【完結】言いたくてしかたない

野村にれ

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「いや、一言では終わりそうにはないな」
「一言にまとめてください」
「えっ、ああ、君も忙しいのに、何度もすまない。一言?一言か、一言で言えば、結婚して欲しい」
「しょう、は?」

 結婚?何を言っているんだ?こいつは!そうではないでしょう!

「結婚して欲しい。本当ならすぐにでもしたい」
「婚約を解消して欲しいの間違いではないですか?」
「そんなこと一度も考えたことはない」
「え?」
「ルビー・ブルゾンのことで、誤解しているのではないかと思っていたのだ。それで早く説明をしようと思ったのだが、彼女は拘束されて、牢にいる」
「は?」

 〇えみが牢にいる?〇えみがレオナルドが夢中になっていた伯爵令嬢で、主人公&ヒロイン疑惑があったのが、このルビー・ブルゾンである。

 勿論、ルビー・ブルゾンは私の中ではすっかり、ブルゾン〇えみとなっている。

 彼女を見る度、「〇ーティ・ワーク」が流れ、書類を投げながら、with 〇と共に『〇球上に男は何人いると思っているの?』『〇5億』が定番となっている。

 学園でハーレムを築いているところを見て、思わず決めポーズを思わず行ってしまい、友人には運動をしているふりをして誤魔化したというのに。

「みんなで仲良く愛し合っているのでは?」
「何でそんな気持ちの悪いことをしなければならない!」
「ハーレムを作っていたじゃない」

 まさに〇ルゾン〇えみのネタにピッタリだった。今日もwith 〇を侍らしてるわと思っていたのだ。婚約者もwith 〇の一味だったのに。

「グットルンキングガイを侍らせていたのでしょう?」
「グットルンキングガイ?」
「あ…」

 これは〇姉妹の方であった…間違えた。

「ブルゾン嬢は、魅了眼を持っていたのだ」
「は?魅了眼?」

 魅了眼なんて、眉唾物ではないか。勿論、日本にはそのようなことはない。だが、この異世界は魔術が使える方たちがいる。

 ゆえに魅了眼と聞いたことはあるが、あり得ないという物である。

「それで魅了に掛かってなどと言うおつもりですの?」
「掛かっていない!皆、今は掛っていないのだ」
「は?今は?」
「掛かっていた者もいた」
「掛かっていないのに、あのハーレムは何だったの?」

 皆でブルゾンと一緒にいたり、囲んでいたのを見たのは、一度や二度ではないし、最近も見ていたのだ。

「それが…ブルゾン嬢は先に何人かの令息に掛けていたのだ。それで、私より先に掛けようとしたのが、キシリだったのだ」
「それは、無理なのでは?」

 キシリこと、私の中ではキシリトール、本名よりも長くなってしまっているが、人とは思えないほど美しい姿をしている。そして、とても優秀な魔術師である。魅了などに掛かるはずがない。

 虫歯予防ではなく、学生ながら悪い魔術から守っている存在である。

「そうなのだ、それで抗う魔導具は付けて、実験のために一緒に付き合ってくれと言われてしまって」
「お友達ですものね」

 キシリはレオナルドの幼なじみで、親友で、心の友である。キシリはあまり人に心を許さないが、レオナルドは特別だそうだ。

「で、今は皆、掛かっておりませんの?」
「いや、正確にはブルゾン嬢は親同士の再婚で、伯爵令嬢になっただろう?義兄である、サカスは強く掛かっていて、良いように操られていたんだ」
「ほう」

 サカス、話したこともないが、私の中では、赤坂サカスから赤坂と呼んでいる。

「それもキシリが解除している、彼の父親も同様だ」
「まあ」
「あと、ブルゾン嬢の母親は母親ですらなくて、彼女も操られて、貴族令嬢になるために利用されていたことが分かったんだ」
「は?」

 母親も母親ですらなかった?これが乙女ゲームであったら、酷過ぎないか?乙女ゲームではなかったのか?

「キシリが解除したら、娘ではないと、子どもなど産んだこともないと言い出して、大変だったんだ…」
「まあ」

 勝手に母親にされて、結婚していたら恐怖ですわね。
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