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【テイラー】追想1
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「ディオエル様の最期を見届けることができたことは、一生忘れることはないと思います。あなたにとっては、おそばにいれなかったことは、とても悔しいことでしょう。では、お返事をお待ちしております」
「っな」
「ディオエル様は最期まで竜帝国のことを考えていらっしゃいました。あなたも竜帝国のために、最善の答えを出してください。それが今、できることでございます」
イオリクは皇帝宮から出されて、ポツンと残されたまま、ライシードは素早く戻ったが、ディオエルの思い出が今日は、色濃く思い出されていた―――。
ライシードがディオエルに呼び出されたのは、イオリクが罰を言い渡され、釈放された翌日であった。
公務が終わってから、執務室に向かった。
机の上には湯気の立つコーヒ―が用意されてはいたが、執務室にはメイドはおろか、護衛もおらず、二人きりであった。
「時間を取ってもらって悪いな」
「いいえ、何かございましたか?」
「私は、もう長くない」
「っ、やはりお具合が悪かったのですか」
そう言ったディオエルの表情は、とても穏やかであったために、ライシードも動揺はしたが、冷静に問い掛けた。
「ああ、テイラー嬢が亡くなってから、胸の痛みが酷いんだ」
「……そんな、医師には」
「いや、理由は分かっているからな……やるべきことをやってからだ」
皇帝陛下という立場上、医師には週に一度は診てもらっているが、ディオエルは不調を伝えていなかった。
「診てもらいましょう、違う、か、のうせい、も……」
「ないことは分かっているだろう?」
ライシードも否定しながらも、ディオエルが倒れた時に、一度覚悟をする瞬間はあったが、そんなことはあり得ないと打ち消した。
「気付いていたか?」
「いいえ!」
ディオエルはライシードは寄り添える性格であるために、気付かれているのではないかと感じていた。
「お疲れなのも、精神的にお辛いことも考えてはおりましたが……」
「顔色が良くないのも、上手く誤魔化せていたかな」
誰もがディオエルが元気であるはずがないと思っていたために、顔色の悪さも指摘することはなかった。
「私はアイルーン嬢も失っている、テイラー嬢がここまで引き留めてくれたのかもしれない」
「それは……」
「アイルーン嬢が亡くなった時も、胸の痛みはあった。だが、ここまで酷くはなかった……限界なのだろう」
アイルーンが亡くなった時も、急な胸の痛みはあったが、取り繕えるほどであった。だから、周りにも医師にも番が亡くなったせいだと言われるのではないかと、口には出せなかった。
大事にしなかったから、守れなかったからだと誰もが言えないが、そう思われているのではないかと、それでも胸の痛みは次第に良くなっていった。
「それは」
「番が亡くなったことで、限界を迎えるのだろう。私に悔いはないんだ」
「そんな」
言葉は続かなかったが、ライシードは無意識に首をぶんぶん振っていた。
「皇帝として、やるべきことはちゃんとやるつもりだ」
「ですが、良くなるかもしれないではないですか」
「ああ、だが、難しいのではないかと思う」
ライシードはディオエルは治療よりも、皇帝をしてやるべきことを行うことを優先するのだろう。それはもう助からないから、動けなくなる前にとお考えなのだろうと分かってしまった。
それは皇帝としては正しいのかもしれない。だが、ずっとそばにいたライシードには、はいそうですかと受け入れられることではなかった。
「アイルーン嬢の時も、テイラー嬢の時も、私も皇帝として罰を受けるべきだと思ったが、何も償っていない。だが、これは罰ではない」
「罰など……」
「アイルーン嬢に、テイラー嬢に、命を握られていたと思うと、私は正しいと感じるんだ」
「っ」
「っな」
「ディオエル様は最期まで竜帝国のことを考えていらっしゃいました。あなたも竜帝国のために、最善の答えを出してください。それが今、できることでございます」
イオリクは皇帝宮から出されて、ポツンと残されたまま、ライシードは素早く戻ったが、ディオエルの思い出が今日は、色濃く思い出されていた―――。
ライシードがディオエルに呼び出されたのは、イオリクが罰を言い渡され、釈放された翌日であった。
公務が終わってから、執務室に向かった。
机の上には湯気の立つコーヒ―が用意されてはいたが、執務室にはメイドはおろか、護衛もおらず、二人きりであった。
「時間を取ってもらって悪いな」
「いいえ、何かございましたか?」
「私は、もう長くない」
「っ、やはりお具合が悪かったのですか」
そう言ったディオエルの表情は、とても穏やかであったために、ライシードも動揺はしたが、冷静に問い掛けた。
「ああ、テイラー嬢が亡くなってから、胸の痛みが酷いんだ」
「……そんな、医師には」
「いや、理由は分かっているからな……やるべきことをやってからだ」
皇帝陛下という立場上、医師には週に一度は診てもらっているが、ディオエルは不調を伝えていなかった。
「診てもらいましょう、違う、か、のうせい、も……」
「ないことは分かっているだろう?」
ライシードも否定しながらも、ディオエルが倒れた時に、一度覚悟をする瞬間はあったが、そんなことはあり得ないと打ち消した。
「気付いていたか?」
「いいえ!」
ディオエルはライシードは寄り添える性格であるために、気付かれているのではないかと感じていた。
「お疲れなのも、精神的にお辛いことも考えてはおりましたが……」
「顔色が良くないのも、上手く誤魔化せていたかな」
誰もがディオエルが元気であるはずがないと思っていたために、顔色の悪さも指摘することはなかった。
「私はアイルーン嬢も失っている、テイラー嬢がここまで引き留めてくれたのかもしれない」
「それは……」
「アイルーン嬢が亡くなった時も、胸の痛みはあった。だが、ここまで酷くはなかった……限界なのだろう」
アイルーンが亡くなった時も、急な胸の痛みはあったが、取り繕えるほどであった。だから、周りにも医師にも番が亡くなったせいだと言われるのではないかと、口には出せなかった。
大事にしなかったから、守れなかったからだと誰もが言えないが、そう思われているのではないかと、それでも胸の痛みは次第に良くなっていった。
「それは」
「番が亡くなったことで、限界を迎えるのだろう。私に悔いはないんだ」
「そんな」
言葉は続かなかったが、ライシードは無意識に首をぶんぶん振っていた。
「皇帝として、やるべきことはちゃんとやるつもりだ」
「ですが、良くなるかもしれないではないですか」
「ああ、だが、難しいのではないかと思う」
ライシードはディオエルは治療よりも、皇帝をしてやるべきことを行うことを優先するのだろう。それはもう助からないから、動けなくなる前にとお考えなのだろうと分かってしまった。
それは皇帝としては正しいのかもしれない。だが、ずっとそばにいたライシードには、はいそうですかと受け入れられることではなかった。
「アイルーン嬢の時も、テイラー嬢の時も、私も皇帝として罰を受けるべきだと思ったが、何も償っていない。だが、これは罰ではない」
「罰など……」
「アイルーン嬢に、テイラー嬢に、命を握られていたと思うと、私は正しいと感じるんだ」
「っ」
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