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番外編 ジャンヌとルーカス
大切な人
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「ねえ、もしかして、ルーカスの大切な人って私のこと?」
侍女は大きくため息をつきながら、肯定する。
「何度も申し上げていますよ。今なのですか?こんなに愛されておいて、今?」
パッと後ろを振り返ると、護衛についている騎士達も、疲れた顔をしている。
「何なら、王宮内の使用人全員に聞いても、驚かれますよ。今ですか?と。私の態度は正当な物です。」
「だって、自意識過剰かしら、とか。考えるでしょう。誰にだって優しいのだもの。ルーカスは。」
そう言うと、周りの人達の動きが止まる。
「誰が誰に優しいのです?」
「いえ、だから、ルーカスが皆に。」
「あの方がお優しいのは、ジャンヌ様だけです。」
侍女の声に、ウンウン頷く騎士達。
「あの方は、ジャンヌ様に嫌われたくないので、ジャンヌ様の前では少しばかりまともですが、ジャンヌ様のいらっしゃらないところでは、優しくも何ともないですよ。」
「昔はもう少しわかりにくい感じでしたけれど、最近は顕著ですしね。」
「ジャンヌ様が思うほど、あの方は優しくありません。女性にも笑いかけたりしませんし。」
私が知っているルーカスは人当たりが良く、優しく、人懐こいのだが、それがそもそも違うのだと言う。
私は、彼が綺麗なご令嬢に会う度、不安でしかなかったのだが、それは取り越し苦労だったようだ。
そう言えば、私達が学園に通っている時に、ルーカスには冷たい、とか気難しい、とか言われていた。私はルーカスのことをよく知らない人が勝手に言っているのだと、思ってたけれど。
実際には、冷たくて、気難しい人と言うのは合っていたかもしれない。
ルーカスの婚約者になって、初めて側妃様にお茶を呼ばれた時にも、同じようなことを言われたことがある。
「あの子は、態度がわかりやすいのよ。興味のない人には、全く勘違いをさせないから、浮気の危険はないと思うわ。寧ろ、危険なのは、独占欲の方ね。何かと、我慢させていたから、我慢しなくていい、となると、欲望に忠実になりそうで、危ないかもしれないわ。もし、危険を感じるなら逃げてね。」
あの頃は独占欲を感じられるほど、愛されるなんて、私には縁がないことで、よく理解できていなかったけれど。
だんだんとわかってきた。彼が、私に対して取っている態度を見るにつれ、彼が今までとは違う顔を見せるにつれ、この今の顔は、私にしか見られないものだと、気づくにつれ。
彼の兄には感じなかったはじめての気持ちを持て余しつつ、私は彼を手に入れて離さない。もし、結婚までの間に同じことが起こっても、次は離さないと誓う。
私の中にも、彼に近い独占欲の塊が育っていくのがわかる。不毛だけど、私の愛が彼の愛を上回って飲み込んでしまうまで、時間はかからないだろう。
泣きそうな顔で愛を囁く貴方に応える私の顔はどんな風に見えるのでしょう。きっとひどい顔をしている。
だって、抱きしめられるたびに、訳がわからなくなるのだもの。
おわり
侍女は大きくため息をつきながら、肯定する。
「何度も申し上げていますよ。今なのですか?こんなに愛されておいて、今?」
パッと後ろを振り返ると、護衛についている騎士達も、疲れた顔をしている。
「何なら、王宮内の使用人全員に聞いても、驚かれますよ。今ですか?と。私の態度は正当な物です。」
「だって、自意識過剰かしら、とか。考えるでしょう。誰にだって優しいのだもの。ルーカスは。」
そう言うと、周りの人達の動きが止まる。
「誰が誰に優しいのです?」
「いえ、だから、ルーカスが皆に。」
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侍女の声に、ウンウン頷く騎士達。
「あの方は、ジャンヌ様に嫌われたくないので、ジャンヌ様の前では少しばかりまともですが、ジャンヌ様のいらっしゃらないところでは、優しくも何ともないですよ。」
「昔はもう少しわかりにくい感じでしたけれど、最近は顕著ですしね。」
「ジャンヌ様が思うほど、あの方は優しくありません。女性にも笑いかけたりしませんし。」
私が知っているルーカスは人当たりが良く、優しく、人懐こいのだが、それがそもそも違うのだと言う。
私は、彼が綺麗なご令嬢に会う度、不安でしかなかったのだが、それは取り越し苦労だったようだ。
そう言えば、私達が学園に通っている時に、ルーカスには冷たい、とか気難しい、とか言われていた。私はルーカスのことをよく知らない人が勝手に言っているのだと、思ってたけれど。
実際には、冷たくて、気難しい人と言うのは合っていたかもしれない。
ルーカスの婚約者になって、初めて側妃様にお茶を呼ばれた時にも、同じようなことを言われたことがある。
「あの子は、態度がわかりやすいのよ。興味のない人には、全く勘違いをさせないから、浮気の危険はないと思うわ。寧ろ、危険なのは、独占欲の方ね。何かと、我慢させていたから、我慢しなくていい、となると、欲望に忠実になりそうで、危ないかもしれないわ。もし、危険を感じるなら逃げてね。」
あの頃は独占欲を感じられるほど、愛されるなんて、私には縁がないことで、よく理解できていなかったけれど。
だんだんとわかってきた。彼が、私に対して取っている態度を見るにつれ、彼が今までとは違う顔を見せるにつれ、この今の顔は、私にしか見られないものだと、気づくにつれ。
彼の兄には感じなかったはじめての気持ちを持て余しつつ、私は彼を手に入れて離さない。もし、結婚までの間に同じことが起こっても、次は離さないと誓う。
私の中にも、彼に近い独占欲の塊が育っていくのがわかる。不毛だけど、私の愛が彼の愛を上回って飲み込んでしまうまで、時間はかからないだろう。
泣きそうな顔で愛を囁く貴方に応える私の顔はどんな風に見えるのでしょう。きっとひどい顔をしている。
だって、抱きしめられるたびに、訳がわからなくなるのだもの。
おわり
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