【完結】言いたくてしかたない

野村にれ

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怖っ!

「だから、私は裏切ってなどいないのだ!」

 強く主張しているが、はいそうですかとは言えない。

「陛下にも王太子殿下にも伝えてある。皆、婚約者に説明と、いずれ陛下からも囮捜査だったと発表がある。この前、既にブルゾン嬢は捕まっていたのだが、まだ色々とバタバタしていて、でも早く君に言いたくて呼んだのに、帰らせることになってしまったんだ…すまなかった」
「それで、あるあるに…」

 早く言いたいレオナルドと、事件のことで従者たちは出たり入ったりしていたのだろう。よく考えてみると、見たことのない者がいたので、新しい従者ではなく、一緒に調べていた者だったのかもしれない。

「あるある?」
「いえ、こちらの話です。お気になさらず」
「不安にさせてすまなかった」
「い、いえ…」

 不安になったことはない、むしろあるあるで、イライラさせられただけである。

「私は君と結婚したいという気持ちは、一度も変わったことはない。それを伝えたかったのだが、なかなか口に出すのが恥ずかしくてだな…」

 頬を赤らめており、レオナルドの方がヒロインっぽいではないかと思った。

「ですが、まだ信じられませんわ」
「何がだろうか?」
「魅了眼が存在したことですわ。自分の意思で行うのですか?無意識ですの?」
「それがキシリが言うには、作られた魅了眼だそうだ。だから、無意識ということはないと思う」
「はい~?」

 あまりに理解が出来ない言葉に、完全に言い方が「〇棒」の〇下〇京さんになってしまったではないか。

「私も完全には理解が出来ているとは言えないのだが、瞳に術式が刻まれているということだ。キシリもそういうことだと認めているから、間違いないと思う」

 キシリが言うならば、間違いではないのだろうが、やっぱり理解は出来ない。

「瞳に…?」

 さすがにコンタクトレンズ的な感じではないと思うが、しかも無意識でなかったら非常に怖くないか?ストーカー作り放題ではないか?

 襲われてしまうのではないか?殺される可能性だってあるのではないか?異世界だろうが、日本だろうが、女性の危機感は同じである。

 魅了されたら、どうなるのか分からないが、イメージ的には薬物中毒者のような方が、列を成すかもしれないってことでしょう?怖っ!普通に怖っ!ハーレム兼、教祖様になりたかったのか?

「魅了眼は誰にでも出来るということですの?」
「一応、そういうことになるが…キシリが言うには無理に行ったことだから、副作用があるらしく、解除してみないと分からないと言っていた」
「ほう」

 副作用がどんなものか分からないが、かなり危険そうじゃないか。

「ブルゾン嬢も、授けられたなどと言っているらしい」
「授けられた?」

 だったら勝手に授けられたということ?怖っ!あっ、でも使わなければいいということ?

「使わなければ、副作用はないということ?」
「いや、そこはまだ調査中らしい。だが、ブルゾン嬢は、そう供述しているそうだ」

 神様的な話なのだろうか、そうなると考えても答えが出ることではない。まさか!あの、あれじゃないか!〇ンスター〇ンジンの暇を持て余した神々の遊びこと、『私だ』『お前だったのか』じゃないのか?

 嘘でしょう?こんなところで本物が見れるの?

 張り上げるタイプのギャグではないので、出来ることならばやってみたい。だが、一人ではなかなか難しいか…。しかも、こちらも上半身が裸だったような気がする…やっぱり絶妙な色の下着が必要ではないか。

「取り調べは大丈夫なのですか?」
「ああ、魔道具を付けて行っている」
「そうでしたね…」
「目的は…その、ココの言う通り、ハーレムだったそうだ」

 ココ、そう、これが私の名前である。ココ・リネル侯爵令嬢。

 また惜しい、何だか安いっぽいと思ったでしょう?有名ファッションデザイナーと一緒でも恐れ多いですからね、良かったのかもしれません。

 バッタもんくらいで、私には丁度いいと思います。

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