空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

文字の大きさ
62 / 68
後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第五十九話 マル秘勉強術

しおりを挟む
 「ライオス、ちょっと頭を貸せ!……『ヒール』」ノエルがライオスの頭の上に手を置くと、その右手が淡く緑色に光った。

 「ノエル!俺に何をしたんだ!」

 「頭が良くなるおまじないさ!」

 「……本当か……!」ライオスは目を輝かせた。

 「あぁ、俺に任せろ!ライオス......お前は机の上の勉強は向かない。庭に行くぞ」

 「外に行ったら勉強出来ないんじゃねぇのか?」ライオスは首を傾げながらも、ノエルに従い庭へと出た。

 ***

 「よし!素振りだ!1、2、3……」ライオスは掛け声に合わせて木刀を上下に振る。

 「ではここで問題です」(こんな方法で本当に大丈夫なのかしら?)マリーベルは半信半疑ながらも、用意した問題を読み上げる。

問四 ブラウンスライム一匹100エンタ、モルマウス一匹100エンタです。一日目は十匹討伐しました。二日目にモルマウスを十五匹討伐しました。一日目はギルドで買取一割り増しキャンペーンをやっていました。

合計で何エンタを手に入れましたか。

①2,500エンタ
②2,400エンタ
③2,600エンタ

 マリーベルは問題文を読み上げた。

 「おい、必死に素振りしている最中に計算なんかできるか!」

 「大丈夫だ、ライオス!お前は普通じゃねぇ。戦士の資質『A』を信じろ、こっちの方が集中できるはずだ!」

 「......初日が一割増しってことは十一匹か!モルマウスは十五匹だから全部で二十六匹……答えは③番だ!」

 「正解!次は腕立て伏せだ!今度は俺も一緒に付き合う。一、二、三……、マリーベル、次の問題だ……!」

 「凄いわ......ノエル、どうしてこんな方法で問題が解けるようになるの?さっきの『ヒール』に秘密があるの?」驚くマリーベルに、ノエルは腕立て伏せを続けながら答えた。

 「まさか、ヒールそのもので頭が良くなるわけじゃない。ただ、脳の血流量を活性化させ脳を刺激し、副交感神経を整えてリラックスさせたんだ」

 「そんなことが出来るの!?ノエル……最近どうしちゃったのよ!まるで凄腕の治癒士みたいで変よ!」

 (「治癒士みたい」って、俺は元々治癒士なんだけど……汗)

 ***

 (次郎が言うには……。ライオスは「机では集中出来ない」「周囲の目で緊張する」「好きな事なら集中出来る」......。この特性を逆手にとって編み出したライオス向け学習方法……名付けて「マル秘勉強術」我ながら天才的だな!)

 **『ノエル……調子に乗るな。考えたのは僕だ……』**

 心の中で次郎に釘を刺されつつも、こうしてノエルとライオスの特訓は一カ月続いた。


 ***

 そして、迎えた飛び級卒業試験当日。

 「まさかライオス君がこれを受けることになるとはな......」

 先生も、周囲の生徒たちも。信じられないものを見る目でライオスを見つめている。

 「ではライオス君......試験を始めるとしよう」


 ***

 ***試験終了。

 「ライオス君......結果だが......。不合格だ......。いや、非常に惜しい......。60点合格のところ、59.2点だった」

 「先生......。その刻みはなんだよ!」

 「誤字と回答欄間違いだ......」

 「誤字と回答欄間違い!?......うぁ、やっちまった......汗」

 「だが、君の頑張りは見た。そもそも勉強には向かない君をここに縛り付けておくのも忍びない。......協議の結果、『おまけ』で合格にする!」

 「えっ?本当か!?」

 「あぁ、合格おめでとう!晴れてエレメンタリースクール卒業だ!これ卒業証書ね!」先生と生徒から拍手喝采が起きた。


 ***エレメンタリースクールの正門前。

 「ノエル!みんな!俺、合格したぞ!これを見ろ!」ライオスが誇らしげに掲げた卒業証書を見て、ノエルは目を細めた。

 「......ラ、ライオス......この卒業証書の隅っこに赤字で『おまけ』って書いてあるぞ......汗」

 「バレたか......だが合格は合格だ!ワハハハハハ!」ライオスは豪快に笑った。

 (この世界の教育は結構適当なんだな......。しかし卒業証書に「おまけ」とか普通書くか?......汗)

 (でも......。これでようやく次へと進める)

 ノエルは、晴れやかな顔のライオスを見て小さく笑った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

処理中です...