【完結】言いたくてしかたない

野村にれ

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あるある

 まさに早く言え!が、具現化したとも言える状況なのです。

 本当にムズムズします。許されるなら、この場で歌ったこともないが、でたらめなステップを踏みながら、歌いたいほどです。

 ああ、本当にレオナルドに早く言って欲しい。面白いことでもないから、待っているのも楽しさもない。一言で済む話じゃないか。あるあるじゃない!破棄破棄だろう?解消解消か?

 でも、ある意味、乙女ゲームあるあるでも、あるのかしら?

「すまなかった、それで」

 折角レオナルドが席に戻ったが、三度目のドアを叩く音がしている。

「失礼します」

 従者が3人もいるのかよ!いい加減にしろよ、こんなに邪魔する従者いるのかよ、わざとか、わざとなのか?

「度々すまない」

 腹を下した時のトイレか?それなら、落ち着くまで篭ってていいと言える。いや、令嬢はお大事にと帰るべきでしょうか。

 日に日に、叫べない苦しみから、ツッコミも激しくなっている自覚がある。

 私は最近、あの現象と同じだと思っているのです。

 おじさま方が年齢を重ねると、思い付いた時点で、無意識にポロッと口から出るようになり、言いたくてたまらないという親父ギャグ。

 同じだと思いません?とても気持ちが分かりますもの。

 でも言いたい~言いたくてしかたない~ああ!替え歌にして、〇ひろみまで歌唱し始めてしまったではありませんか!どうしてくれるんでしょうか、レオナルド!

 ああ、私はなんて、ピッタリな曲を思いついてしまったのかしら。

「すまなかった、それで実は」

 はあ、さすがに3人も来たのだから、ようやく話してくれるでしょう。とにかく、とにかく、さっさと話してください。履いてますからね!

 しかし、無情にも四度目のドアが叩かれた。

「度々失礼します、王宮から急ぎの文が」

 おい!いえ…それは読むべきでしょうね。

「私は、今日は失礼しますわね」

 表情を変えずに踏ん張るのも、限度というものがある。

「こちらが呼んだのに、すまない」
「いえ、次はきちんと落ち着いてから、ご連絡くださいませ」

 次はこのようなことがないようにという意味を込めて、しっかりと伝えて帰ることにした。

 馬車に揺られながら、ああ…帰りに手頃な山に登りたい。御者に『帰りにいつもの山に寄って頂戴』と言いたい。そこで大きな声で叫びたい。

 〇ゥース!とか、

 〇イ〇イスーーー!とか、

 〇っぱぴー!とか思い切り叫びたい。

 ああ、生き辛い。世知辛い。

 だが、叫ぶ場所もないまま、鬱憤の溜まったまま、またレオナルドから連絡があって、邸に行かなくてはならなくなった。今日こそは〇る〇るを出したら許しませんよと思いながら、向き合っている。

「この前、話すつもりだった話なのだが」
「はい」

 しかし、今日もドアは叩かれる。

「失礼します」

 おい、このヤロウ!落ち着いてからって言っておいただろう?この邸ではあれか、全てこいつに聞かないと何も出来ないとでも言うのか?メイドがトイレに行きたがってます、嫡男の許可をいただきませんと、みたいな?セクハラでパワハラじゃん。

 私もそろそろキレていいのではないでしょうか。いくら格下の侯爵令嬢とはいえ、たおやかに微笑むレベルは、既に超えておりますでしょう?

「また…すまなかった、だが今日はもう邪魔されることはない」
「早くお話しになって」
「どこから話せばいいのか」
「長くなりますの?一言で終わる話ではありませんか?」

 婚約解消で終わりではないか、最近会うたびに〇イザーラモン〇Gを、奏で続けていた人間の気持ちが分かるか?絶対に分からないだろう。

 もし、説明することになったとしても、面白さが伝わらず、苦笑いをされるのも見えている。とにかく、とにかく、損をするのは私だけなのですよ。

 今日もバッチリ履いてますよ!

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