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慰労会1
応接室に移ったローレル、エルドール、メイラン、ヨルレアン、サリージュ、デュランズ、学園長はお茶を飲んで、ようやく疲れを癒した。
「デュランズ様も、ありがとうございました」
「いやいや、面白いものが見れました」
「出来ないことは分かっていたが、まさか結婚などと…はあ」
「ヨルレアン嬢!私は絶対に君と結婚するからね!」
エルドールは小間使いの期間から、すっかりヨルレアンに懐いているような状態になっていた。
「まあ、このまま何もなけば、そうなりますね」
「何もない!」
そう言ったエルドールを、ヨルレアンではなく、サリージュが目から矢でも飛び出しそうな表情で見つめており、エルドールはビクリとした。
「サリージュ様、駄目で馬鹿な兄が申し訳ありません」
「私からも謝罪する」
メイランとローレルも、悲痛な表情で謝罪した。
サリージュが、何があったか知らないはずがないのである、ルエルフ王国では、アホドールと呼ばれていることを、エルドールはまだ知らない。
「お二人が謝る必要はございませんわ、ですが…」
「申し訳ありませんでした!」
エルドールは、サリージュに向かって一心不乱に頭を下げた。
「このように、本人も愚か者なりに反省しております」
「ええ、お姉様にも可哀想なほど反省して、小間使い?従者?のようになったと聞いておりますわ」
「ああ、小間使いでも従者だと思って貰っていい」
デュランズは聞いていたが、学園長はそんなことになっていたのかと驚いたが、口を挟むような真似はしない。
「そういえば彼女、いたわよね?」
「え?」
「オマリー・トドック。観覧席にいませんでした?」
「それは私が説明しましょう」
王族は事情を聞いていたが、ヨルレアンたちは聞いておらず、学園長が手を上げて、オマリーがアリナとファミラに勉強を教えていたことを説明した。
「トドック男爵令嬢はSクラスのまま?」
「はい、ですが、留年してからは成績優秀者には一度も入っておりません」
「え?そうなの?」
「ええ、二度目だからと思っていたのでしょうけど」
Sクラスでも成績優秀者は、半分以上が入れないことが現実である。
オマリーは二度目であること、どうせ勉強しなくてもと思っており、ファミラがアリナを驕っていると言ったように、オマリーも驕っていたのである。だが、自分と重ねて気付くことはなかった。
「それにしても、王太子妃と王子妃が言ったことが事実なら、あちらも必死だったのでしょうね」
「あの令嬢に価値を見出されたら、捨てられると思ったのだろうな」
ローレルもなぜ二人がそのようなことを言ったのかは、すぐに想像が出来た。
「嘘だったら、たいしたものですけどね」
「それは私も思ったわ」
サリージュは王太子妃と王子妃も一緒に落とすために言ったのなら、とても肝の座った令嬢だと評価していた。流石姉妹というべきか、ヨルレアンもサリージュと同じように思っていた。
「あれは、本当に言われたのではないか?愚かにも信じた」
「ええ、私もそう思いますわ」
メイランは嘘だとは思えず、ローレルに賛同した。
「父上と母上がきっちり締めているだろうけどね」
「そうですわ」
「我が母も、苦情を入れるでしょうから、面倒なことになりますわよ」
ローレルとメイランは静かに頷き、サリージュは悪い顔で微笑んでおり、いくらヨルレアンでも母を止めることは出来ないので、受け入れるしかない。
「王太子殿下はメアロール様にも、お話をされて置いてくださいね」
「ああ、勿論だ。辺境伯まで乗り込んで行ったら大変だ」
ローレルの婚約者のメアロールは、ジスアット辺境伯の令嬢で、一族の血の気が多い。そろそろアシロ王国の留学から戻り、結婚式の準備に入る。
留学に行ったのも、将来義妹になるヨルレアンがあんなにも頑張っているのに、私も何か役に立たなければと、意気込んで向かったのである。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時にも1話、投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
「デュランズ様も、ありがとうございました」
「いやいや、面白いものが見れました」
「出来ないことは分かっていたが、まさか結婚などと…はあ」
「ヨルレアン嬢!私は絶対に君と結婚するからね!」
エルドールは小間使いの期間から、すっかりヨルレアンに懐いているような状態になっていた。
「まあ、このまま何もなけば、そうなりますね」
「何もない!」
そう言ったエルドールを、ヨルレアンではなく、サリージュが目から矢でも飛び出しそうな表情で見つめており、エルドールはビクリとした。
「サリージュ様、駄目で馬鹿な兄が申し訳ありません」
「私からも謝罪する」
メイランとローレルも、悲痛な表情で謝罪した。
サリージュが、何があったか知らないはずがないのである、ルエルフ王国では、アホドールと呼ばれていることを、エルドールはまだ知らない。
「お二人が謝る必要はございませんわ、ですが…」
「申し訳ありませんでした!」
エルドールは、サリージュに向かって一心不乱に頭を下げた。
「このように、本人も愚か者なりに反省しております」
「ええ、お姉様にも可哀想なほど反省して、小間使い?従者?のようになったと聞いておりますわ」
「ああ、小間使いでも従者だと思って貰っていい」
デュランズは聞いていたが、学園長はそんなことになっていたのかと驚いたが、口を挟むような真似はしない。
「そういえば彼女、いたわよね?」
「え?」
「オマリー・トドック。観覧席にいませんでした?」
「それは私が説明しましょう」
王族は事情を聞いていたが、ヨルレアンたちは聞いておらず、学園長が手を上げて、オマリーがアリナとファミラに勉強を教えていたことを説明した。
「トドック男爵令嬢はSクラスのまま?」
「はい、ですが、留年してからは成績優秀者には一度も入っておりません」
「え?そうなの?」
「ええ、二度目だからと思っていたのでしょうけど」
Sクラスでも成績優秀者は、半分以上が入れないことが現実である。
オマリーは二度目であること、どうせ勉強しなくてもと思っており、ファミラがアリナを驕っていると言ったように、オマリーも驕っていたのである。だが、自分と重ねて気付くことはなかった。
「それにしても、王太子妃と王子妃が言ったことが事実なら、あちらも必死だったのでしょうね」
「あの令嬢に価値を見出されたら、捨てられると思ったのだろうな」
ローレルもなぜ二人がそのようなことを言ったのかは、すぐに想像が出来た。
「嘘だったら、たいしたものですけどね」
「それは私も思ったわ」
サリージュは王太子妃と王子妃も一緒に落とすために言ったのなら、とても肝の座った令嬢だと評価していた。流石姉妹というべきか、ヨルレアンもサリージュと同じように思っていた。
「あれは、本当に言われたのではないか?愚かにも信じた」
「ええ、私もそう思いますわ」
メイランは嘘だとは思えず、ローレルに賛同した。
「父上と母上がきっちり締めているだろうけどね」
「そうですわ」
「我が母も、苦情を入れるでしょうから、面倒なことになりますわよ」
ローレルとメイランは静かに頷き、サリージュは悪い顔で微笑んでおり、いくらヨルレアンでも母を止めることは出来ないので、受け入れるしかない。
「王太子殿下はメアロール様にも、お話をされて置いてくださいね」
「ああ、勿論だ。辺境伯まで乗り込んで行ったら大変だ」
ローレルの婚約者のメアロールは、ジスアット辺境伯の令嬢で、一族の血の気が多い。そろそろアシロ王国の留学から戻り、結婚式の準備に入る。
留学に行ったのも、将来義妹になるヨルレアンがあんなにも頑張っているのに、私も何か役に立たなければと、意気込んで向かったのである。
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本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時にも1話、投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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