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クララの兄レンドール
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クララの異母兄レンドールが、サーシャを望むのは、彼女の能力的なものだけが原因ではない。今までクララを始め、たくさんの美人を見てきたレンドールだが、その中の誰も彼の心を縛ることはできなかった。
クララとの王位継承を巡っての、周りからの圧力は、父が再婚し、妹が誕生した時から少しずつ強くなって、レンドールを襲うようになっていた。
「私に期待している愚か者達の目を覚まさせるために、留学するわ。」と言った妹に隣国を勧めたのは、単にアレクサンドラの元でなら妹はのびのびと色々なことを吸収できるだろうと思っただけで、他意はなかった。
彼女は覚えていないだろうが、何度かレンドールと彼女は会っている。一度目は、隣国との国境沿いで小さな諍いが起こった時。大方、彼方からの言い掛かりが原因だろうと思っていたら、調停役として明らかに不釣り合いな可愛らしい令嬢が現れて、隣国は謝罪の意思がないのだと、呆れたところだった。
皆同じように白い目で彼女の挙動を見ていた折に、原因が別にあり、それにどちらの国も責任がないこと。また起こりうる事由の為、起きない為の取り組みやら、起きてしまった後の対策など、スラスラと澱みなく提案していく彼女に、心を奪われたのである。
調べてみると、本来なら彼女の代わりに彼方の国の王子が来るはずだった。だが、途中で彼の乗っていた馬車がぬかるみにハマって動けなくなった為、近くまで来ていた彼女に、急ぎ代役を頼んだという。そうは言っても、である。
アレクサンドラは、平民が着るような服を着て、足元の悪い中、馬車を降りて駆けつけている。対して王子は、汚れを嫌がるような白い煌びやかな服に少しの隙も見せないような完璧な装いで、皆の顰蹙を買っていた。
「泥団子でもぶつけてやろうかしら。」
クララなら多分そう言うだろうな、と思った直後のその発言に、レンドールは笑いを堪えるのに必死だった。
「もし、どうしても無理だと思う事態に陥ったら、此方側に来てほしい。」
その時、確かにそう言ったのだが。
「此方側……ああ、ちゃんともしもの時は連携を取れるようにしておきますね。」
と。
今思い出しても、彼女からは少しズレた回答が返って来ていた。なまじ、自分が何でもできるから、人に頼ったりは滅多にしない彼女を、細腕ながら、支えたいと思った次第である。
「回りくどい言い方はダメよ。多分伝わらないから。彼女を伴侶にしたいなら彼女が一人で立てなくなるほど甘やかして話を聞いて構い倒すこと。わかったわね?」
クララの横で彼女の婚約者が耳をそばだてている。妹よ。多分近い将来お前も同じ目に遭うと思うぞ、と心の中で念じておくも、自分がどうしたら彼女の特別になれるかはいまだにわからないままだった。
クララとの王位継承を巡っての、周りからの圧力は、父が再婚し、妹が誕生した時から少しずつ強くなって、レンドールを襲うようになっていた。
「私に期待している愚か者達の目を覚まさせるために、留学するわ。」と言った妹に隣国を勧めたのは、単にアレクサンドラの元でなら妹はのびのびと色々なことを吸収できるだろうと思っただけで、他意はなかった。
彼女は覚えていないだろうが、何度かレンドールと彼女は会っている。一度目は、隣国との国境沿いで小さな諍いが起こった時。大方、彼方からの言い掛かりが原因だろうと思っていたら、調停役として明らかに不釣り合いな可愛らしい令嬢が現れて、隣国は謝罪の意思がないのだと、呆れたところだった。
皆同じように白い目で彼女の挙動を見ていた折に、原因が別にあり、それにどちらの国も責任がないこと。また起こりうる事由の為、起きない為の取り組みやら、起きてしまった後の対策など、スラスラと澱みなく提案していく彼女に、心を奪われたのである。
調べてみると、本来なら彼女の代わりに彼方の国の王子が来るはずだった。だが、途中で彼の乗っていた馬車がぬかるみにハマって動けなくなった為、近くまで来ていた彼女に、急ぎ代役を頼んだという。そうは言っても、である。
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クララなら多分そう言うだろうな、と思った直後のその発言に、レンドールは笑いを堪えるのに必死だった。
「もし、どうしても無理だと思う事態に陥ったら、此方側に来てほしい。」
その時、確かにそう言ったのだが。
「此方側……ああ、ちゃんともしもの時は連携を取れるようにしておきますね。」
と。
今思い出しても、彼女からは少しズレた回答が返って来ていた。なまじ、自分が何でもできるから、人に頼ったりは滅多にしない彼女を、細腕ながら、支えたいと思った次第である。
「回りくどい言い方はダメよ。多分伝わらないから。彼女を伴侶にしたいなら彼女が一人で立てなくなるほど甘やかして話を聞いて構い倒すこと。わかったわね?」
クララの横で彼女の婚約者が耳をそばだてている。妹よ。多分近い将来お前も同じ目に遭うと思うぞ、と心の中で念じておくも、自分がどうしたら彼女の特別になれるかはいまだにわからないままだった。
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