男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?

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情報網は穴だらけ

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サーシャとクララの交流は変わらず続いていた。クララには自国での友人というものはいない。他国へ留学していたから当然と言えば当然だが、一部の公爵令嬢から兄の邪魔をするなと見当違いの嫌がらせがある為に、あまり積極的に社交界に出ていない。

この公爵令嬢というのは、兄の幼馴染を自称しており、クララを目の敵にしている。兄はずっと王妃になりたい、と此方のご令嬢からアプローチされているのだが、すでにサーシャを願っている以上、とりつく島もない。

彼女は一応大臣の娘ということもあり、王城には自由に出入りできる。だが、ここは王宮内。本来なら一介の公爵令嬢が立ち入れない場所なのだが、何故か彼女はいた。

サーシャとクララの二人だけの茶会に乱入したのである。

「貴女がサーシャ・スレッジ?病弱だと言いながらレンドール様に取り入って、やっぱり血は争えないわね。王女様の母君とよく似ていらっしゃるわ。」

正直、とても面倒ではあるが、クララは悪い癖が出てしまった。彼女と、元公爵令嬢のサーシャ、どちらが公爵令嬢として上等なのか、見たくなったのだ。クララの予想としてはサーシャの圧勝ではあるのだけど、どうなのかしら。

サーシャはクララを見て動きを止める。まずはサーシャに軍配。

「あら、此方わが国の公爵令嬢のセシル嬢よ。マクドニー公爵家のご令嬢なの。元気が良くて、奇抜な発想をする方なのよ。」

威勢は良くても、マナーができないの。

「そして、此方はサーシャ・スレッジ侯爵令嬢よ。意外ね。マクドニー家の網は修理をお勧めするわ。肝心の中身が抜けているようだもの。それか、流通に問題があるのかしら。」

「失礼な!うちの話は良いんですわ。それよりも、折角留学されたのに、帰って来た理由を教えてくださらない?」

「留学期間が終わったからですわ。それ以外に何もないでしょう?」

折角割り振ってあげた問題点を一蹴し、当たり前の理由を尋ねるなんてやっぱりこの公爵令嬢はダメね。

比べる甲斐もなかった。

サーシャは笑顔を浮かべたまま、セシル嬢を値踏みしているようだ。

「留学先で素敵な方とは出会わなかったのですか?」
「出会いましたわよ。二人ほど。」
「あら、お二人も?その方ってお貴族の方?それとも……」

クララはマクドニー公爵家がどの程度の情報を手に入れているのか探ってみたが芳しい成果はないようだ。

誰かを連れて来たのはわかっていても、彼の素性にまでは行き着いていないらしい。

「内緒です。後のお楽しみですわ。」

セシル嬢はわかりやすく顔を歪めると、また唐突に去っていく。

「何かすごい人でしたわね。」

サーシャは言葉を選んでくれたけど、クララとしては自国の公爵令嬢の程度の低さに嘆くしかなかった。
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