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どちらを選んでも
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クララは兄とサーシャの会話に笑いを堪えるのに必死になっていた。
「サーシャって恋愛関連以外はあんなに気がきくのに、何でなのかな。」
「多分今まで自分に関係がなかったからでしょ。」
「でも、一応は彼方の国で王子と言う婚約者がいたのよ?」
「でも、相手が求めたのは別の人だった。彼女は求められたことには全力でとりくんだんだ。相手を諌めるのも、男爵令嬢に苦言を呈したのも、皆がそれを望み、与えられた役割を遂行しようとしたから。あ、これはあの花畑が言っていた悪役とかではなくてね。あの国母の方。」
そう言われて合点がいった。
「国母になることは、一番望まれていても、王子の愛を勝ち取ることは別にどうでも良いことだったものね。」
あの状況なら仕方がない。恋愛はある程度の時間的な、精神的な余裕があって成立するものだろうから。
「なら、王子様と男爵令息、どちらにしよう?とか言ってる人は暇を持て余しているってことね。」
「自分がそれしか悩むことがないからね。ただアレの場合は、嫌なことには目を瞑るだけだから、本当の自分にはやらなければいけないことだらけ、で忙しいと言うことはあるよ。」
エリアスが言う通り、呑気な人達は、自分だけはずっと呑気なままいられると思っているらしいが、そうはいかない。
「手紙の返事がそろそろ来る頃なんだけど。」
『アレクサンドラがこの国を離れたくなったら、ぜひ頼ってくれ。』
兄はそう彼女に告げたらしいが、ダリアはダリアで別の国から同じようなセリフを言われたことがある。
『あの王子が彼女を逃すことになれば、彼女は其方に渡すから国は貰えないだろうか。勿論、この国との同盟はそのままさ。実は奥さんが欲しいものがあるらしくてね。」
この辺りでは一番の大国であるその国の王は愛する妻の為、隣国をずっと手に入れたいと思っていたのだ。
アレクサンドラは助けたかったけれど、国には興味のない我々と、国を手に入れたい彼方側。利害は一致した。
その後すぐに届いた書簡には、感謝の言葉と、こちら側には手を出さない旨の誓約書が添えられていた。そのまま信じるわけもないので、国境付近には多くの兵を投入することにはなるだろうが。
「サーシャには黙っていた方が良いわよね?」
エリアスは不思議な顔をする。
「ん?いや、多分もう知って……じゃないか、予測されてましたよ。あと半月もあれば、大国に取り込まれるわね、って。だから、あのマリナは、選んだところでどうするのかしら?って。」
「いつ話したの?」
「式が始まる少し前です。思い残したことはないかと聞いた時に。」
クララは彼女を誤解していた。辛くて逃げ出す結果にはなったけれど、もし助けを求められたら、また助けたり戻って行ってしまうんじゃないかと。
だけど彼女は国を許すつもりも帰るつもりもなかった。
「安心したわ。良かった。あの子、怒れるんじゃない。」
「サーシャって恋愛関連以外はあんなに気がきくのに、何でなのかな。」
「多分今まで自分に関係がなかったからでしょ。」
「でも、一応は彼方の国で王子と言う婚約者がいたのよ?」
「でも、相手が求めたのは別の人だった。彼女は求められたことには全力でとりくんだんだ。相手を諌めるのも、男爵令嬢に苦言を呈したのも、皆がそれを望み、与えられた役割を遂行しようとしたから。あ、これはあの花畑が言っていた悪役とかではなくてね。あの国母の方。」
そう言われて合点がいった。
「国母になることは、一番望まれていても、王子の愛を勝ち取ることは別にどうでも良いことだったものね。」
あの状況なら仕方がない。恋愛はある程度の時間的な、精神的な余裕があって成立するものだろうから。
「なら、王子様と男爵令息、どちらにしよう?とか言ってる人は暇を持て余しているってことね。」
「自分がそれしか悩むことがないからね。ただアレの場合は、嫌なことには目を瞑るだけだから、本当の自分にはやらなければいけないことだらけ、で忙しいと言うことはあるよ。」
エリアスが言う通り、呑気な人達は、自分だけはずっと呑気なままいられると思っているらしいが、そうはいかない。
「手紙の返事がそろそろ来る頃なんだけど。」
『アレクサンドラがこの国を離れたくなったら、ぜひ頼ってくれ。』
兄はそう彼女に告げたらしいが、ダリアはダリアで別の国から同じようなセリフを言われたことがある。
『あの王子が彼女を逃すことになれば、彼女は其方に渡すから国は貰えないだろうか。勿論、この国との同盟はそのままさ。実は奥さんが欲しいものがあるらしくてね。」
この辺りでは一番の大国であるその国の王は愛する妻の為、隣国をずっと手に入れたいと思っていたのだ。
アレクサンドラは助けたかったけれど、国には興味のない我々と、国を手に入れたい彼方側。利害は一致した。
その後すぐに届いた書簡には、感謝の言葉と、こちら側には手を出さない旨の誓約書が添えられていた。そのまま信じるわけもないので、国境付近には多くの兵を投入することにはなるだろうが。
「サーシャには黙っていた方が良いわよね?」
エリアスは不思議な顔をする。
「ん?いや、多分もう知って……じゃないか、予測されてましたよ。あと半月もあれば、大国に取り込まれるわね、って。だから、あのマリナは、選んだところでどうするのかしら?って。」
「いつ話したの?」
「式が始まる少し前です。思い残したことはないかと聞いた時に。」
クララは彼女を誤解していた。辛くて逃げ出す結果にはなったけれど、もし助けを求められたら、また助けたり戻って行ってしまうんじゃないかと。
だけど彼女は国を許すつもりも帰るつもりもなかった。
「安心したわ。良かった。あの子、怒れるんじゃない。」
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