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第一部
第18話
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「幸尚さん!!」
とうとう瀬尾君が到着したようで、すぐ近くで自分を呼ぶ声が聞こえた。
「あの、申し訳ありません。こちらに男性が一人で来なかったですか?」
三目君と桝田君しかいないことに気付き、瀬尾君は二人に話しかける。三目君だけが後ろを振り返り、自分を隠してくれている桝田君は首だけ後ろを向いた。
「いや、僕達以外は誰もいませんよ?ってあれ?もしかして瀬尾さんですか?」
冷たく返事をしていた三目君の声が驚いたためか少しだけ高くなる。
「あれ?もしかして三目さんですか?」
瀬尾君も気付いたのか、驚きの声を上げている。
「まさかこんな所で会うとは思いませんでした。瀬尾さんも夜景を見にきたんですか?確かにここ、すごく綺麗ですよね!僕もよく来るんですよ!」
「そうなんですか。俺もたまに来るんです。景色も綺麗だし、そのわりには人も少なくてリラックスできるしでお気に入りの場所なんです。」
二人の話は思ったよりも盛り上がっている。三目君がすぐに追い払ってくれないかななんて甘い考えを抱いていたが、話はだんだんと盛り上がってきてしまっている。このまま瀬尾君がここに居座ってしまうも自分がここにいることがバレてしまうかもしれない。だんだんと冷や汗がにじんできた。
「…大丈夫ですか?」
そんなタイミングで桝田君が優しく声をかけてきてくれた。自分の身体が外にはみ出ないように、後ろから覆い被さって腕のなかにしっかりと囲い込んでくれている。
「大丈夫です。ごめんね、こんなことさせて。」
三目君はまだしも、桝田君なんて自分とは初対面だし、全く関係ない。それなのにこんなに身体を密着させた格好をさせてしまっている。
「ちゃんとお礼はするからね。」
「いえ、そんなこと気にしないでください。…後ろの人に会いたくないんですよね?俺が絶対に守りますから。」
「っ!」
後ろから低い声で囁かれてビクッと震えてしまう。まるで少女漫画のような台詞をさらりと言ってのける。女の子ならたまらないだろうなぁと思い、クスッと笑ってしまった。
「何か笑うところがありましたか?」
それに気づいた桝田君が少し拗ねたような口調で尋ねてくる。
「いやいや、桝田君ってモテるだろうなぁって思って。そんな台詞言われたら女の子ならイチコロだよ。」
そう言うと、なぜだか桝田君にさらに強く抱き締められた。
「…女の子じゃないとダメですかね?男の人は全然ときめきませんか?」
「えっ!?いや、その。」
突然の質問に慌ててしまう。返事を返せないでいると、腕の力はさらに強くなった。周りから見るとまるでイチャイチャしているカップルのように見えているだろう。しかし、桝田君の力が強すぎてこちらは呼吸困難寸前だ。必死に身体をよじってその事を訴えるも、桝田君は全然気づいてくれない。
「やっぱり男から見たら、俺って魅力ないですか?俺はどうすれば男にも恋愛対象に思われるでしょうか?」
「ま…まっ…て、く、くるしい…!」
このままでは本当に死んでしまう。涙目になって苦しんでいた時。
「こら、誠也いい加減にしろ!!!」
ゴスッと鈍い音がしたかと思うと、桝田君の腕の力が緩んだ。その間に急いで彼の腕の中から脱出する。すると、三目君が仁王立ちで桝田君を睨み付けていた。身長は桝田君の方がはるかに大きいのに、なぜだか三目君の方が大きく見える。
「山口さん、すいません!こいつ夢中になると回りが見えなくなることが多くて!苦しかったですよね、すいません!」
三目君が駆け寄ってきて怪我がないかを確かめてくれる。大丈夫なことを伝えると、顔を真っ青にした桝田君も駆け寄ってきた。
「す、すいません!大丈夫でしたか?守るって言ったのに逆に苦しませて申し訳ありません!!あぁ、ほんとに大丈夫ですか!!」
「だ、大丈夫だから!」
桝田君が身体のあちこちを触りながら確認してくる。三目君は目視だけだったが、桝田君はあちこちを触ってくるのでくすぐったい気分だ。そんな桝田君にまた三目君が鉄拳制裁を加えた。
「こら!人の身体を勝手に触るな!!」
「あぁ、すいません!」
桝田君が涙目になって謝ってくる。まるで親子のようなやり取りが微笑ましく、声をあげて笑ってしまった。
「俺は大丈夫だから、本当に気にしないで。こちらこそ隠してくれてありがとう…って、そういえば瀬尾君は!?」
すっかり忘れていた瀬尾君のことを思い出し、慌てて周りを見渡した。しかし、瀬尾君の姿はどこにもいない。
「二人がいちゃついている間に僕が撃退しましたよ。」
三目君がVサインをしながらにっこりと笑う。「いちゃついてなんかいない!」と主張する桝田君をチョップで黙らせた三目君がいきなり至近距離まで近づいてきた。
「山口さん、合コンしますよ。」
「へっ?」
突然の申し出に首をかしげる。今までそんな話は一言もしていないはずだ。しかし、三目君は真顔で「1週間後ですから」と話を進めてくる。
「え?ちょっと待ってよ。どういうこと?」
「いいですから。全部僕に任せてください。とりあえず車の中で作戦会議です。ほら誠也行くよ!!」
「えっ!!ちょっとーーー!?」
どこにそんな力があるのか、三目君は桝田君と自分の腕をとり駐車場へと引きずっていった。
とうとう瀬尾君が到着したようで、すぐ近くで自分を呼ぶ声が聞こえた。
「あの、申し訳ありません。こちらに男性が一人で来なかったですか?」
三目君と桝田君しかいないことに気付き、瀬尾君は二人に話しかける。三目君だけが後ろを振り返り、自分を隠してくれている桝田君は首だけ後ろを向いた。
「いや、僕達以外は誰もいませんよ?ってあれ?もしかして瀬尾さんですか?」
冷たく返事をしていた三目君の声が驚いたためか少しだけ高くなる。
「あれ?もしかして三目さんですか?」
瀬尾君も気付いたのか、驚きの声を上げている。
「まさかこんな所で会うとは思いませんでした。瀬尾さんも夜景を見にきたんですか?確かにここ、すごく綺麗ですよね!僕もよく来るんですよ!」
「そうなんですか。俺もたまに来るんです。景色も綺麗だし、そのわりには人も少なくてリラックスできるしでお気に入りの場所なんです。」
二人の話は思ったよりも盛り上がっている。三目君がすぐに追い払ってくれないかななんて甘い考えを抱いていたが、話はだんだんと盛り上がってきてしまっている。このまま瀬尾君がここに居座ってしまうも自分がここにいることがバレてしまうかもしれない。だんだんと冷や汗がにじんできた。
「…大丈夫ですか?」
そんなタイミングで桝田君が優しく声をかけてきてくれた。自分の身体が外にはみ出ないように、後ろから覆い被さって腕のなかにしっかりと囲い込んでくれている。
「大丈夫です。ごめんね、こんなことさせて。」
三目君はまだしも、桝田君なんて自分とは初対面だし、全く関係ない。それなのにこんなに身体を密着させた格好をさせてしまっている。
「ちゃんとお礼はするからね。」
「いえ、そんなこと気にしないでください。…後ろの人に会いたくないんですよね?俺が絶対に守りますから。」
「っ!」
後ろから低い声で囁かれてビクッと震えてしまう。まるで少女漫画のような台詞をさらりと言ってのける。女の子ならたまらないだろうなぁと思い、クスッと笑ってしまった。
「何か笑うところがありましたか?」
それに気づいた桝田君が少し拗ねたような口調で尋ねてくる。
「いやいや、桝田君ってモテるだろうなぁって思って。そんな台詞言われたら女の子ならイチコロだよ。」
そう言うと、なぜだか桝田君にさらに強く抱き締められた。
「…女の子じゃないとダメですかね?男の人は全然ときめきませんか?」
「えっ!?いや、その。」
突然の質問に慌ててしまう。返事を返せないでいると、腕の力はさらに強くなった。周りから見るとまるでイチャイチャしているカップルのように見えているだろう。しかし、桝田君の力が強すぎてこちらは呼吸困難寸前だ。必死に身体をよじってその事を訴えるも、桝田君は全然気づいてくれない。
「やっぱり男から見たら、俺って魅力ないですか?俺はどうすれば男にも恋愛対象に思われるでしょうか?」
「ま…まっ…て、く、くるしい…!」
このままでは本当に死んでしまう。涙目になって苦しんでいた時。
「こら、誠也いい加減にしろ!!!」
ゴスッと鈍い音がしたかと思うと、桝田君の腕の力が緩んだ。その間に急いで彼の腕の中から脱出する。すると、三目君が仁王立ちで桝田君を睨み付けていた。身長は桝田君の方がはるかに大きいのに、なぜだか三目君の方が大きく見える。
「山口さん、すいません!こいつ夢中になると回りが見えなくなることが多くて!苦しかったですよね、すいません!」
三目君が駆け寄ってきて怪我がないかを確かめてくれる。大丈夫なことを伝えると、顔を真っ青にした桝田君も駆け寄ってきた。
「す、すいません!大丈夫でしたか?守るって言ったのに逆に苦しませて申し訳ありません!!あぁ、ほんとに大丈夫ですか!!」
「だ、大丈夫だから!」
桝田君が身体のあちこちを触りながら確認してくる。三目君は目視だけだったが、桝田君はあちこちを触ってくるのでくすぐったい気分だ。そんな桝田君にまた三目君が鉄拳制裁を加えた。
「こら!人の身体を勝手に触るな!!」
「あぁ、すいません!」
桝田君が涙目になって謝ってくる。まるで親子のようなやり取りが微笑ましく、声をあげて笑ってしまった。
「俺は大丈夫だから、本当に気にしないで。こちらこそ隠してくれてありがとう…って、そういえば瀬尾君は!?」
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三目君がVサインをしながらにっこりと笑う。「いちゃついてなんかいない!」と主張する桝田君をチョップで黙らせた三目君がいきなり至近距離まで近づいてきた。
「山口さん、合コンしますよ。」
「へっ?」
突然の申し出に首をかしげる。今までそんな話は一言もしていないはずだ。しかし、三目君は真顔で「1週間後ですから」と話を進めてくる。
「え?ちょっと待ってよ。どういうこと?」
「いいですから。全部僕に任せてください。とりあえず車の中で作戦会議です。ほら誠也行くよ!!」
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