41 / 49
第41話 セシリアSIDE
しおりを挟む
「魔光石もある、聖者の法衣も用意した……これで完璧ね」
セシリアは魔法ポーチの中を整理しながら、ある人物がやって来るのを待っていた。
今日はセシリアにとって、とても大事な意味を持つ日である。
(だって、今日は私がA級ダンジョンをクリアして、一流冒険者の証を手に入れる日なんだから)
セシリアが立っているのは、シルワ王国の旗が立つ【エクスハラティオ炎洞殿】の入口だった。
以前に一度挑戦したことがあり、結局、10日以内に攻略することが叶わなかったダンジョンだ。
しばらく木の幹に背中を預け、そのまま待っていると、遠くの方から人影が見えてくる。
間違いない……アイツだ、とセシリアは思った。
やがて、その者が近くまでやって来ると、セシリアは笑顔を見せて声をかけた。
「久しぶりね、ナード」
「……セシリア? なんでここに……」
「あなたがB級ダンジョンをクリアしたって噂で聞いてたし。シルワにあるA級ダンジョンはここしかないでしょ? だから、来るって思ったのよ」
「……」
「随分と強くなったみたいね。大司祭様から聞いたわ。あなた、LPを増やすユニークスキルを覚醒させたんですって?」
「……はぁ、さすがにバレてるよね」
「ギルドでもあなたの話で持ちきりよ? LPを増やすスキルなんて前代未聞だわ。みんなあなたの動向が気になってるのよ」
「デュカとケルヴィンにも言われたよ。この前、偶然ギルドで会ったんだ。僕がすごい有名人になってるって」
「デュカとケルヴィン……?」
その時、セシリアの視線は、ナードが装備している武器と防具に向く。
「……え、ちょっと待って。それ、ウロボロスアクスと上帝の盾……。どうしたの?」
「ああ、その前にちょっと色々あってね。譲ってもらったんだ」
「……」
(あのデュカとケルヴィンが? これって、親から引き継いだ大事な装備でしょ?)
セシリアは、なんでもなさそうに語るナードを見ながら思った。
譲ってもらったなんて嘘だ、と。
(絶対に2人から無理やり奪ったんだわ)
あれだけ大々的にパーティーから追放したのだ。ナードが恨みを抱えていたとしても、まったく不思議なことではない。
グッと拳を握り締めつつも、セシリアは笑顔を作ってナードに接する。
「そうだったのね。実は2人とはちょっと前にパーティーを解消したのよ。ほら、あの2人って途中から私たちのパーティーに参加してきたでしょ? だから、やっぱり馬が合わなくてね」
「そっか」
「ダコタとも組むのをやめたわ」
「へぇ……」
「だから、今はソロで冒険者やってるんだけど……」
そこでセシリアは短く息を吸い込んだ。
「……実は、もう一度ナードとパーティーを組みたいって思っていて。ここであなたを待っていたのは、そのためなの」
「……」
「もちろん、こんなことを言う資格が自分にないって分かってるわ。私はあなたに、とても酷いことを言ってしまった。それに、パーティーから追い出すような真似もしてしまって……。本当にごめんなさい。でもあの時は、タイクーンとしてパーティーをまとめるのに、ああ言うしかなかったの。けど、3人と別れて分かったわ。私は、やっぱりナードと組みたいんだって。ほら、学生時代からずっと一緒にパーティーを組むって約束してたでしょ?」
自分でそう口にしながら、セシリアは吐き気のする思いでいた。
昔からずっとこうして感情を押し殺してナードと接してきたのだ。
こうして持ち上げながら会話するだけでも、反吐が出る思いであった。
(でも、ここはガマンよ。これもすべてこのクズからユニークスキルを奪うためなんだから)
奪い取ってしまったら、いたぶるなり斬り殺すなりこちらの自由だ。
だから、それまではセシリアは我慢する必要があった。
相手に誠意が伝わるように、深々と頭を下げながらセシリアはお願いする。
「謝って済む問題じゃないっていうのは分かってるわ。でも、私はナードともう一度パーティーを組みたい。心は完全に入れ替えたの。指南役じゃなくて、今度は本当に信頼できる仲間の1人として一緒にダンジョンに入りたい。もちろん、これからはナードがタイクーンで、取り分は多くて構わないから。だから、どうかお願いします……!」
「……」
暫しの沈黙の後。
「……分かったよ」
ナードは静かにそう頷いた。
それを聞いて、セシリアは口元をわずかに釣り上げる。
そう――セシリアには、ナードがこの誘いを断らないという強い確信があったのだ。
(フフッ、やっぱりね。昔からそう。コイツは私に気があるから。私の頼みは絶対に断らない)
セシリアは随分前からナードが自分に好意を抱いていることに気付いていた。
当然、セシリアにはそんな気などこれっぽっちもない。
(人の顔色ばかり窺ってるような軟弱な男に、女が惹かれるわけがないのよ)
セシリアは顔をパッと輝かせると、ナードの手を取って喜びを爆発させる。
もちろん、すべて演技だ。
「ホントっ!? ありがとうナード! またあなたとパーティーが組めて嬉しいわ!」
「うん」
「それじゃ、さっそくだけど【エクスハラティオ炎洞殿】に入りましょう!」
「それはいいんだけど、本当に大丈夫? こう言っちゃなんだけど、A級ダンジョンはかなり危険だよ?」
「ええ、心配には及ばないわ。このダンジョンは、私も以前に入ったことがあるから。勝手なら分かってる。ナードのサポートとして、攻撃魔法で援護するから」
「攻撃魔法かぁ……。正直、あまりいらないかな。後方で時々回復アイテムを使ってくれたらそれでいいよ」
「……え? そ、そう? 分かったわ……ならそれで」
それはあんたの仕事だったでしょ!?
なんで私がそんな役割をしなくちゃいけないのよ!
そう喉元まで出かかった言葉をセシリアは飲み込む。
(……ッ。こんなところでムキになっちゃダメ。ナードが隙を見せるチャンスを待つのよ……)
腹の奥にどす黒い感情を抱えつつ、セシリアはナードと共にダンジョンの中へと入って行く。
◇
【エクスハラティオ炎洞殿】は、シルワ王国が管理下に置く唯一のA級ダンジョンである。
その難易度は最高クラスと言われており、ここ20年くらいはクリアした者は現れていない。
すべての冒険者の中で、A級ダンジョンをクリアできる者はごく少数と言われている。
その数、全体の0.01%。
そもそもLP制限で入れる者自体が少なく、挑戦者が極端に少ないダンジョンなのである。
【エクスハラティオ炎洞殿】の構造は、地下低層型に分類され、そこまでダンジョンは深くない。
その代わりに、内部の環境は厳しく、溶岩が転がる灼熱の中を進む必要がある。
だが、このダンジョンに入るような冒険者なら、当然《環境適応》のスキルは習得しているはずで、セシリアもナードも、特に環境に苦労することなくダンジョンを進んで行く。
「斧術中級技――《無双炎車輪》!」
ドドドドドドガギーーーーンッ!!
ナードはウロボロスアクスを駆使して、A級魔獣を次々と殲滅していく。
それも、そのほとんどが瞬殺だった。
(もう疑いようがないわね)
前回、あれほど自分たちが苦戦して倒してきたA級魔獣を軽々と討伐していくさまを見て、セシリアは確信する。
やはり、ナードはLPを増やすスキルを覚醒させたのだ、と。
「セシリア。ちょっとダメージ食らっちゃったから回復アイテムお願い。それと、ドロップしたアイテムはちゃんと拾ってね。さっき見逃してる物があったから」
「ご、ごめんなさいっ……。今使うわ……!」
立場はこれまでと違って、完全に逆転してしまっていた。
(くっ……。なんで私がこんな役を……)
正直言って、この屈辱的な状況は耐えられないという思いだったが、とりかえの杖が使えるチャンスは1度しかない。
今のナードに正面からとりかえの杖を使っても、奪われるのがオチだ。
(大丈夫……チャンスは絶対に来るわ。その時まではガマンしなくちゃ)
ナードが所持するユニークスキルがどれほど強力なのかはよく分かった。
あとは、それを奪い取るだけ。
セシリアには、ある考えがあった。
セシリアは魔法ポーチの中を整理しながら、ある人物がやって来るのを待っていた。
今日はセシリアにとって、とても大事な意味を持つ日である。
(だって、今日は私がA級ダンジョンをクリアして、一流冒険者の証を手に入れる日なんだから)
セシリアが立っているのは、シルワ王国の旗が立つ【エクスハラティオ炎洞殿】の入口だった。
以前に一度挑戦したことがあり、結局、10日以内に攻略することが叶わなかったダンジョンだ。
しばらく木の幹に背中を預け、そのまま待っていると、遠くの方から人影が見えてくる。
間違いない……アイツだ、とセシリアは思った。
やがて、その者が近くまでやって来ると、セシリアは笑顔を見せて声をかけた。
「久しぶりね、ナード」
「……セシリア? なんでここに……」
「あなたがB級ダンジョンをクリアしたって噂で聞いてたし。シルワにあるA級ダンジョンはここしかないでしょ? だから、来るって思ったのよ」
「……」
「随分と強くなったみたいね。大司祭様から聞いたわ。あなた、LPを増やすユニークスキルを覚醒させたんですって?」
「……はぁ、さすがにバレてるよね」
「ギルドでもあなたの話で持ちきりよ? LPを増やすスキルなんて前代未聞だわ。みんなあなたの動向が気になってるのよ」
「デュカとケルヴィンにも言われたよ。この前、偶然ギルドで会ったんだ。僕がすごい有名人になってるって」
「デュカとケルヴィン……?」
その時、セシリアの視線は、ナードが装備している武器と防具に向く。
「……え、ちょっと待って。それ、ウロボロスアクスと上帝の盾……。どうしたの?」
「ああ、その前にちょっと色々あってね。譲ってもらったんだ」
「……」
(あのデュカとケルヴィンが? これって、親から引き継いだ大事な装備でしょ?)
セシリアは、なんでもなさそうに語るナードを見ながら思った。
譲ってもらったなんて嘘だ、と。
(絶対に2人から無理やり奪ったんだわ)
あれだけ大々的にパーティーから追放したのだ。ナードが恨みを抱えていたとしても、まったく不思議なことではない。
グッと拳を握り締めつつも、セシリアは笑顔を作ってナードに接する。
「そうだったのね。実は2人とはちょっと前にパーティーを解消したのよ。ほら、あの2人って途中から私たちのパーティーに参加してきたでしょ? だから、やっぱり馬が合わなくてね」
「そっか」
「ダコタとも組むのをやめたわ」
「へぇ……」
「だから、今はソロで冒険者やってるんだけど……」
そこでセシリアは短く息を吸い込んだ。
「……実は、もう一度ナードとパーティーを組みたいって思っていて。ここであなたを待っていたのは、そのためなの」
「……」
「もちろん、こんなことを言う資格が自分にないって分かってるわ。私はあなたに、とても酷いことを言ってしまった。それに、パーティーから追い出すような真似もしてしまって……。本当にごめんなさい。でもあの時は、タイクーンとしてパーティーをまとめるのに、ああ言うしかなかったの。けど、3人と別れて分かったわ。私は、やっぱりナードと組みたいんだって。ほら、学生時代からずっと一緒にパーティーを組むって約束してたでしょ?」
自分でそう口にしながら、セシリアは吐き気のする思いでいた。
昔からずっとこうして感情を押し殺してナードと接してきたのだ。
こうして持ち上げながら会話するだけでも、反吐が出る思いであった。
(でも、ここはガマンよ。これもすべてこのクズからユニークスキルを奪うためなんだから)
奪い取ってしまったら、いたぶるなり斬り殺すなりこちらの自由だ。
だから、それまではセシリアは我慢する必要があった。
相手に誠意が伝わるように、深々と頭を下げながらセシリアはお願いする。
「謝って済む問題じゃないっていうのは分かってるわ。でも、私はナードともう一度パーティーを組みたい。心は完全に入れ替えたの。指南役じゃなくて、今度は本当に信頼できる仲間の1人として一緒にダンジョンに入りたい。もちろん、これからはナードがタイクーンで、取り分は多くて構わないから。だから、どうかお願いします……!」
「……」
暫しの沈黙の後。
「……分かったよ」
ナードは静かにそう頷いた。
それを聞いて、セシリアは口元をわずかに釣り上げる。
そう――セシリアには、ナードがこの誘いを断らないという強い確信があったのだ。
(フフッ、やっぱりね。昔からそう。コイツは私に気があるから。私の頼みは絶対に断らない)
セシリアは随分前からナードが自分に好意を抱いていることに気付いていた。
当然、セシリアにはそんな気などこれっぽっちもない。
(人の顔色ばかり窺ってるような軟弱な男に、女が惹かれるわけがないのよ)
セシリアは顔をパッと輝かせると、ナードの手を取って喜びを爆発させる。
もちろん、すべて演技だ。
「ホントっ!? ありがとうナード! またあなたとパーティーが組めて嬉しいわ!」
「うん」
「それじゃ、さっそくだけど【エクスハラティオ炎洞殿】に入りましょう!」
「それはいいんだけど、本当に大丈夫? こう言っちゃなんだけど、A級ダンジョンはかなり危険だよ?」
「ええ、心配には及ばないわ。このダンジョンは、私も以前に入ったことがあるから。勝手なら分かってる。ナードのサポートとして、攻撃魔法で援護するから」
「攻撃魔法かぁ……。正直、あまりいらないかな。後方で時々回復アイテムを使ってくれたらそれでいいよ」
「……え? そ、そう? 分かったわ……ならそれで」
それはあんたの仕事だったでしょ!?
なんで私がそんな役割をしなくちゃいけないのよ!
そう喉元まで出かかった言葉をセシリアは飲み込む。
(……ッ。こんなところでムキになっちゃダメ。ナードが隙を見せるチャンスを待つのよ……)
腹の奥にどす黒い感情を抱えつつ、セシリアはナードと共にダンジョンの中へと入って行く。
◇
【エクスハラティオ炎洞殿】は、シルワ王国が管理下に置く唯一のA級ダンジョンである。
その難易度は最高クラスと言われており、ここ20年くらいはクリアした者は現れていない。
すべての冒険者の中で、A級ダンジョンをクリアできる者はごく少数と言われている。
その数、全体の0.01%。
そもそもLP制限で入れる者自体が少なく、挑戦者が極端に少ないダンジョンなのである。
【エクスハラティオ炎洞殿】の構造は、地下低層型に分類され、そこまでダンジョンは深くない。
その代わりに、内部の環境は厳しく、溶岩が転がる灼熱の中を進む必要がある。
だが、このダンジョンに入るような冒険者なら、当然《環境適応》のスキルは習得しているはずで、セシリアもナードも、特に環境に苦労することなくダンジョンを進んで行く。
「斧術中級技――《無双炎車輪》!」
ドドドドドドガギーーーーンッ!!
ナードはウロボロスアクスを駆使して、A級魔獣を次々と殲滅していく。
それも、そのほとんどが瞬殺だった。
(もう疑いようがないわね)
前回、あれほど自分たちが苦戦して倒してきたA級魔獣を軽々と討伐していくさまを見て、セシリアは確信する。
やはり、ナードはLPを増やすスキルを覚醒させたのだ、と。
「セシリア。ちょっとダメージ食らっちゃったから回復アイテムお願い。それと、ドロップしたアイテムはちゃんと拾ってね。さっき見逃してる物があったから」
「ご、ごめんなさいっ……。今使うわ……!」
立場はこれまでと違って、完全に逆転してしまっていた。
(くっ……。なんで私がこんな役を……)
正直言って、この屈辱的な状況は耐えられないという思いだったが、とりかえの杖が使えるチャンスは1度しかない。
今のナードに正面からとりかえの杖を使っても、奪われるのがオチだ。
(大丈夫……チャンスは絶対に来るわ。その時まではガマンしなくちゃ)
ナードが所持するユニークスキルがどれほど強力なのかはよく分かった。
あとは、それを奪い取るだけ。
セシリアには、ある考えがあった。
115
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~
名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」
「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」
「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」
「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」
「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」
「くっ……」
問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。
彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。
さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。
「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」
「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」
「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」
拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。
これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる