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女王降臨5
「女王陛下は、いずれはこちらに来られるのでは?」
「いつになるかだけど、もしミオリックが継いでいるなら、ダリーツがルエルフに来てもいいとも考えているから、まあその時になってみないとだけど」
「行ったり来たりでもいいかと、話しているのです」
何時になるかはまだ決まっていないが、ダリーツとルアサーラは夫婦として、きちんと話し合っている。
二人は元々、ダリーツは真面目、ルアサーラは責任感が強いということで、お互いを近い存在で理解が出来る部分が多い。
会っているとはいえ、頻繁に会えるわけではない距離も二人には丁度良かったのか、上手くいっている。
「そうだったか」
「それもいいかもしれませんね」
ダズベルトとオーバンも、ルアサーラもヨルレアンも、王族から離れれば行き来も難しくはないだろう。
「そういえば、グルダイヤ侯爵はどうなりましたか?」
「肩身の狭い思いをしております。息子が結婚したら、引退して陰で支えることにするようです」
「そう…」
事後ではあったが、誰がヨルレアンに解読を押し付けていたのかは把握し、その一人がグルダイヤ侯爵であることも掴んでいた。
ダズベルトとオーバンも、知られているだろうと思っていた。
「他にも無理を言ったようで、すぐに罰を与えております」
「そう。オマリー・トドックは?」
「近付くことも出来ないので、関わることもないと思います」
「卒業式も一年遅れですものね」
「ええ、大人しい振りをしながら、随分と我の強い男爵令嬢でした。素質としては聖女と呼ばれていたアリナ・ハッソに似ているでしょうね」
「そうね、きっと同じ様に踊らされたら、同じ行動をしていたのではないかしら」
ダズベルトとオーバン、ダリーツも、何度も頷いた。
「その通りですわね。どちらも勘違いしなければ、まともに生きて行けたでしょう」
「ええ、自分で考える力を持っていれば、違ったでしょうね」
「その通りだな。警戒していたが、正解だったな」
本来であれば、アリナもオマリーも、王家が気にするような存在ではない。だが、目を付けられた以上、王家に近付く人生を歩むことは出来ない。
そのオマリー・トドックは、表立ってアリナとファミラと親しくしていたわけではないので、何も変わらないように過ごしていたが、本当に何もなくなっていた。
結局、アリナを使って、エルドールに会うことも出来ず、三年生は卒業試験が終わると、自由登校になって、見掛けることもなくなった。
今が男爵令嬢としての現実なのであるが、オマリーにとっては生徒会の一員だった頃が、自分の本来の姿だと思っている。
ヨルレアンが古代語の学者であったことには驚き、説明をする姿には話し掛けていた時とは、別人のように感じていた。
解読に関わったのは、エルドールではなく、ヨルレアンの方だったのではないかと頭を過ったが、考えないことにした。
オマリーには縁談もなく、まだ二年生ではあるので、まだチャンスはある。留年して良かったかもしれないと、ポジティブに考えるようにもなっていた。
そして、時は流れ、三年生の卒業パーティーが王宮のホールで、行われることになった。
保護者や教師、王家からもダズベルトとオーバン、ローレルと留学から戻ったメアロール・ジスアットも出席している。
ヨルレアンもさすがに出席することになり、エルドールがドレスを、ルアサーラがアクセサリーを用意して、ザ・王女殿下という出で立ちであった。
最高の地位を誇る、シルバーに身を包むエルドール、ゴールドに身を包むヨルレアンは、お互いの色味ではなく、お互いに似合う色に身を包み、輝きもさることながら、神々しい存在となっていた。
ヨルレアンも、今日くらいはいいかと、派手さを受け入れることにした。
「いつになるかだけど、もしミオリックが継いでいるなら、ダリーツがルエルフに来てもいいとも考えているから、まあその時になってみないとだけど」
「行ったり来たりでもいいかと、話しているのです」
何時になるかはまだ決まっていないが、ダリーツとルアサーラは夫婦として、きちんと話し合っている。
二人は元々、ダリーツは真面目、ルアサーラは責任感が強いということで、お互いを近い存在で理解が出来る部分が多い。
会っているとはいえ、頻繁に会えるわけではない距離も二人には丁度良かったのか、上手くいっている。
「そうだったか」
「それもいいかもしれませんね」
ダズベルトとオーバンも、ルアサーラもヨルレアンも、王族から離れれば行き来も難しくはないだろう。
「そういえば、グルダイヤ侯爵はどうなりましたか?」
「肩身の狭い思いをしております。息子が結婚したら、引退して陰で支えることにするようです」
「そう…」
事後ではあったが、誰がヨルレアンに解読を押し付けていたのかは把握し、その一人がグルダイヤ侯爵であることも掴んでいた。
ダズベルトとオーバンも、知られているだろうと思っていた。
「他にも無理を言ったようで、すぐに罰を与えております」
「そう。オマリー・トドックは?」
「近付くことも出来ないので、関わることもないと思います」
「卒業式も一年遅れですものね」
「ええ、大人しい振りをしながら、随分と我の強い男爵令嬢でした。素質としては聖女と呼ばれていたアリナ・ハッソに似ているでしょうね」
「そうね、きっと同じ様に踊らされたら、同じ行動をしていたのではないかしら」
ダズベルトとオーバン、ダリーツも、何度も頷いた。
「その通りですわね。どちらも勘違いしなければ、まともに生きて行けたでしょう」
「ええ、自分で考える力を持っていれば、違ったでしょうね」
「その通りだな。警戒していたが、正解だったな」
本来であれば、アリナもオマリーも、王家が気にするような存在ではない。だが、目を付けられた以上、王家に近付く人生を歩むことは出来ない。
そのオマリー・トドックは、表立ってアリナとファミラと親しくしていたわけではないので、何も変わらないように過ごしていたが、本当に何もなくなっていた。
結局、アリナを使って、エルドールに会うことも出来ず、三年生は卒業試験が終わると、自由登校になって、見掛けることもなくなった。
今が男爵令嬢としての現実なのであるが、オマリーにとっては生徒会の一員だった頃が、自分の本来の姿だと思っている。
ヨルレアンが古代語の学者であったことには驚き、説明をする姿には話し掛けていた時とは、別人のように感じていた。
解読に関わったのは、エルドールではなく、ヨルレアンの方だったのではないかと頭を過ったが、考えないことにした。
オマリーには縁談もなく、まだ二年生ではあるので、まだチャンスはある。留年して良かったかもしれないと、ポジティブに考えるようにもなっていた。
そして、時は流れ、三年生の卒業パーティーが王宮のホールで、行われることになった。
保護者や教師、王家からもダズベルトとオーバン、ローレルと留学から戻ったメアロール・ジスアットも出席している。
ヨルレアンもさすがに出席することになり、エルドールがドレスを、ルアサーラがアクセサリーを用意して、ザ・王女殿下という出で立ちであった。
最高の地位を誇る、シルバーに身を包むエルドール、ゴールドに身を包むヨルレアンは、お互いの色味ではなく、お互いに似合う色に身を包み、輝きもさることながら、神々しい存在となっていた。
ヨルレアンも、今日くらいはいいかと、派手さを受け入れることにした。
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