悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang

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どこかおかしい関係

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急いで追いついたリンゼイと、邸を出ると予想した通り邸の外にはジェレミアがお忍びで出る時に使ういい馬車だが至ってシンプルな金の装飾の施された馬車が停まっていた。



(ジェレミーの使いだと一目でわかる。やはりスパイ….いや、護衛はすぐに伝えに戻ったのね。)





「リンゼイ、馬車に乗ったらすぐに身なりを整えるわ。」


「はい、皇女様。」


心配そうにシエラを見つめるリンゼイに「大丈夫」と少し微笑んだ。





「シエラ皇女!」


(もう追いついたのね…)




急いで追って来たのだろう。シャツを正す事も程々に上着を適当に羽織ったリヒトがシエラの手首を取った。



「マッケンゼン公爵…これでは誤解を招きます。」


「俺達は婚約者だ、別に問題はないでしょう。」


「……とにかく離して下さい。」


「メリーの言った事は気にしないで下さい。」


「ふふ、相変わらず優しいのね。大丈夫、気にしてませんから。さっきの事も全部忘れました。」


「…そう言う意味じゃないっ、ちゃんと話を…」






「姉様。」



中々馬車に乗らないシエラに痺れを切らしたのだろう。


馬車から降りてきたジェレミアがシエラを呼ぶと、シエラも、リヒトもやっと追いついて来たばかりのメリーもが目を見開いた。




「ジェレミー、何故あなたが…?」



「姉様が心配で迎えに来たんだ…迷惑だったかな?」



ジェレミアは俯き加減にそう言って、申し訳無さそうにシエラを覗き見る。

どうやらシエラは弟としてのジェレミアに甘いようで、「いいえ、そんな事ないわ。」と咄嗟に否定している。



「皇太子殿下が直接お迎えに…?」


メリーが思わずポツリと口に出してしまうと、リヒトが諌めるようにチラリとメリーを見た。




「あぁ、姉様は皇宮の外をあまり知らなくてね。心配だったんだ。」



「殿下…マッケンゼン邸でシエラ皇女に危険が及ぶことはありませんのでどうぞご安心下さい。」



「そうかな?…姉様、。」


ジェレミアはシエラの乱れたドレスと、リヒトの乱れたままの装いを観察するように見て、睨むように目を細めた。


(ふーん、でもどうやら何か問題があったようだ。原因は…アレメリーかな….。)




「マッケンゼン公爵、離して。」




「リヒト、何があったかは分からないが…姉様を解放してくれるかな?」



「…。」


「マッケンゼン公爵、お願い。」



「おや?そこの御令嬢はどうやら噂のメリー嬢に見えるね。」



「はい、殿下。お初にお目にかかります。」


「皇女にもそっけないリヒトが唯一大切にしているマッケンゼンの姫と呼ばれている令嬢だね。」


「い、いえ…リヒトとは幼馴染で…周りが勝手に…っ皇女様の婚約者だというのに恐れ多いです…。」


「いや、僕も姉様も気にしない。



「殿下っ!」


リヒトが慌ててジェレミアを呼ぶ、その隙に腕を振り払ったシエラは早足でジェレミアの元へと移動する。


そんなシエラを抱きしめてから、腰に手を回して彼女の頭に口付けると少し乱れた髪を整えてやるように撫でた。



「姉様、姉様もそう思うだろう?」


「ええそうね。




そう言って感情の読めない微笑みを向けたシエラにリヒトは胸がざわついた。


「俺の婚約者は貴女です。」


「…。ジェレミー、帰りましょう。少し疲れたみたい。」


「…っ誤解しないで下さい。俺は魔がさしたからとはしません。」



「…!マッケンゼン公爵…」



シエラの言葉を遮ったのは意外にもジェレミアであった。



「リヒト。僕達は案外忙しくてね。そろそろ帰るよ。」


そしてリヒトにだけ聞こえるように小声で耳打ちした。


「どうやらようだね。あとは僕に任せて。姉様はお前の事はすぐに忘れるよ。」



そしてシエラを促すように馬車に乗せたジェレミアをリヒトはもう見送る他なかった。


いつもは何も感じないメリーのリヒトの服の裾を掴む手が何故か疎ましく感じた。


シエラの腰に添えられた手、姉弟というにはあまりに不自然に絡めて繋がれた指先、馬車のカーテンに映った影が一つになった瞬間。




全てがリヒトにとって耐えがたい拷問のようにすら感じた。


(キスはあえて俺に見せつける為か…)


もう見えなくなった馬車を見つめたままのリヒトを心配そうにメリーが引っ張るのであった。






「ねえ、もう中に入りましょうリヒト、あの方々は少し変よ…まるで姉弟ではなくのようだったわ。」



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