空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第五十八話 もう一人のノエル

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 昨夜、自室のベッドでノエルは心の声に語りかけた。

 (おい、ノエル!お前はノエルなんだろ!話をしようぜ!)

 ***

 しばらくの沈黙の後、頭の中に透き通った声が響いてきた。

 **『......何か用?』**

 「用がなきゃ呼ばねぇよ!やっぱりいたんだな……あの時、死んじまったんじゃないかって思ってたよ」

 **『それは当たらずとも遠からず……僕は人間の魂じゃなくて、精霊だからね』**

 「精霊!すっげぇファンタジーじゃねぇか!!」ノエルは興奮し思わず大声をあげた。


 **ドタドタドタ、バタンッ!** 突然ノエルの部屋のドアが開いた。

 「ノエル!どうしたのこんな夜中に大声出して!」セリアが階段を駆け上がり、血相を変えて飛び込んできた。

 「あ、いや、なんでもないっす……汗」

 「ならいいけど……」不思議そうな顔をしてセリアが去っていくと、頭の中の声が呆れたように言った。

 **『僕と話す時は心の中だけにした方がいいよ……』**

 (わかったよ、それで、呼び方決めないとな……ノエルが二人だとややっこしいし。それで精霊ノエル、歳はいくつなんだ?)

 **『一応十歳だったけど、精霊になると時間は……』**

 (十歳か。俺は前世では三十五歳だったからお前は「次郎」だ!)ノエルは精霊ノエルが何か言おうとしたところを強引に遮った。

 **『な、なんだよ、その適当な決め方は!?』**

 (俺のいた世界では兄は「太郎」弟は「次郎」って相場が決まってるんだよ。諦めろ!)


 ⭐︎**『決まってねぇよ……ってか、太郎さんや次郎さんに失礼だろ!』** by作者


 (……本当は俺の弟も次郎っていうんだ……。元気にやっているかなぁ)

 **『次郎でいいよ……」** しんみりとした空気が伝わったのか、精霊は短く答えた。


 「と、言うやりとりを経て、今に至るわけだ」

 ***

 アルト邸のライオスの部屋。昨夜の回想からノエルは意識を戻し、再び次郎に話しかける。


 (次郎……。ライオスの勉強のできなさは酷いぞ。あいつの頭を良くするにはどうしたらいいんだ?)

 **『……嫌だね、あいつ、僕のことをイジメてたんだから助ける義理なんてないよ!それにほっておいたって普通で12歳で卒業。留年したって14歳で強制卒業できるんだし……』**

 (まぁそう言うなよ、あいつにはあいつなりの苦しい事情があったんだからよ……)

 **『それは大人の事情だろ!そうやって合理的に考えて、イジメられている方の気持ちなんて、全く考えていないんだ』**

 (............)ノエルは言葉に詰まった。自分は、この子が受けた傷を軽視していたのかもしれない。

 (……そうかもな。悪かった、俺は次郎の気持ちをわかってやれていなかった)

 ***深い沈黙が流れた。


 **『......ふん。ノエルがあーいうやつを放っておけない性分なのは知ってるよ。それにあいつがパーティに加わったら戦闘が有利になる。ノエルの「大義」のために必要な人材だから......助けてあげる』**

 (俺の「大義」?まぁいいか。頼むぜ!次郎……)

 **『しょうがないなぁ……。でもノエル!お前も「大儀」を忘れるなよ』**

 (だから、「大儀」ってなんだよ!)

 **『「双魂」に目覚めたノエルの大儀は、「レジェンド」を目指すことだ!』**


 ***

 
 「ノエル。ちょっとノエル!いつまでボーっとしてるのよ!」ノエルはマリーベルの声に我に返った。
 
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