛されていると、この人をどんどん手放せなくなることに愕然とする。
「ジャンヌ、キスしてもいい?」
断る理由は私にはない。
ルーカスは、少しの間、唇を重ねて、すぐに離そうとした。はしたない、とわかっていたけれど、彼の頬に手を伸ばして、唇を引き寄せる。
恋愛初心者の辿々しいキスの味は羞恥により全く覚えていないけれど、ルーカスが泣きそうな顔をして笑ったから、良いのだと思う。
「ジャンヌ、もう一回だけ、いい?」
見上げるとさっきまでの泣きそうな顔ではなくて、真剣な顔をしている。
返事をする間もなく、食べられる。夢中で抱きしめると、ルーカスが笑った。
「愛してる、ジャンヌ。私の側にいて。」
彼はやっぱり泣きそうで、可愛かった。
4
あなたにおすすめの小説
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!
22時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
お母様!その方はわたくしの婚約者です
バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息
その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…
大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…
みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる