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第42話 セシリアSIDE
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探索を開始してから約2時間。
溶岩で埋め尽くされた燃えるような川を越えて下の階層へ降りると、ようやく開けたフロアが姿を見せる。
ここぞとばかりにセシリアはある提案を投げかけた。
「ナード。そろそろこの辺りで一度休憩にしないかしら? 【エクスハラティオ炎洞殿】は、ここからがまだ長いから」
「そうだね。そうしようか」
2人は魔獣が近くにいないことを確認すると、その場に座って少しの間休憩を取ることにする。
「どうぞ。ナードの分よ」
「これは?」
「シルワで一番人気のパン屋で買ってきた白パン。1個1,000アローもするんだから。元気になるから食べてみて」
「……」
セシリアから白パンを受け取るも、ナードはそれをなかなか口へ運ぼうとしない。
「……悪いけど、今はあまりお腹空いてないし。僕は大丈夫」
「でも、まだ先は長いわよ? 食べないと体力が持たないわ」
「セシリアが食べてよ。僕はこうやって体を休めているだけでも十分だから」
「そ、そう……?」
さすがにまだ警戒されているか、とセシリアは思った。
だが。
(もちろんこれは想定済みよ)
白パンの中に毒が入っているというようなことはない。セシリアは、一度ナードの警戒心を確認したのだ。
「それじゃ、捨てるのは勿体ないから、私が2個食べちゃうわね」
そう言ってセシリアはわざとらしく白パンをおいしそうに頬張る。
「んんっ~! ふんわりもちもちで本当においしいわ♪」
「……」
食べ終わるまでの間、ナードは静かにセシリアの姿を見守っていた。
◇
「ふぅ……。ごちそうさまでした」
「食べ終わったなら、そろそろ出発しよう」
「あ、ちょっと待って。その前に少し水を飲んでもいいかしら?」
「べつにいいけど……」
魔法ポーチの中から皮の水筒を取り出すと、それを木のカップに注ぐ。
それを飲み干すと、別のカップにもう一度水を注ぐ。
「ナードもどう?」
しばしの間を置いた後、ナードはそれをゆっくりと受け取った。
「ありがとう」
そして、ナードがその水を口に含んで飲み干した瞬間、セシリアはにやりと口元を曲げる。
(かかったわね!)
実は、水筒は二種類用意しており、その1つには暴眠草の秘水を入れていたのだ。
一度それを口に含めば、3日は起きられないと言われている。
これもまた、大司祭に頼んで貰った物であった。
それから出発の準備を進めていると、ナードの体に異変が起きる。
「っ……」
「どうしたの?」
「な、なんか頭が、くらくらして……急に眠気が……」
「ひょっとしたら、疲れたのかもしれないわね。少し横になった方がいいわ」
「う、うん……」
セシリアに支えられるようにして、ナードはその場で横になった。
すると、すぐに寝息を立てて眠りに落ちてしまう。
ナードが完全に寝ているのを確認すると、ようやくセシリアは化けの皮を剥いだ。
「あははは! バカがぁ! 暴眠草の秘水が入ってたのよ! ざまぁないわね、ナード!」
3日もこの場で放置されたら、まず間違いなく魔獣の餌食になるはず。
体は食いちぎられ、蘇ることも叶わない。
冒険者ギルドでクエストの受注をせずにここへ来たため、セシリアは自分の犯行を疑われることもなかった。
「いい気味ぃ!」
ナードが死んだ噂は瞬く間に広がり、無謀にもソロでA級ダンジョンに挑んだ末の自業自得の死と、皆に嘲笑されるに違いない。
そう思うと、セシリアは笑いが止まらなかった。
それからひと通り笑った後、セシリアはユニークスキル交換の儀式に臨むことにする。
「魔獣がやって来ないうちに早く始めちゃいましょうか」
魔法ポーチの中からまずとりかえの杖を取り出すと、C級魔光石と聖者の法衣も一緒に用意する。
ダコタとパーティーを解消してから今日までの1週間。
セシリアは、いくつかC級ダンジョンをソロでクリアして、200万アローもする聖者の法衣を購入するための資金を貯めてきた。
大司祭に教わった手順で、とりかえの杖上段部分にC級魔光石をはめると、聖者の法衣を羽織って祝詞を読み上げる。
そして、ナードに向けて杖を振りかざしながら、セシリアが最後の一文を唱えると
「――全知全能にして我らがエデンの父よ。今こそ神の御業を示し、我と汝の力を入れ替えよ。〝ユニークスキル交換〟」
2人の体は発光して、そのまま眩い光に包まれる。
「……っ」
やがて、光の波が静かにおさまっていくと、セシリアは薄っすらと目を開けた。
「これで本当に入れ替わったの?」
半信半疑のまま、セシリアは横たわるナードに目を向ける。
すると、その瞬間――。
ドックンッッ!!
痺れるような衝撃が駆け抜けると、体の奥底から力がみなぎってくる。
この感覚には、セシリアは覚えがあった。
すぐにビーナスのしずくに触れて自身のステータスを確認する。
-----------------
[セシリア]
LP200
HP275/400
MP185/300
攻220(+50)
防220(+70)
魔攻220
魔防220(+20)
素早さ220(+10)
幸運220
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:《フリーズウォーター》
無属性魔法:
《超集中》《瞬間移動》《環境適応》
攻撃系スキル:
<槍術>-《撃月陣》-《不知火槍》
補助系スキル:
《分析》《投紋》《調薬》《陽動》
武器:スーパーヴァレリーランス
防具:聖者の法衣
アイテム:
ポーション×181、ダブルポーション×76
マジックポーション×176、マジックポッド×41
エリクサー×11、水晶ジェム×297
ウインドグラス×9、獣角の砂×7
トウテツクリスタル×2、魔力油×2
巨神龍のうろこ×1、ゴールデンスター×1
マジックメイル×1、金剛石の盾×1
ミスリルヘルム×1、女帝の腕輪×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、生命の護印×1
所持金:930,679アロー
所属パーティー:鉄血の戦姫
討伐数:
E級魔獣382体、E級大魔獣5体
D級魔獣201体、D級大魔獣3体
C級魔獣238体、C級大魔獣6体
B級魔獣27体、B級大魔獣1体
A級魔獣12体
状態:ランダム状態上昇<風魔法10倍ダメージ>
-----------------
「うそ……本当に変わってるじゃない!? や、やったわ……!」
ユニークスキルの項目には、これまで見たことのないスキルが表示されていた。
<アブソープション>と<バフトリガー>。
どうやらこの2つが、ナードが所持していたユニークスキルのようだ。
このうち<バフトリガー>は、大司祭に話を聞いてセシリアはその性能を知っていた。
ということは……。
興奮したまま、セシリアは<アブソープション>の項目に触れてタップする。
-----------------
◆アブソープション
・スロットα
内容:相手のLPを1吸収する(1バトル/1回)
消費MP1
・スロットβ
内容:HP0となった相手のLPを吸収する(調整可)
消費MP0
-----------------
「相手のLPを吸収する……すごい! 本当にこんなスキルが存在したなんて……」
これまで培ってきた価値観が、すべて逆転してしまうような瞬間だった。
(どうりであそこまで強くなっていたわけね)
この<アブソープション>を所持していたからこそ、ナードは強くなれたのだ。
でなければ、成人の儀式であのような底辺のステータスを言い渡されて、A級魔獣が楽に倒せるようになるわけがない、とセシリアは思う。
「これさえあれば、このダンジョンの踏破も間違いないわ」
もともとのステータスは自分の方が遥かに上なのだ。
すぐにナードを追い越すことができるはず……。そうセシリアはほくそ笑む。
そして、自身のパラメーターが+100されていることにもセシリアは気付いた。
「これよ、これ!」
久しぶりに見る自分のステータスに、セシリアは思わずガッツポーズをする。
以前、ナードとパーティーを組んでいた時は、常にこんな感じのステータスだったのだ。
<バフトリガー>が、いかにすごいスキルだったかをセシリアは実感する。
「それと、ランダム状態上昇ね。見るのも久しぶりだわ。これがあったから、前は楽にダンジョンを攻略できてたのよ」
これも<豪傑>の性能とばかりセシリアは考えていたが、すべて<バフトリガー>の恩恵だったのだ。
ずっとナードに助けられていたという事実は、癪に障るセシリアであったが、今はそれも大して気にならないくらい気分は上がっていた。
「今回の効果は、<風魔法10倍ダメージ>か。どうせ、この後LPが増えるんでしょうし。そうね、風魔法をすべて覚えてしまってもいいかしら」
風魔法一覧を水晶ディスプレイに表示すると、セシリアはそれらすべてを習得してしまう。
-----------------
◆初級魔法-サイレントカッター/消費LP20
内容:敵1体に風魔法ダメージ(小)を与える
威力50ダメージ/詠唱時間3秒
消費MP5
◆中級魔法-ブラックサイクロン/消費LP50
内容:敵1体に風魔法ダメージ(中)を与える
威力120ダメージ/詠唱時間5秒
消費MP10
◆上級魔法-エターナルストーム/消費LP100
内容:敵1体に風魔法ダメージ(大)を与える
威力450ダメージ/詠唱時間7秒
消費MP20
-----------------
「フフッ……。役立たずな孤児のクズには、こんなレアスキルは勿体ないわ。私がたっぷり使ってあげるから。ナード、あんたはもう用済みよ」
聖者の法衣を脱ぎ捨てて防具を装着すると、泥のように眠るナードを見下ろしつつ、セシリアはその場を後にするのだった。
溶岩で埋め尽くされた燃えるような川を越えて下の階層へ降りると、ようやく開けたフロアが姿を見せる。
ここぞとばかりにセシリアはある提案を投げかけた。
「ナード。そろそろこの辺りで一度休憩にしないかしら? 【エクスハラティオ炎洞殿】は、ここからがまだ長いから」
「そうだね。そうしようか」
2人は魔獣が近くにいないことを確認すると、その場に座って少しの間休憩を取ることにする。
「どうぞ。ナードの分よ」
「これは?」
「シルワで一番人気のパン屋で買ってきた白パン。1個1,000アローもするんだから。元気になるから食べてみて」
「……」
セシリアから白パンを受け取るも、ナードはそれをなかなか口へ運ぼうとしない。
「……悪いけど、今はあまりお腹空いてないし。僕は大丈夫」
「でも、まだ先は長いわよ? 食べないと体力が持たないわ」
「セシリアが食べてよ。僕はこうやって体を休めているだけでも十分だから」
「そ、そう……?」
さすがにまだ警戒されているか、とセシリアは思った。
だが。
(もちろんこれは想定済みよ)
白パンの中に毒が入っているというようなことはない。セシリアは、一度ナードの警戒心を確認したのだ。
「それじゃ、捨てるのは勿体ないから、私が2個食べちゃうわね」
そう言ってセシリアはわざとらしく白パンをおいしそうに頬張る。
「んんっ~! ふんわりもちもちで本当においしいわ♪」
「……」
食べ終わるまでの間、ナードは静かにセシリアの姿を見守っていた。
◇
「ふぅ……。ごちそうさまでした」
「食べ終わったなら、そろそろ出発しよう」
「あ、ちょっと待って。その前に少し水を飲んでもいいかしら?」
「べつにいいけど……」
魔法ポーチの中から皮の水筒を取り出すと、それを木のカップに注ぐ。
それを飲み干すと、別のカップにもう一度水を注ぐ。
「ナードもどう?」
しばしの間を置いた後、ナードはそれをゆっくりと受け取った。
「ありがとう」
そして、ナードがその水を口に含んで飲み干した瞬間、セシリアはにやりと口元を曲げる。
(かかったわね!)
実は、水筒は二種類用意しており、その1つには暴眠草の秘水を入れていたのだ。
一度それを口に含めば、3日は起きられないと言われている。
これもまた、大司祭に頼んで貰った物であった。
それから出発の準備を進めていると、ナードの体に異変が起きる。
「っ……」
「どうしたの?」
「な、なんか頭が、くらくらして……急に眠気が……」
「ひょっとしたら、疲れたのかもしれないわね。少し横になった方がいいわ」
「う、うん……」
セシリアに支えられるようにして、ナードはその場で横になった。
すると、すぐに寝息を立てて眠りに落ちてしまう。
ナードが完全に寝ているのを確認すると、ようやくセシリアは化けの皮を剥いだ。
「あははは! バカがぁ! 暴眠草の秘水が入ってたのよ! ざまぁないわね、ナード!」
3日もこの場で放置されたら、まず間違いなく魔獣の餌食になるはず。
体は食いちぎられ、蘇ることも叶わない。
冒険者ギルドでクエストの受注をせずにここへ来たため、セシリアは自分の犯行を疑われることもなかった。
「いい気味ぃ!」
ナードが死んだ噂は瞬く間に広がり、無謀にもソロでA級ダンジョンに挑んだ末の自業自得の死と、皆に嘲笑されるに違いない。
そう思うと、セシリアは笑いが止まらなかった。
それからひと通り笑った後、セシリアはユニークスキル交換の儀式に臨むことにする。
「魔獣がやって来ないうちに早く始めちゃいましょうか」
魔法ポーチの中からまずとりかえの杖を取り出すと、C級魔光石と聖者の法衣も一緒に用意する。
ダコタとパーティーを解消してから今日までの1週間。
セシリアは、いくつかC級ダンジョンをソロでクリアして、200万アローもする聖者の法衣を購入するための資金を貯めてきた。
大司祭に教わった手順で、とりかえの杖上段部分にC級魔光石をはめると、聖者の法衣を羽織って祝詞を読み上げる。
そして、ナードに向けて杖を振りかざしながら、セシリアが最後の一文を唱えると
「――全知全能にして我らがエデンの父よ。今こそ神の御業を示し、我と汝の力を入れ替えよ。〝ユニークスキル交換〟」
2人の体は発光して、そのまま眩い光に包まれる。
「……っ」
やがて、光の波が静かにおさまっていくと、セシリアは薄っすらと目を開けた。
「これで本当に入れ替わったの?」
半信半疑のまま、セシリアは横たわるナードに目を向ける。
すると、その瞬間――。
ドックンッッ!!
痺れるような衝撃が駆け抜けると、体の奥底から力がみなぎってくる。
この感覚には、セシリアは覚えがあった。
すぐにビーナスのしずくに触れて自身のステータスを確認する。
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[セシリア]
LP200
HP275/400
MP185/300
攻220(+50)
防220(+70)
魔攻220
魔防220(+20)
素早さ220(+10)
幸運220
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:《フリーズウォーター》
無属性魔法:
《超集中》《瞬間移動》《環境適応》
攻撃系スキル:
<槍術>-《撃月陣》-《不知火槍》
補助系スキル:
《分析》《投紋》《調薬》《陽動》
武器:スーパーヴァレリーランス
防具:聖者の法衣
アイテム:
ポーション×181、ダブルポーション×76
マジックポーション×176、マジックポッド×41
エリクサー×11、水晶ジェム×297
ウインドグラス×9、獣角の砂×7
トウテツクリスタル×2、魔力油×2
巨神龍のうろこ×1、ゴールデンスター×1
マジックメイル×1、金剛石の盾×1
ミスリルヘルム×1、女帝の腕輪×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、生命の護印×1
所持金:930,679アロー
所属パーティー:鉄血の戦姫
討伐数:
E級魔獣382体、E級大魔獣5体
D級魔獣201体、D級大魔獣3体
C級魔獣238体、C級大魔獣6体
B級魔獣27体、B級大魔獣1体
A級魔獣12体
状態:ランダム状態上昇<風魔法10倍ダメージ>
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「うそ……本当に変わってるじゃない!? や、やったわ……!」
ユニークスキルの項目には、これまで見たことのないスキルが表示されていた。
<アブソープション>と<バフトリガー>。
どうやらこの2つが、ナードが所持していたユニークスキルのようだ。
このうち<バフトリガー>は、大司祭に話を聞いてセシリアはその性能を知っていた。
ということは……。
興奮したまま、セシリアは<アブソープション>の項目に触れてタップする。
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◆アブソープション
・スロットα
内容:相手のLPを1吸収する(1バトル/1回)
消費MP1
・スロットβ
内容:HP0となった相手のLPを吸収する(調整可)
消費MP0
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「相手のLPを吸収する……すごい! 本当にこんなスキルが存在したなんて……」
これまで培ってきた価値観が、すべて逆転してしまうような瞬間だった。
(どうりであそこまで強くなっていたわけね)
この<アブソープション>を所持していたからこそ、ナードは強くなれたのだ。
でなければ、成人の儀式であのような底辺のステータスを言い渡されて、A級魔獣が楽に倒せるようになるわけがない、とセシリアは思う。
「これさえあれば、このダンジョンの踏破も間違いないわ」
もともとのステータスは自分の方が遥かに上なのだ。
すぐにナードを追い越すことができるはず……。そうセシリアはほくそ笑む。
そして、自身のパラメーターが+100されていることにもセシリアは気付いた。
「これよ、これ!」
久しぶりに見る自分のステータスに、セシリアは思わずガッツポーズをする。
以前、ナードとパーティーを組んでいた時は、常にこんな感じのステータスだったのだ。
<バフトリガー>が、いかにすごいスキルだったかをセシリアは実感する。
「それと、ランダム状態上昇ね。見るのも久しぶりだわ。これがあったから、前は楽にダンジョンを攻略できてたのよ」
これも<豪傑>の性能とばかりセシリアは考えていたが、すべて<バフトリガー>の恩恵だったのだ。
ずっとナードに助けられていたという事実は、癪に障るセシリアであったが、今はそれも大して気にならないくらい気分は上がっていた。
「今回の効果は、<風魔法10倍ダメージ>か。どうせ、この後LPが増えるんでしょうし。そうね、風魔法をすべて覚えてしまってもいいかしら」
風魔法一覧を水晶ディスプレイに表示すると、セシリアはそれらすべてを習得してしまう。
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◆初級魔法-サイレントカッター/消費LP20
内容:敵1体に風魔法ダメージ(小)を与える
威力50ダメージ/詠唱時間3秒
消費MP5
◆中級魔法-ブラックサイクロン/消費LP50
内容:敵1体に風魔法ダメージ(中)を与える
威力120ダメージ/詠唱時間5秒
消費MP10
◆上級魔法-エターナルストーム/消費LP100
内容:敵1体に風魔法ダメージ(大)を与える
威力450ダメージ/詠唱時間7秒
消費MP20
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「フフッ……。役立たずな孤児のクズには、こんなレアスキルは勿体ないわ。私がたっぷり使ってあげるから。ナード、あんたはもう用済みよ」
聖者の法衣を脱ぎ捨てて防具を装着すると、泥のように眠るナードを見下ろしつつ、セシリアはその場を後にするのだった。
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