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卒業パーティー1
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ヨルレアンは卒業後、ルエルフ王国のマレリーア公爵令嬢となるために第一王女であるのは、あと僅かとなっていた。
ローレルとメアロールの結婚式が間もなくで、その一年後にはヨルレアンはエルドールと結婚式が決まっている。
ヨルレアンにとって、マレリーア公爵は大叔父となり、血縁関係もあるために、ルエルフ王国であっさりと承認された。
むしろ、ヨシっと拳を握り締めた者がほとんどであった。
ヨルレアンも、早く王女の地位は手放したかったために、快諾した。
だが、元王女ということは変わりなく、エンという部分も取れはしないのだが、ヨルレアンは気持ちが違うらしい。
エルドールと、久し振りに公の場に姿を現したヨルレアンは、圧巻という姿であった。大歓声に包まれ、ローズマリーは婚約者の横で、お姿を目に焼き付けなくてはと瞬きすら忘れていた。
そして、お元気でらしたのねという言葉と、解読の観覧に来ていた者から、事情を聞いていた者たちはその姿に感動すらしていた。
卒業パーティーは、二年の生徒会が最後の仕事として、取り仕切るために、リスカーダが指揮を執っている。
婚約破棄を宣言したり、婚約者とは違う相手を連れて来たり、ドレスを汚し合ったり、ということもなく、これから社交界に出る令息や令嬢に相応しい姿であった。
「ローズマリー様」
まさかこの声はと思いながら、ゆっくりと振り返ると、ローズマリーを呼んだのはヨルレアンであった。
友人と呼べる令嬢も、なかなか出来なかったヨルレアンは、一度だけでも邸に来てくれたローズマリーを見付けて、思わず声を掛けたのである。
「オズラール公爵令嬢!」
「ヨルレアンで構いませんわ」
「で、で、ですが」
「私、名前がややこしいでしょう?でもヨルレアンは変わりませんから、ローズマリー様と私も呼ばせて貰ったのですけど、図々しかったかしら?」
「えい、いえ、光栄です!様など、要りません!私、今、死んでもいいくらいです」
「えっ、それは婚約者のオセル様が困ってしまうわ。ねえ?」
婚約者のビクター・オセル侯爵令息は、ローズマリーがヨルレアンに憧れていることは知っており、当然の存在だろうとは思っていたが、思った以上に尊敬しているようである。
「はい、さすがにそうですね」
「ほら」
ふふっと笑うヨルレアンにすら、ローズマリーは惚れ惚れとしていた。
「今日も、お美しく、同級生であったことを誇りに思います」
「まあ、私もローズマリー様が同級生であったことを嬉しく思います」
「そ、そんな…そんな…」
ローズマリーは涙が流れており、さすがにヨルレアンも驚き、慌てて侍女から受け取ったハンカチを差し上げますと渡したが、恐れ多くて使えませんというやり取りをしていると、そこへエルドールがやって来た。
「どうしたんだい?」
「殿下、これは…」
ビクターは、まるでヨルレアン様が泣かせたようではないかと、どう説明しようかと思っていた。
「殿下、嬉し泣きですぅ!」
その前にローズマリーは、鼻を啜りながら、白状した。
「ハンカチも受け取って貰えませんの」
「受け取ればいいじゃないか」
「家宝が増えてしまうぅ…」
ローズマリーは恐れ多い気持ちが一番であったが、正直、ヨルレアンの私物を受け取りたい気持ちもあった。
「えっ?」
ヨルレアンは意味が分からず、エルドールを見たが、エルドールもどういう意味なのかは分からなかった。
「ローズマリー嬢、貰って置きなさい。家宝は増えてもいいだろう?ヨルレアン、貰ってもいいのだろう?」
声を掛けたのは、ローレルであった。
「ええ、勿論です。ですが、家宝とは?何か齟齬があるのかしら?」
「あまり詮索しないでやってくれ。ローズマリーは古代語の学者でもある、ヨルレアンを尊敬しているのだよ」
古代語の学者が全てではないのだが、ローレルは一番分かり易い説明を行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時にも1話、投稿します。
残り3話となり、28日で完結しますので、
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
ローレルとメアロールの結婚式が間もなくで、その一年後にはヨルレアンはエルドールと結婚式が決まっている。
ヨルレアンにとって、マレリーア公爵は大叔父となり、血縁関係もあるために、ルエルフ王国であっさりと承認された。
むしろ、ヨシっと拳を握り締めた者がほとんどであった。
ヨルレアンも、早く王女の地位は手放したかったために、快諾した。
だが、元王女ということは変わりなく、エンという部分も取れはしないのだが、ヨルレアンは気持ちが違うらしい。
エルドールと、久し振りに公の場に姿を現したヨルレアンは、圧巻という姿であった。大歓声に包まれ、ローズマリーは婚約者の横で、お姿を目に焼き付けなくてはと瞬きすら忘れていた。
そして、お元気でらしたのねという言葉と、解読の観覧に来ていた者から、事情を聞いていた者たちはその姿に感動すらしていた。
卒業パーティーは、二年の生徒会が最後の仕事として、取り仕切るために、リスカーダが指揮を執っている。
婚約破棄を宣言したり、婚約者とは違う相手を連れて来たり、ドレスを汚し合ったり、ということもなく、これから社交界に出る令息や令嬢に相応しい姿であった。
「ローズマリー様」
まさかこの声はと思いながら、ゆっくりと振り返ると、ローズマリーを呼んだのはヨルレアンであった。
友人と呼べる令嬢も、なかなか出来なかったヨルレアンは、一度だけでも邸に来てくれたローズマリーを見付けて、思わず声を掛けたのである。
「オズラール公爵令嬢!」
「ヨルレアンで構いませんわ」
「で、で、ですが」
「私、名前がややこしいでしょう?でもヨルレアンは変わりませんから、ローズマリー様と私も呼ばせて貰ったのですけど、図々しかったかしら?」
「えい、いえ、光栄です!様など、要りません!私、今、死んでもいいくらいです」
「えっ、それは婚約者のオセル様が困ってしまうわ。ねえ?」
婚約者のビクター・オセル侯爵令息は、ローズマリーがヨルレアンに憧れていることは知っており、当然の存在だろうとは思っていたが、思った以上に尊敬しているようである。
「はい、さすがにそうですね」
「ほら」
ふふっと笑うヨルレアンにすら、ローズマリーは惚れ惚れとしていた。
「今日も、お美しく、同級生であったことを誇りに思います」
「まあ、私もローズマリー様が同級生であったことを嬉しく思います」
「そ、そんな…そんな…」
ローズマリーは涙が流れており、さすがにヨルレアンも驚き、慌てて侍女から受け取ったハンカチを差し上げますと渡したが、恐れ多くて使えませんというやり取りをしていると、そこへエルドールがやって来た。
「どうしたんだい?」
「殿下、これは…」
ビクターは、まるでヨルレアン様が泣かせたようではないかと、どう説明しようかと思っていた。
「殿下、嬉し泣きですぅ!」
その前にローズマリーは、鼻を啜りながら、白状した。
「ハンカチも受け取って貰えませんの」
「受け取ればいいじゃないか」
「家宝が増えてしまうぅ…」
ローズマリーは恐れ多い気持ちが一番であったが、正直、ヨルレアンの私物を受け取りたい気持ちもあった。
「えっ?」
ヨルレアンは意味が分からず、エルドールを見たが、エルドールもどういう意味なのかは分からなかった。
「ローズマリー嬢、貰って置きなさい。家宝は増えてもいいだろう?ヨルレアン、貰ってもいいのだろう?」
声を掛けたのは、ローレルであった。
「ええ、勿論です。ですが、家宝とは?何か齟齬があるのかしら?」
「あまり詮索しないでやってくれ。ローズマリーは古代語の学者でもある、ヨルレアンを尊敬しているのだよ」
古代語の学者が全てではないのだが、ローレルは一番分かり易い説明を行った。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時にも1話、投稿します。
残り3話となり、28日で完結しますので、
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
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