あの気持ち悪い贈り物は貴方でしたの?

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あの女が不幸なら

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「私を娼館に送ったのは、アンソニー様ですわ。彼は最初から、あの女の言いなりでした。私の名前を最初に騙ったのも、彼だそうです。二人で出かけた時に、彼女をマーガレット・ブロウだと説明したのですわ。お会いしたこともない方でした。初めは、彼が騙された上で、口にしていると思ったのです。ですが、違いました。彼は初めから、あの女を私の代わりにして側に置くと、決めていました。どうして私の名前を使ったのかわかりません。彼女のことを愛していたのか、単に利用しようとしていたかすらもわからないのです。」

「そのアンソニー様は今はどちらに?」

「あの夜から、姿を隠しているそうです。秘密裏に処分でもされたのではないかしら。」

微笑みながら、物騒なことを仰っているわね。

「第三王子は、娼館に連れて行かれた私に身を隠すように仰って、娼館の一室を借りてくださいました。期限ギリギリまでそちらにいましたが、第三王子が来ないままだと、客を取らされる手筈だったようで、逃げました。

逃げた先で、助けていただいた方がいて、私は生きてこれたのです。

第三王子の安否がただただ心配でしたが、あの夜無事そうでしたので、ホッとしています。」

「あの、助けてくださった方、というのは……」

「通りすがりの方です。今回の件には全く無関係の平民の方で。私が顔色を失くして佇んでいたのを、心配して助けてくださいました。」

「実家は爵位を取られましたが、まだ存在はしています。両親も存命ですので。一度帰りたかったのですが、彼らが探してるかもしれないと思い、帰ることができませんでした。」

「ようやく、帰れますのね。」

「ええ、もうこれを機に、田舎に引っ越そうかな、と思っております。辛い思い出がたくさんできてしまいましたから。」

「マーガレットではない、あの女の裏側に誰かいると思いますか?」

「ええ、きっと。おそらく、私の実家が目障りだったのでしょう。一代の男爵家など、捨て置いて下さればよろしかったのに、わざわざ潰しに来たのですから。」

「真相を解明したいとは思われないの?」

「ええ、もう。既にその時期は過ぎました。私はあの女がこれから不幸にさえなれば、それで満足なのです。それ以上求めるなら、やり返されたりしそうでしょう?高望みは致しません。それに、このあとは、他の方にお任せ致しますわ。素人がしゃしゃりでて、全てが闇の中では、悲し過ぎます。」

そう言って微笑んだ本当のマーガレット様はスッキリと、晴れ晴れとしたお顔をされていました。
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