【完結】あなたにすべて差し上げます

野村にれ

文字の大きさ
28 / 38

話し合い3

しおりを挟む
 シュアリーに向けていた瞳を、アウラージュはルカスに移した。

「そしてルカス・バートラ。王配になることと、大変さを知って、王配よりも新しい公爵家の方がいいのではないかの2つ。だから、2人は気が合ったのでしょうね。公爵家を次男ということだけで継げないのだから、絶対に公爵家より下では嫌だと考えている」
「そ、そのようなことは思っておりません」
「そう?私にはずっとそう見えていたわ。そしてジルバードとララが想い合って婚約していることも、良く思っていなかった。私は政略結婚なのにと」
「ルカスっ!!」

 アウラージュはルカスがジルバードへの嫉妬心を見抜いていた。それが見返してやるという向上心になれば違ったが、ルカスは王配になるにもかかわらず、私なんかこんなものだと思っていることも分かっていた。だからこそ、責任のないシュアリーと同調出来たのだ。

「私も今となっては人のことは言えないけど、あなたには覚悟がなかった」
「申し訳ございません!」

 バートラ公爵は立ち上がって、折り畳むほど深く頭を下げた。

「父上っ!殿下、そのようなことはありません。真摯に取り組み、責任と覚悟を持っておりました」
「バートラ公爵、お座りください。ルカス、あなたが持っていたのは、私への緊張感じゃないかしら?」
「っ」
「後はリラ・ブラインかしら?自分に惚れていると思うこともあったんじゃない?」
「っな、何よそれ」

 シュアリーはルカスのように目を逸らさずに、どういうことかと睨んでいる。

「そのようなことはありません、彼女は兄が好きだったんでしょう!」
「そうね、だからあなたに近づいたことも、今なら分かるわよね?利用されそうになったことに苛立ったんじゃない?趣旨返しなんて言葉、今までのあなたなら思っても、私に言う勇気はなかったはずよ?」
「…それは」
「ルカス!殿下、重ね重ね申し訳ございません」
「バートラ公爵も気苦労ばかりね」
「恐れ入ります」

 ルカスの婚約解消からシュアリーとの婚約、ジルバードの一件、そしてこのような場、バートラ公爵は胃が痛む日々だろう。

 アウラージュは最後に陛下を見据えた。

「そして、陛下。私に負い目もあり、私を王にしようとする一方で、私が王位継承権を放棄すると言った時、自分の娘が王になることを想像した。みんな2つ持っているの、勝手にね。そして、どれも叶わないわ。私はね、皆に納得してもらいたかったの、だからシュアリーに王太子教育を受けさせたかったの」
「出来ないと思ってさせたっていうの!」
「出来るかもしれないとは思っていたわよ、でも予想通りだったわ。これで皆、王太子に相応しくないと分かったでしょう?」
「お姉様は私にごめんなさいと謝らせて、戻って来てと泣き喚いて欲しいんでしょう!子どもみたい」
「私は王太子には戻らない。王太子はリオン・ホワイトア。陛下、それでいいですね?」
「…」

 さすがに陛下はすぐに了承は出来ない、だが先を見据えているはずだ。

「駄目よ!何で、謝るから戻ってくればいいじゃない!ずっと勉強していたんでしょう!悔しいと思わないの?」
「戻る気はないわ、どの道、皇位継承権は放棄させないと言われていますから」
「お姉様はずるいわ、自分だけ皇位なんて」
「あなたにはそう見えるのよね?だから王位継承権を放棄したのよ。サリキュース帝国の皇位継承権を持つ私では皆が反対できないから」
「そうやって、何もかも持って!何なのよ!」
「いい加減にしろ!」
「何よ」

 アウラージュは机を叩いて立ち上がり、シュアリーも驚いたが、ルカスもバートラ公爵も驚いて固まってしまってる。

「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ、このバカ王女。お前は努力して王になるか、努力せずにボロボロになって、臣下に降りるしかねえんだよ!頭が湧いてんのか」
「っな、お姉様がそんな言葉を」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

覚悟はありますか?

翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。 「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」 ご都合主義な創作作品です。 異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。 恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

alunam
恋愛
 婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。 既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……  愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……  そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……    これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。 ※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定 それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?

四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜

nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。 「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。 だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。 冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。 そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。 「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

処理中です...