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グルダイヤ侯爵1
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一方、ルスデン王国との話し合いの後、コーランド王国でも立場の悪くなった者がいた。
「グルダイヤ侯爵、分かっておるな?」
ダズベルトとオーバンは、何かしたわけではないために、罰を与えることは出来ないが、混乱を招き、調子に乗ったことは明らかであり、グルダイヤ侯爵にも釘を刺して置くことにした。
「ですが、私は悪いことをしたわけでは」
「ああ、だが、後見人はそなただろう?」
「それはそうですが…」
「そなたが、こんなことしなければ、ここまで大きくはならなかった」
披露することは、グルダイヤ侯爵が言い出したことだが、ルスデン王国も、アリナ本人も乗り気であったからである。
「私は信じていたのです」
「だから何だ?もし、解読が出来ていたら、これからは偉そうな顔が出来ると思っていたのだろう?」
「そ、そのようなことは」
「だが、今回のことで学者たちにも、色々言っていたそうじゃないか」
「それは…」
グルダイヤ侯爵は、学者にもアリナは素晴らしいと力説し、これからはアリナが主軸となっていくだろうとまで話していた。
だが、それは泡となって消えた。
「今回の件で、ルスデン王国に事業を置く者は撤退する者もいるかもしれない」
「それは…」
「責任を感じるべきだろう」
「ですが、私も知らなかったのです」
「そんなものが言い訳になるか!」
「っ、ですが、私も信じていて…教師だって出来ていると」
解読を唖然として見ながらも、グルダイヤ侯爵は始めは出来ていたはずなのに、なぜだと思っていたが、ヨルレアンの説明に、ふざけるなという気持ちに変わっていた。
確かにアリナは、未解読の文はしていなかったことに気付いた。だが、未解読となると、教師も答えが分からないので、合っているかも分からない。
しかも、彼女は習っている状況であったために、解読を初見で出来たわけではない。
これはこう解読するということを学んでいたに過ぎない、よく考えれば文献を短時間で答えを出すことは難しい。だが、アリナは出来ると言った。
アリナも出来ないとすら思っていないことで、ただ多少記憶力が良い男爵令嬢というのが、現実の姿となった。
「それがどうした!学者たちを馬鹿にしたことには変わりないわ!」
「馬鹿になど…」
「もういい、二度とこのようなことは認めない。いいな?」
「…はい」
グルダイヤ侯爵が邸に戻ると、アリナたちが帰り支度を終えたところで、ラリオ王太子と外交大臣がやって来た。
「侯爵、この度は…」
「はい、お互いなかったことにした方がよろしいでしょう」
ルスデン王国の王家も、グルダイヤ侯爵と狙いは同じであった。聖女と呼ばれるアリナを、上手く使おうと考えていた。
ゆえに、お互いを責めることは出来ず、ただただ残念に思うだけであった。
グルダイヤ侯爵も、今回のことで立場が悪くなることは想定しており、ラリオ王太子は妻のこともあるために、もっと大変なことになるだろうと痛ましく思った。
「ええ、お世話になりました」
「いえ」
こうして、アリナとファミラを連れて、ルスデン王国に帰って行った。見送っていると、息子が声を掛けて来た。
「父上…」
「ああ、見込み違いであった」
「そのようですね」
「すまなかったな…」
「いえ…」
息子にはアリナのことを妻にしろ!とは言っておらず、気に掛けてやって欲しいとだけ言っていたことだけは良かった。
だが、調子に乗って、必死になっていた父親は滑稽だっただろう。
表向きは変わらない者もいたが、『残念でしたね』という言葉を掛けて来る者もおり、『見込み違いだったようで、お恥ずかしいことです』と、苦笑いするしかなかった。
解読の学者たちには一応は、謝罪をさせて貰ったが、その視線は冷たいものであった。
そして、数か月が経つ頃、驚きのニュースが飛び込んで来た。
「両親と妹さんが亡くなった?」
「グルダイヤ侯爵、分かっておるな?」
ダズベルトとオーバンは、何かしたわけではないために、罰を与えることは出来ないが、混乱を招き、調子に乗ったことは明らかであり、グルダイヤ侯爵にも釘を刺して置くことにした。
「ですが、私は悪いことをしたわけでは」
「ああ、だが、後見人はそなただろう?」
「それはそうですが…」
「そなたが、こんなことしなければ、ここまで大きくはならなかった」
披露することは、グルダイヤ侯爵が言い出したことだが、ルスデン王国も、アリナ本人も乗り気であったからである。
「私は信じていたのです」
「だから何だ?もし、解読が出来ていたら、これからは偉そうな顔が出来ると思っていたのだろう?」
「そ、そのようなことは」
「だが、今回のことで学者たちにも、色々言っていたそうじゃないか」
「それは…」
グルダイヤ侯爵は、学者にもアリナは素晴らしいと力説し、これからはアリナが主軸となっていくだろうとまで話していた。
だが、それは泡となって消えた。
「今回の件で、ルスデン王国に事業を置く者は撤退する者もいるかもしれない」
「それは…」
「責任を感じるべきだろう」
「ですが、私も知らなかったのです」
「そんなものが言い訳になるか!」
「っ、ですが、私も信じていて…教師だって出来ていると」
解読を唖然として見ながらも、グルダイヤ侯爵は始めは出来ていたはずなのに、なぜだと思っていたが、ヨルレアンの説明に、ふざけるなという気持ちに変わっていた。
確かにアリナは、未解読の文はしていなかったことに気付いた。だが、未解読となると、教師も答えが分からないので、合っているかも分からない。
しかも、彼女は習っている状況であったために、解読を初見で出来たわけではない。
これはこう解読するということを学んでいたに過ぎない、よく考えれば文献を短時間で答えを出すことは難しい。だが、アリナは出来ると言った。
アリナも出来ないとすら思っていないことで、ただ多少記憶力が良い男爵令嬢というのが、現実の姿となった。
「それがどうした!学者たちを馬鹿にしたことには変わりないわ!」
「馬鹿になど…」
「もういい、二度とこのようなことは認めない。いいな?」
「…はい」
グルダイヤ侯爵が邸に戻ると、アリナたちが帰り支度を終えたところで、ラリオ王太子と外交大臣がやって来た。
「侯爵、この度は…」
「はい、お互いなかったことにした方がよろしいでしょう」
ルスデン王国の王家も、グルダイヤ侯爵と狙いは同じであった。聖女と呼ばれるアリナを、上手く使おうと考えていた。
ゆえに、お互いを責めることは出来ず、ただただ残念に思うだけであった。
グルダイヤ侯爵も、今回のことで立場が悪くなることは想定しており、ラリオ王太子は妻のこともあるために、もっと大変なことになるだろうと痛ましく思った。
「ええ、お世話になりました」
「いえ」
こうして、アリナとファミラを連れて、ルスデン王国に帰って行った。見送っていると、息子が声を掛けて来た。
「父上…」
「ああ、見込み違いであった」
「そのようですね」
「すまなかったな…」
「いえ…」
息子にはアリナのことを妻にしろ!とは言っておらず、気に掛けてやって欲しいとだけ言っていたことだけは良かった。
だが、調子に乗って、必死になっていた父親は滑稽だっただろう。
表向きは変わらない者もいたが、『残念でしたね』という言葉を掛けて来る者もおり、『見込み違いだったようで、お恥ずかしいことです』と、苦笑いするしかなかった。
解読の学者たちには一応は、謝罪をさせて貰ったが、その視線は冷たいものであった。
そして、数か月が経つ頃、驚きのニュースが飛び込んで来た。
「両親と妹さんが亡くなった?」
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