120 / 131
聖女の絶望3
しおりを挟む
「あなたが安易になれると考えていた王太子妃や王子妃は、本来は簡単になりますなんて言える存在ではないわ」
ファミラはピエラ王太子妃と、オリーナ王子妃は論外であるがと、心の中では思っていたが、幽閉されても口にすることはさすがに控えた。
「で、でも…」
「あなたもルエルフ王国の第一王女を見たでしょう?あのお年で、古代語学者なんて異例よ?」
詳しくは分からないが、特別だということは分かる。観覧席でも、学者と思わしき方たちが、口々に素晴らしいと褒め称えていた。
「所作も美しかったでしょう?あの方のような方が、王女や王子妃になるような方なの。力になれるなんてことだけではなれないの」
「そんなの知らないわ…」
「知らないということも、貴族では罪になるのよ」
「じゃあ、教えてくれれば」
「そうね、でもあなたも覚えようとすれば良かったじゃない」
ファミラは親身になるつもりはなかったが、目に余る場合はクリスティーナのことも、アリナのことも咎めようと思っていた。
ただ、コーランド王国の方は興味を示したのは最初だけで、クリスティーナは嫌われて、アリナにも関わろうとしなかった。
ご家族のことを考えれば、親身になって教えるべきだったかとも反省していた。
だが、今ですらいくら説明をしても、アリナに響いているという手応えがなかった。一体、誰が言えば、いや、自分で気付くまで、認めないのかもしれない。
それならば、そろそろ伝えるべきことは、ほぼ伝えたと思うことにした。
「最後に一つだけ。今更言っても仕方のないことだけど、披露の場で、結婚のことなど言わなければ一番良かったわ」
「でも」
「そんなことなかったことにした方が、あなたには良かったのよ」
「なかったことになんて出来ないわ」
アリナには言わないこと、留めるようなことは、絶対に出来なかった。
あの時は、王子たちとの結婚が掛かっていると思っていたから、必死だった。言いたいことは言わないといけないと、今でも後悔などしていない。
「でも、言わなければ、あなたは勘違いしただけだと、恥を晒しただけで済んだかもしれない。ご家族だって苦しまなくて良かったのよ?」
さすがに殺されることもなかったとは、口にはしなかった。
「それは…」
「認めることも大事なことだと、私は思うわ」
ファミラはそう言って、アリナの元を去った。
そして、アリナは認めたくないと頑なになっており、だが認めた時には精神面が心配だと、頼んで来た教師に伝えた。
アリナは今回の件で、両親と妹が亡くなったこともあり、ルスデン王国から裁かれるようなことにはならなかった。
だが、一人でポツンとしているのが耐えられなくなったのか、学園にも来なくなり、寮からも姿を消した。捜索は行われたが、途中までは足取りが掴めたものの、発見までには至らなかった。
放火の動機は伏せられ、アリナが襲われたり、殺されたということではなかったために、その後の捜索は行われなかった。
ファミラはここまでは想像していなかったが、王家は見捨て、居場所はないだろうと思っており、言わなければ良かったのにと再度、思った。
アリナが絶望したのは、寮に溜まったままで、読んでいなかった今はもういない妹・ミーナからの手紙であった。
そこには両親が責められている、お父さんはずっと謝っている、お母さんはずっと泣きながら謝っている。お姉ちゃんのせいだ、どうしてお父さんとお母さんが責められなければいけないのか、お父さんとお母さんを苦しめるお姉ちゃんなんて大嫌いだと、悲しい訴えが書かれていた―――。
それを読んでようやく、アリナは自分のしたことで、両親や妹を苦しめ、殺されたのだと実感した。
本当の意味で、後悔の涙を流したアリナは、両親と妹に謝ろうと墓に向かい、その後の足取りは分からなくなった。
ファミラはピエラ王太子妃と、オリーナ王子妃は論外であるがと、心の中では思っていたが、幽閉されても口にすることはさすがに控えた。
「で、でも…」
「あなたもルエルフ王国の第一王女を見たでしょう?あのお年で、古代語学者なんて異例よ?」
詳しくは分からないが、特別だということは分かる。観覧席でも、学者と思わしき方たちが、口々に素晴らしいと褒め称えていた。
「所作も美しかったでしょう?あの方のような方が、王女や王子妃になるような方なの。力になれるなんてことだけではなれないの」
「そんなの知らないわ…」
「知らないということも、貴族では罪になるのよ」
「じゃあ、教えてくれれば」
「そうね、でもあなたも覚えようとすれば良かったじゃない」
ファミラは親身になるつもりはなかったが、目に余る場合はクリスティーナのことも、アリナのことも咎めようと思っていた。
ただ、コーランド王国の方は興味を示したのは最初だけで、クリスティーナは嫌われて、アリナにも関わろうとしなかった。
ご家族のことを考えれば、親身になって教えるべきだったかとも反省していた。
だが、今ですらいくら説明をしても、アリナに響いているという手応えがなかった。一体、誰が言えば、いや、自分で気付くまで、認めないのかもしれない。
それならば、そろそろ伝えるべきことは、ほぼ伝えたと思うことにした。
「最後に一つだけ。今更言っても仕方のないことだけど、披露の場で、結婚のことなど言わなければ一番良かったわ」
「でも」
「そんなことなかったことにした方が、あなたには良かったのよ」
「なかったことになんて出来ないわ」
アリナには言わないこと、留めるようなことは、絶対に出来なかった。
あの時は、王子たちとの結婚が掛かっていると思っていたから、必死だった。言いたいことは言わないといけないと、今でも後悔などしていない。
「でも、言わなければ、あなたは勘違いしただけだと、恥を晒しただけで済んだかもしれない。ご家族だって苦しまなくて良かったのよ?」
さすがに殺されることもなかったとは、口にはしなかった。
「それは…」
「認めることも大事なことだと、私は思うわ」
ファミラはそう言って、アリナの元を去った。
そして、アリナは認めたくないと頑なになっており、だが認めた時には精神面が心配だと、頼んで来た教師に伝えた。
アリナは今回の件で、両親と妹が亡くなったこともあり、ルスデン王国から裁かれるようなことにはならなかった。
だが、一人でポツンとしているのが耐えられなくなったのか、学園にも来なくなり、寮からも姿を消した。捜索は行われたが、途中までは足取りが掴めたものの、発見までには至らなかった。
放火の動機は伏せられ、アリナが襲われたり、殺されたということではなかったために、その後の捜索は行われなかった。
ファミラはここまでは想像していなかったが、王家は見捨て、居場所はないだろうと思っており、言わなければ良かったのにと再度、思った。
アリナが絶望したのは、寮に溜まったままで、読んでいなかった今はもういない妹・ミーナからの手紙であった。
そこには両親が責められている、お父さんはずっと謝っている、お母さんはずっと泣きながら謝っている。お姉ちゃんのせいだ、どうしてお父さんとお母さんが責められなければいけないのか、お父さんとお母さんを苦しめるお姉ちゃんなんて大嫌いだと、悲しい訴えが書かれていた―――。
それを読んでようやく、アリナは自分のしたことで、両親や妹を苦しめ、殺されたのだと実感した。
本当の意味で、後悔の涙を流したアリナは、両親と妹に謝ろうと墓に向かい、その後の足取りは分からなくなった。
3,964
あなたにおすすめの小説
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
何も決めなかった王国は、静かに席を失う』
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。
だが――
彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。
ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。
婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。
制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく――
けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。
一方、帝国は違った。
完璧ではなくとも、期限内に返事をする。
責任を分け、判断を止めない。
その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。
王国は滅びない。
だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。
――そして迎える、最後の選択。
これは、
剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。
何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
手放してみたら、けっこう平気でした。
朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。
そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。
だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる