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秘密
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鳥の世話をしていたのは、ミスティアの侍女らしい。彼女はいつもミスティアの近くにいて、彼女を見守っている。自身が姉として育ったミスティアにとって、侍女は姉のような甘えられる存在らしい。彼女は勿論タイロン伯爵家にも付いてきてくれる予定だ。確か名はアンと言ったはず。
彼女は慣れた手付きで巣箱の掃除をし、餌を入れた後は足早に部屋を出た。彼女が入って来た時はバレたらどうしようと緊張したが、どうやら杞憂に終わったようだ。
少しして、パーティの時とは異なるラフな格好に着替えたミスティアとリーゼ嬢が現れた。二人は鳥の様子を見に来たのかと思いきや、全く鳥を見ずに用意されていた椅子に座る。
先程のアンという侍女が現れて、彼女達にお茶を振る舞う。
私は深夜にお茶?と驚いたが、その後の話からまだ深夜などではなく、パーティが終わったあたりであると推測した。どうやら私は開始早々酔い潰れたようだ。
恥ずかしい。穴があったら、入りたい。
リーゼ嬢は、今日の主役でもあるが故に話ばかりで、ろくに食べられなかった、と嘆き、アンに出されたパーティの食事を凄い勢いで食べ始めた。
普段は見せないようにしているその食べ方に暫し面食らうが、彼女の素は、こうなのだろう。見た目も相まって小動物が木の実を頬張る様子とリンクして、笑いが漏れそうになる。
よくこんなペットのいるところで食事など、と考えて気がついた。今日に限らずこの部屋は獣臭がしない。獣臭どころかどこからかフローラルのような良い匂いまでしてくる。
どうやって香りを調整しているのか後で聞いてみるのもアリだな。
「あの方、お酒に弱い方でしたのね。お姉様を置いてさっさと自分だけ酔ってしまわれるなんて。あんな方で良いの?お姉様、考えなおすなら結婚前の今しかないわよ。」
「いいのよ。あの方、スタン様は王太子殿下の誘いを断れなかったのだから。あれは彼方が悪いのよ。昔から性格が悪いんだから。殿下もあの性格さえなければね、もう少し早く婚約者が決まっていたでしょうに。」
「殿下は報われないわね。お姉様には相手にされず、拗らせてしまった結果余計に嫌われて。そりゃ、お姉様の婚約者を玩具にするぐらいは許してあげて。」
リーゼ嬢のあの方、とは開始早々寝てしまった私のことだろう。今まで知らなかったがリーゼ嬢は私に対してあまり良くは思っていなかったらしい。
みるみるうちに片付けられる皿の料理に、小さい体によくあれだけ入るな、と呑気に感心している場合ではなかった。
「それにしても、あの人に嘘ついちゃったんでしょ?もう一羽をプレゼントした方が良いか、とか殿下が嬉しそうに話してたわよ。」
「私が世話をするから、絶対に覗かないように伝えたわ。だって……やっぱり驚かせてしまうもの。」
「でも、結婚するまで、内緒にしておくにしろ、早い内に知らせた方が良いんじゃない?頼りにはならなさそうだけど、お姉様を簡単には嫌いになりそうにないわよ、アレ。」
リーゼ嬢の扱いがあの方からアレに変わっている。
鳥はやはりいつもいる一羽だけで、もう一羽は出てこない。
王太子殿下曰く、巣箱の奥に潜んでいる鳥は夜行性らしいので、夜になると姿を現すとのことだったが。
それから、二人は楽しそうに話をした。今日のパーティで起こったことなどを表情豊かに話すリーゼ嬢。いつもとは違いニコニコ笑いながら話を聞くミスティアに、人前以外ではちゃんと笑うのだとほっとしたのも束の間。
「キーキッキ、キーキッキッキー」
聞いたことのある鳴き声を耳にして、巣箱の奥に目を向ける。やはり姿は見えない。
ミスティアは体を震わせていて、リーゼ嬢の話が余程面白いようだ。
楽しそうに話をする婚約者を見られただけでも、良かったと、音を立てないように隠れ場所を抜け出した。
鳥は見られなかったが、彼女の愛らしい様子は見られた。
後の表情は、結婚してからに取っておくことにして、使用人を探す。時間が遅いから泊まっていくように勧められたのでお言葉に甘えることにした。
彼女は慣れた手付きで巣箱の掃除をし、餌を入れた後は足早に部屋を出た。彼女が入って来た時はバレたらどうしようと緊張したが、どうやら杞憂に終わったようだ。
少しして、パーティの時とは異なるラフな格好に着替えたミスティアとリーゼ嬢が現れた。二人は鳥の様子を見に来たのかと思いきや、全く鳥を見ずに用意されていた椅子に座る。
先程のアンという侍女が現れて、彼女達にお茶を振る舞う。
私は深夜にお茶?と驚いたが、その後の話からまだ深夜などではなく、パーティが終わったあたりであると推測した。どうやら私は開始早々酔い潰れたようだ。
恥ずかしい。穴があったら、入りたい。
リーゼ嬢は、今日の主役でもあるが故に話ばかりで、ろくに食べられなかった、と嘆き、アンに出されたパーティの食事を凄い勢いで食べ始めた。
普段は見せないようにしているその食べ方に暫し面食らうが、彼女の素は、こうなのだろう。見た目も相まって小動物が木の実を頬張る様子とリンクして、笑いが漏れそうになる。
よくこんなペットのいるところで食事など、と考えて気がついた。今日に限らずこの部屋は獣臭がしない。獣臭どころかどこからかフローラルのような良い匂いまでしてくる。
どうやって香りを調整しているのか後で聞いてみるのもアリだな。
「あの方、お酒に弱い方でしたのね。お姉様を置いてさっさと自分だけ酔ってしまわれるなんて。あんな方で良いの?お姉様、考えなおすなら結婚前の今しかないわよ。」
「いいのよ。あの方、スタン様は王太子殿下の誘いを断れなかったのだから。あれは彼方が悪いのよ。昔から性格が悪いんだから。殿下もあの性格さえなければね、もう少し早く婚約者が決まっていたでしょうに。」
「殿下は報われないわね。お姉様には相手にされず、拗らせてしまった結果余計に嫌われて。そりゃ、お姉様の婚約者を玩具にするぐらいは許してあげて。」
リーゼ嬢のあの方、とは開始早々寝てしまった私のことだろう。今まで知らなかったがリーゼ嬢は私に対してあまり良くは思っていなかったらしい。
みるみるうちに片付けられる皿の料理に、小さい体によくあれだけ入るな、と呑気に感心している場合ではなかった。
「それにしても、あの人に嘘ついちゃったんでしょ?もう一羽をプレゼントした方が良いか、とか殿下が嬉しそうに話してたわよ。」
「私が世話をするから、絶対に覗かないように伝えたわ。だって……やっぱり驚かせてしまうもの。」
「でも、結婚するまで、内緒にしておくにしろ、早い内に知らせた方が良いんじゃない?頼りにはならなさそうだけど、お姉様を簡単には嫌いになりそうにないわよ、アレ。」
リーゼ嬢の扱いがあの方からアレに変わっている。
鳥はやはりいつもいる一羽だけで、もう一羽は出てこない。
王太子殿下曰く、巣箱の奥に潜んでいる鳥は夜行性らしいので、夜になると姿を現すとのことだったが。
それから、二人は楽しそうに話をした。今日のパーティで起こったことなどを表情豊かに話すリーゼ嬢。いつもとは違いニコニコ笑いながら話を聞くミスティアに、人前以外ではちゃんと笑うのだとほっとしたのも束の間。
「キーキッキ、キーキッキッキー」
聞いたことのある鳴き声を耳にして、巣箱の奥に目を向ける。やはり姿は見えない。
ミスティアは体を震わせていて、リーゼ嬢の話が余程面白いようだ。
楽しそうに話をする婚約者を見られただけでも、良かったと、音を立てないように隠れ場所を抜け出した。
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