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話されていないこと
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ルーカスは仰いました。
「今、話したのはあくまでマーガレットのいい分であり、あの女性の話したことではない、と言うことだ。」
そうだわ。マーガレット様はあんなに、良い方ではない筈。私に逆恨みした人と今の話のマーガレット様は、同一人物には思えない。
「なら、あの女性から話が聞けたら、全てがわかるのではないかな?」
その時、ルーカスにお客様が見えたようです。私が退がろうとしたら、ルーカスに止められました。
「君にも一緒に話を聞いてほしい。」
来られたのは、大人しそうなご令嬢でした。
「グレイ伯爵様、御夫人、あの夜は大変失礼を致しました。マーガレット・ブロウと申します。本日はお招き頂きありがとうございます。」
私は彼女が、あの夜、アンソニーと名乗る男の後ろにいた子供のような格好をしていた女性と同一人物であると言う事実に思い至り、驚きを隠せません。
しかも、彼女もマーガレットと言うのです。
こんな偶然があるのでしょうか?
私の心の声が出てしまったのかは、わかりませんが、目の前のマーガレット様は、私に微笑みかけます。あのマーガレット様とは、生まれも育ちも違いますし、あの夜の女性は演技だったと認めざるを得ません。
「あの騒動に、お二方を巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。」
謝罪をされる、仕草も何もかも洗練されています。時に、あのマーガレット様は、慎みや、淑やかさの欠片も見当たりませんでしたが、彼女は違います。まさしくお手本のようですわ。
全て話終わったら、私の師匠になってくださらないかしら。完璧な淑女だわ。
まあ、その話は置いて、続きを聞きましょう。
「結論から申し上げますと、あの夜、第三王子に連れられて、帰ったあと、あのマーガレットは第三王子を欺いた罪で投獄されました。第三王子も、今は幽閉されています。王子の場合、何らかの薬によって幻覚を見せられていたようですので、その薬が抜けて正気に戻れば出られます。
私の家は、子爵家で、元々は、小さな商会を営んでおりました。子宝に恵まれず、子供は私一人です。私に同じ年頃の友人がいないため、哀れにおもった父が、どこからか連れてきたのが、あの女です。
あの女は、最初から、私になり変わるために、父に近づいてきました。あの女がした身の上話はほぼ合っています。ただ、登場人物が全て反対なのです。聞いていて、笑いが沸き起こりました。
よくもまあ、そこまで話してくれたと。
嘘を見破れなくするには、嘘の中に真実を少しずつ混ぜると良いのですって。
彼女は、完璧に騙せたと思ったのでしょうが、残念なことに、一つだけ、忘れていることがありました。
お気づきの通りです。彼女の性格が、こんなにいい訳がない。だって、全く別人ですもの。名前や格好を真似ても、それだけでその人になれるわけではないのです。」
そこまで話して、彼女はお茶を飲んだ。飲む姿も、いちいち、美しいですわ。
これは、単純に真似るだけではすぐにボロが出てしまいますわね。
「今、話したのはあくまでマーガレットのいい分であり、あの女性の話したことではない、と言うことだ。」
そうだわ。マーガレット様はあんなに、良い方ではない筈。私に逆恨みした人と今の話のマーガレット様は、同一人物には思えない。
「なら、あの女性から話が聞けたら、全てがわかるのではないかな?」
その時、ルーカスにお客様が見えたようです。私が退がろうとしたら、ルーカスに止められました。
「君にも一緒に話を聞いてほしい。」
来られたのは、大人しそうなご令嬢でした。
「グレイ伯爵様、御夫人、あの夜は大変失礼を致しました。マーガレット・ブロウと申します。本日はお招き頂きありがとうございます。」
私は彼女が、あの夜、アンソニーと名乗る男の後ろにいた子供のような格好をしていた女性と同一人物であると言う事実に思い至り、驚きを隠せません。
しかも、彼女もマーガレットと言うのです。
こんな偶然があるのでしょうか?
私の心の声が出てしまったのかは、わかりませんが、目の前のマーガレット様は、私に微笑みかけます。あのマーガレット様とは、生まれも育ちも違いますし、あの夜の女性は演技だったと認めざるを得ません。
「あの騒動に、お二方を巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。」
謝罪をされる、仕草も何もかも洗練されています。時に、あのマーガレット様は、慎みや、淑やかさの欠片も見当たりませんでしたが、彼女は違います。まさしくお手本のようですわ。
全て話終わったら、私の師匠になってくださらないかしら。完璧な淑女だわ。
まあ、その話は置いて、続きを聞きましょう。
「結論から申し上げますと、あの夜、第三王子に連れられて、帰ったあと、あのマーガレットは第三王子を欺いた罪で投獄されました。第三王子も、今は幽閉されています。王子の場合、何らかの薬によって幻覚を見せられていたようですので、その薬が抜けて正気に戻れば出られます。
私の家は、子爵家で、元々は、小さな商会を営んでおりました。子宝に恵まれず、子供は私一人です。私に同じ年頃の友人がいないため、哀れにおもった父が、どこからか連れてきたのが、あの女です。
あの女は、最初から、私になり変わるために、父に近づいてきました。あの女がした身の上話はほぼ合っています。ただ、登場人物が全て反対なのです。聞いていて、笑いが沸き起こりました。
よくもまあ、そこまで話してくれたと。
嘘を見破れなくするには、嘘の中に真実を少しずつ混ぜると良いのですって。
彼女は、完璧に騙せたと思ったのでしょうが、残念なことに、一つだけ、忘れていることがありました。
お気づきの通りです。彼女の性格が、こんなにいい訳がない。だって、全く別人ですもの。名前や格好を真似ても、それだけでその人になれるわけではないのです。」
そこまで話して、彼女はお茶を飲んだ。飲む姿も、いちいち、美しいですわ。
これは、単純に真似るだけではすぐにボロが出てしまいますわね。
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