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第43話 セシリアSIDE
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ナードを置き去りにしたセシリアは、そのまま溶岩が一帯に転がる灼熱のダンジョンを進んでいた。
やがて、しばらくすると……。
ドドンッ、ドドンッ。
赤い巨体を揺らしたデーモンバトラーが1体、通路の奥から姿を現す。
「!」
少し油断した状態での遭遇だったため、セシリアは一瞬背筋を凍らせた。
これまでに、デーモンバトラーとは何度か対峙をしてきた。
そのたびに苦戦を強いられてきたので、その時の嫌な記憶が一気に甦ってくる。
だが、すぐにセシリアは思い出す。
自分は今、<バフトリガー>の恩恵を受けているのだ、と。
(おいでなさったわね……)
【エクスハラティオ炎洞殿】を進む以上、デーモンバトラーは必ず倒さなければならない相手だ。
以前のように、臆しているような余裕はない。
今、自分はソロなのだということをセシリアは改めて認識する。
すぐに水晶ディスプレイを立ち上げると、それをデーモンバトラーへ向けて《分析》をタップした。
-----------------
[デーモンバトラー]
LP50
HP1,520/1,520
MP100/100
攻520
防370
魔攻180
魔防200
素早さ150
幸運300
攻撃系スキル:
<爪術>-《ネメシスハンド》-《極・煉獄爪》
-《ツインアルティメットクロー》
状態: 物理攻撃・与ダメージ2倍
-----------------
さすがA級魔獣だけのことはあると、セシリアは敵のステータスを見て改めて息を呑んだ。
今までの状態だと、ソロではまったく歯が立たなかったに違いない。
デーモンバトラーは、成人男性の2倍ほどある真っ赤な巨体が特徴的な魔獣で、外見は人の形に似ており、悪魔の顔と強靭な羽を持っている。
下半身はずっしりとしており、それ単体が獰猛な獣のようでもある。
いわゆる物理攻撃に特化した脳筋系の魔獣に分類され、<爪術>を使い分けて仕掛けてくるのが攻撃パターンだ。
特に単体攻撃の《極・煉獄爪》は凶悪で、一発でも食らえば即死は免れないほどの破壊力がある。
しかし、唯一弱点がある。
それは、素早さがそこまで高くないという点であった。
(今の私ならコイツよりも早く攻撃ができる。前回のようにはいかないわよ)
ドドンッ、ドドンッ…………ドドンッ!
そこでデーモンバトラーはセシリアの存在に気付いたのか。
耳が張り裂けるような鋭い雄叫びを上げながら、すぐに重心を低く構えて突進を仕掛けてくる。
「グゴオオオオオオオーーーッ!」
その刹那。
セシリアは間合いを取ると、魔法ポーチの中から水晶ジェムを取り出し、魔法発動を唱えた。
右手の甲に小さく浮かび上がった魔法陣を掲げながら、風魔法の詠唱に入る。
「〝永久に吹き荒ぶ烈風よ 我が手に集いすべてを巻き上げ 暴虐なる無数の戦槌で切り刻め――」
釜のような手を大きく振り上げ、デーモンバトラーが突進してくるも、セシリアの詠唱の方が数秒速かった。
「――《エターナルストーム》〟」
バキバキバキバゴゴゴゴゴーーーーーンッ!!
無数の刃が大気を揺るがし、軌道を激しく捻じ曲げながら、デーモンバトラーの巨体を木っ端みじんに粉砕する。
「グゴオオオォォォッ!?」
すべて一瞬のうちの出来事で、瞬殺だった。
「やったわ!」
息絶えたデーモンバトラーの巨大な体躯を見上げながら、セシリアは先程確認した<アブソープション>の性能を思い出す。
「そうね。HPを0にしたってことは、LPを吸い上げることができるんだわ」
同時にスロットを選択して、切り替えが可能だということにも気付く。
すぐにスロットβを選んで、本当にLPが吸収できるのかを確認してみることに。
「とりあえず、やってみるしかないわね」
セシリアはまだ、LPが増えるということに対して懐疑的であった。
実際に自分の目で確かめない限り、信じることができない性格なのだ。
「こんな感じかしら?」
おそるおそるデーモンバトラーの前に両手をかざす。
そして、慎重に<アブソープション>を唱えた。
すると。
「!?」
デーモンバトラーの巨体は光を帯び始め、やがてセシリアの手のひらへと吸い込まれていく。
「……っ、これでよかったの?」
再度自分のステータスを確認すると、そこには信じられない内容が表示されていた。
「LP80!?」
先程、すべての風魔法を習得したため、セシリアのLPは30となっていた。
それが今、ステータス画面にはLP80と表示されている。ということは、つまり……。
「本当にLPを吸収できたんだわ……!」
世界の掟が塗り替わった瞬間を目の当たりにしたようで、セシリアは大きな感動を覚える。
「このまま魔獣を狩り続ければ、LPも増えてもっと強くなって……。すごいわよ! <アブソープション>!」
こんなとんでもないチートスキルをナードは持っていたんだ、とセシリアは思った。
「あのクズ、このダンジョンに入ってから<アブソープション>なんて一度も使わなかったのに。どうせ、私に使い方がバレるのが嫌で、控えてたんだわ」
姑息な手段を取っていたナードに苛立ちを覚えつつも、ある種の全能感がセシリアを支配する。
たしかにこんなスキルがあれば、魔王に戦いを挑むことだってできたかもしれない。
勇者フェイトの気持ちが少しだけセシリアには理解できた。
「この調子でボス魔獣も倒すわよ」
興奮は最高潮へと達し、セシリアはさらにダンジョンを進んで行く。
やがて、しばらくすると……。
ドドンッ、ドドンッ。
赤い巨体を揺らしたデーモンバトラーが1体、通路の奥から姿を現す。
「!」
少し油断した状態での遭遇だったため、セシリアは一瞬背筋を凍らせた。
これまでに、デーモンバトラーとは何度か対峙をしてきた。
そのたびに苦戦を強いられてきたので、その時の嫌な記憶が一気に甦ってくる。
だが、すぐにセシリアは思い出す。
自分は今、<バフトリガー>の恩恵を受けているのだ、と。
(おいでなさったわね……)
【エクスハラティオ炎洞殿】を進む以上、デーモンバトラーは必ず倒さなければならない相手だ。
以前のように、臆しているような余裕はない。
今、自分はソロなのだということをセシリアは改めて認識する。
すぐに水晶ディスプレイを立ち上げると、それをデーモンバトラーへ向けて《分析》をタップした。
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[デーモンバトラー]
LP50
HP1,520/1,520
MP100/100
攻520
防370
魔攻180
魔防200
素早さ150
幸運300
攻撃系スキル:
<爪術>-《ネメシスハンド》-《極・煉獄爪》
-《ツインアルティメットクロー》
状態: 物理攻撃・与ダメージ2倍
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さすがA級魔獣だけのことはあると、セシリアは敵のステータスを見て改めて息を呑んだ。
今までの状態だと、ソロではまったく歯が立たなかったに違いない。
デーモンバトラーは、成人男性の2倍ほどある真っ赤な巨体が特徴的な魔獣で、外見は人の形に似ており、悪魔の顔と強靭な羽を持っている。
下半身はずっしりとしており、それ単体が獰猛な獣のようでもある。
いわゆる物理攻撃に特化した脳筋系の魔獣に分類され、<爪術>を使い分けて仕掛けてくるのが攻撃パターンだ。
特に単体攻撃の《極・煉獄爪》は凶悪で、一発でも食らえば即死は免れないほどの破壊力がある。
しかし、唯一弱点がある。
それは、素早さがそこまで高くないという点であった。
(今の私ならコイツよりも早く攻撃ができる。前回のようにはいかないわよ)
ドドンッ、ドドンッ…………ドドンッ!
そこでデーモンバトラーはセシリアの存在に気付いたのか。
耳が張り裂けるような鋭い雄叫びを上げながら、すぐに重心を低く構えて突進を仕掛けてくる。
「グゴオオオオオオオーーーッ!」
その刹那。
セシリアは間合いを取ると、魔法ポーチの中から水晶ジェムを取り出し、魔法発動を唱えた。
右手の甲に小さく浮かび上がった魔法陣を掲げながら、風魔法の詠唱に入る。
「〝永久に吹き荒ぶ烈風よ 我が手に集いすべてを巻き上げ 暴虐なる無数の戦槌で切り刻め――」
釜のような手を大きく振り上げ、デーモンバトラーが突進してくるも、セシリアの詠唱の方が数秒速かった。
「――《エターナルストーム》〟」
バキバキバキバゴゴゴゴゴーーーーーンッ!!
無数の刃が大気を揺るがし、軌道を激しく捻じ曲げながら、デーモンバトラーの巨体を木っ端みじんに粉砕する。
「グゴオオオォォォッ!?」
すべて一瞬のうちの出来事で、瞬殺だった。
「やったわ!」
息絶えたデーモンバトラーの巨大な体躯を見上げながら、セシリアは先程確認した<アブソープション>の性能を思い出す。
「そうね。HPを0にしたってことは、LPを吸い上げることができるんだわ」
同時にスロットを選択して、切り替えが可能だということにも気付く。
すぐにスロットβを選んで、本当にLPが吸収できるのかを確認してみることに。
「とりあえず、やってみるしかないわね」
セシリアはまだ、LPが増えるということに対して懐疑的であった。
実際に自分の目で確かめない限り、信じることができない性格なのだ。
「こんな感じかしら?」
おそるおそるデーモンバトラーの前に両手をかざす。
そして、慎重に<アブソープション>を唱えた。
すると。
「!?」
デーモンバトラーの巨体は光を帯び始め、やがてセシリアの手のひらへと吸い込まれていく。
「……っ、これでよかったの?」
再度自分のステータスを確認すると、そこには信じられない内容が表示されていた。
「LP80!?」
先程、すべての風魔法を習得したため、セシリアのLPは30となっていた。
それが今、ステータス画面にはLP80と表示されている。ということは、つまり……。
「本当にLPを吸収できたんだわ……!」
世界の掟が塗り替わった瞬間を目の当たりにしたようで、セシリアは大きな感動を覚える。
「このまま魔獣を狩り続ければ、LPも増えてもっと強くなって……。すごいわよ! <アブソープション>!」
こんなとんでもないチートスキルをナードは持っていたんだ、とセシリアは思った。
「あのクズ、このダンジョンに入ってから<アブソープション>なんて一度も使わなかったのに。どうせ、私に使い方がバレるのが嫌で、控えてたんだわ」
姑息な手段を取っていたナードに苛立ちを覚えつつも、ある種の全能感がセシリアを支配する。
たしかにこんなスキルがあれば、魔王に戦いを挑むことだってできたかもしれない。
勇者フェイトの気持ちが少しだけセシリアには理解できた。
「この調子でボス魔獣も倒すわよ」
興奮は最高潮へと達し、セシリアはさらにダンジョンを進んで行く。
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