空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第五十七話 卒業大作戦

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 ***アルト邸***

 「すげぇ門構えだ……」

 「そりゃそうよ、アルト家はこのライゼル公国でも指折りの、剣聖の名家ですもの」

 通りの中で一際目を引く、レンガ造りの高い塀。大きなアーチ型の鉄門の上には、鋭い剣を象徴とした家紋が誇らしげに掲げられていた。

 「あいつ、マジもんの御坊ちゃまだったんだな……」

 「そうよ……。普段の言動からは、微塵も感じられないけどね」 

 (マリーベルも言うんだなぁ……汗)マリーベルはサラッとした毒気にノエルは苦笑いした。

 「ところでサリーサは?」

 「今日は自警団で鍛錬よ。タミルが今日はギルドの仕事がお休みなんですって」

 (サリーサも大変だろうけど、休みの日に鍛錬付き合ってくれるなんて、タミルさんも面倒見がいいよな)と、ノエルは思う。

 **ピンポン** マリーベルはチャイムを押した。

 「はい……どちら様でしょうか」どこからともなく声が響いた。

 「ライオス君と約束しているマリーベルとノエルです」

 「えっ?この世界にもインターホンがあるのか!?」

 「インターホン?魔法電信機よ。魔工製品の中でも高価な代物だから、ついている家はお金持ちの象徴なのよ」

 (インターホンというよりは電話に近いものなのかな。まだまだこの世界は知らないことだらけだ……)

 **ガァーッ!** 重厚な門がひとりでに開いた。

 (入れってことか……どういう仕掛けになってるんだ?)ノエルは目を丸くする。

 「ノエル、キョロキョロしていないで行くわよ!」

 ノエルを置き去りにし、マリーベルはさっさと庭の奥へと歩き出した。

 
 執事のような初老の男性に招き入れら、広々とした階段を登ってライオスの部屋へ通される。

 「マリーベル、ノエル、よく来てくれた……」

 「……プッ!ライオス、その格好はなんなんだ?アハハハハ!」

 扉を開けた瞬間、ノエルは吹き出した。そこにいたのは、蝶ネクタイを締め、ビシッとタキシードを着こなしたライオスだった。


 「笑うなっ!俺だって嫌だけど、屋敷にいる時や行事の時はこれなんだ。学校や鍛錬に行く時は普通のカッコだけどさ……」ライオスが顔を真っ赤にした。

 「あら、ライオス君。似合うじゃない!さすがは剣聖貴族の後継者ね!」マリーベルはすかさずフォローを入れる。 

 (お貴族様も大変なんだな。この環境で勉強が出来ないとなると、相当肩身が狭いのかも……)と、ノエルは同情した。

 「じゃあ早速始めるわよ!これはノエルから聞いた卒業試験の情報を元に、私が作った問題よ。読者の皆さんも一緒に考えてみてね!」


 ***

問一 我が国の主要産業として正しいものを一つ選びなさい。

①魔工製品の製造と輸出
②テラ・マグネタイトの産出と輸出
③納豆の製造と販売

 「うーむ……③番だ!」

 (えぇっ!?一番あり得ないものを選びやがった!……ってかこの世界にも納豆ってあるのかよ!?……汗)

問ニ 魔力の元素となる地中に広がる物質名として正しいものを一つ選びなさい。

①エーテル
②エタノール
③メーテル

 「③番だ!」

 (銀河鉄道かよ!……汗)

問三 精霊獣について正しいものを一つ選びなさい。

①メリークリスマスから出来ている。
②エーテルクリスタルから出来ている。
③ダイヤモンドから出来ている。

 「簡単だ、①番だ!」

 (ジングルベールジングルベール 鈴が鳴るー ……って違うだろうが!!)

 「おいライオス!真面目にやれよな!」

 「なんだよ、ノエル……!俺はいつだって真面目だぞ……」

 呆れるノエルに、ライオスの声はどんどん小さくなっていく。

 「ノエル、やめなさい。ライオス君は……これでも真剣なのよ。でも、さて、どうしましょう……」マリーベルは頭を抱えた。

 (こいつを飛び級で卒業させるって東大に入るより難しいんじゃないのか……。でも、俺も勉強が出来ない辛い気持ちはわかるなぁ)

 ***

 (……こいつは本物の天才に頼むか。おい次郎!出てこい次郎!!)


 ***


 **『……なぁに……。僕は眠いんだけ、気安く起こさないでくれる?』**

 (なぁ、頼むよ!ライオスに勉強を教えてやってくれよ……)

 **『……無理……。疲れるから嫌だ』**

 (「疲れるから嫌だ」とかって、お前、いい性格してるよなぁ……汗)

 ノエルは次郎と心の中で不毛な会話を繰り広げる。

 「ちょっと、ノエル。大丈夫?さっきから表情が変わり過ぎよ!……汗」

 「あっ!いや、平気っす……」(やべぇ、次郎と話してるのがバレる……)


 そもそも、この「次郎」と名付けた「心の声」とのやり取りがあったのは、昨夜のことだった。
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