【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
110 / 131

慰労会2

しおりを挟む
「私はてっきり古代語の説明をされるのだと思っていたのだが、違ったのだな?」

 ローレルは古代語を学ぼうとしたことはあったが、すぐに挫折した。ゆえに、今日はヨルレアンの解読の説明が聞けるのだろうと思っていた。

「ええ、そういえば彼女に結局、答えを教えないままでしたわね」
「説明しても、ただ覚えただけでしょうからね」

 デュランズとヨルレアンは、解読の説明は万人には難しいために、出来れば省こうという結論に至っていた。

「聞いてみたかったな」

 エルドールが、残念そうに呟いた。

「私も正直、聞いてみたかったですわ」

 メイランも、エルドールと一緒なのは不本意ながらと思いながら、口にした。

「光栄ですが、前にエルドール殿下に説明した際に思ったのですよ。説明したところで、本当の意味で、短時間で理解して貰うのは難しい。分からない者には、私が嘘を言っていても、分からないものなのだと」
「だが、再度は覚えている」
「でも、明日という意味もあったでしょう?さらに似たものは沢山あるのです」
「あ、ああ…」
「沢山の意味があるのは我々には常識ですからね、それでも比較的ないものを選んだのですがね。どれ、説明してみましょうか」

 デュランズの言葉に、触れることない皆は、興味津々に頷いた。デュランズはアリナの解答用紙を持っており、見える様に机に置いた。

「では、解読した者が説明しますかな?」

 1問目 δ⊂ΠλЖυιωБШ

「これは答えを先に言えば、コバルザインズセイアット」

 皆、揃いも揃ってえ?っという顔を浮かべた。

「名ですね」
「誰なのですか?」
「下級騎士の家名です」
「全く分からない…」

 ローレルは文字を見ながらも、どこをどうやっても糸口さえ分からなかった。

「δ⊂ΠλЖυがコバンザインズ、ιωБШがセイアットです。隠すような名でもないので、入れてみました。それで彼女の回答は…」
「入口…?」

 アリナは入口と書いていたが、デュランズには理解が出来なかった。

「ヨルちゃん、意味が分かるかい?」
「おそらくですが、パレート語にΠとυ、あとLで、入場という単語があります」

 ヨルレアンは文字を差しながら、最後に指でLと書いた。

「なるほど…どこから導き出したのかと思っておった。一応、意味はあったのだな」

 皆も、何度も頷いている。

「では、後の二問は解読をしたヨルちゃんに」
「ヨルレアン嬢が解読したのか?」
「ええ」

 エルドールは目を輝かせており、ローレルとメイランとサリージュはその姿に口元を緩ませた。

 2問目 ξЛЮиЭ=qqq8800

「では…答えは薪が足りない、さらに薪が足りない」
「え?」
「8800は?」
「薪です」
「は?」
「これは一度、後ろから解読するのです。8800が薪、ξЛЮиЭが足りない、=が同じ重ねる意味で、qqqが増える意味のさらにと、足りないという風に。でも足りない、さらに足りない、薪が、でもいいとは思います」

 皆、説明をされているだけなのに、白目を剥きそうだった。

「8800は数字ではない?」
「はい」
「は―――っ」
「そんな!」

 数字だけは読めると思っていた、皆の心を打ち砕いた瞬間だった。

「で、彼女の回答は…8800」
「ただ、数字を書いただけじゃないか…」
「しかも、数字ではなかったのよね」

 ローレルとメイランは、こんなもの誰でも書けると、呆れ返った。

「そういうことになりますね。実はこれが一番の難問なのですよ」
「いえ、名前の方が難しいでしょう」

 いやいや、どちらもどうやって、この二人は解読したのだと思うほどであった。

 3問目 θζνη§ЁτσДЙ

「これが一番、問題作ですな」
「答えは、君を愛している、愛しているという言葉では足りない、どうしたら伝わるんだ、どうしていなくなったのだ、悲しくて死にそうだ」

 皆、何を言っているのだというほど、無言であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

何も決めなかった王国は、静かに席を失う』

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。 だが―― 彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。 ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。 婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。 制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく―― けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。 一方、帝国は違った。 完璧ではなくとも、期限内に返事をする。 責任を分け、判断を止めない。 その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。 王国は滅びない。 だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。 ――そして迎える、最後の選択。 これは、 剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。 何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

処理中です...