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婚約破棄から始まる異世界生活
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私が『どきどきプリンセスッ!2』の悪役令嬢に転生したことを知ったのは、なんと第二王子に婚約破棄された瞬間だった。
「グレイス、そなたとの婚約を正式に破棄させてもらう」
そう高らかに宣言され、私は目を白黒させた。婚約破棄が衝撃だったのではない。前世の記憶が次から次へと蘇ってきたからだ。
「ちょっとお待ち下さいませね。頭の中を整理致します」
前世の私は平凡な女子大生。実家が貧乏だから奨学金とバイト代でなんとか学校に通っていたが、大学四年目にして親による奨学金の使い込みが発覚したのだ。学生課から呼び出されて、内定が出ているのに卒業できないかも……と悩んでいるうちに車に跳ねられ、気付いた時には公爵令嬢・グレイスとして生を受けていた。
「お時間をいただきありがとうございます。それでは失礼させていただきますわね」
王子の顔も見ず私は彼らにクルリと背を向け、パーティ会場を後にしようとした。だってこの展開知っているんだもん!ゲームでは王子が悪役令嬢である私の罪状をここで暴露して、ヒロインと婚約することを発表する。
「婚約破棄なんだぞ?」
拍子抜けた様子で王子はそう言うが私は気にしない。だって何十回とクリアしてきたゲームだ。彼が次に言う言葉は聞かなくても分かる。決して耳に心地よい言葉ではないから敢えて聞くまい。
「かしこまりました。えっと……ティアナ様とお幸せに」
王子の後ろで、やはり訝しげな表情を浮かべるティアナにも笑顔を送った。個人的に悪役令嬢であるグレイスも美人だが、あのホワホワした王子にはホワホワした男爵令嬢のティアナの方がピッタリだ。何も未練はない。不幸中の幸い、今日でこの学園も卒業で彼らと顔を合わせることも当分ないだろう。
「婚約破棄しただと?!!」
自宅に帰ると烈火のごとく怒りを露わにする父が出迎えてくれた。
「あら、お父様、婚約破棄『された』ですわよ。それより卒業をお祝いして下さいませ」
「何が卒業だ!!国王陛下に直訴してくるぞ」
「それはお勧めいたしません。冷静にお話ができない状態で直訴されましたら、逆に手討ちにあいましてよ」
そう悪役令嬢は卒園パーティー後、父親と共に王宮に乗り込むが、勢いあまって剣を抜き手討ちにされてしまう。親バカとは本当に怖い。
「ではどうするのだ……」
妙に冷静な私に何か考えがあるのを察したのか、父親のテンションがグッと下がる。
「一方的な婚約破棄ですから……慰謝料をいただきたいですわね。王家の名に恥じない金額をご用意いただけるかと」
日本の場合、一般人の婚約破棄となると五十万円から二百万円の慰謝料が相場だったはずだ。某宮家令嬢の婚約が破談になった場合、相手方に対して一億円の手切金が支払われる……とも噂されたことがあったようなないような。
「といっても、そもそも私が殿下の心変わりに嫉妬して級友を虐めたのがきっかけですからね……。その金額については、期待しないで下さいませね」
思い出したようにそう説明すると、父の烈火のごとき怒りの矛先が再び私へ向けられることになった。
「お前なんぞ、『医者の嫁』にでもなってしまえ!!!!」
「グレイス、そなたとの婚約を正式に破棄させてもらう」
そう高らかに宣言され、私は目を白黒させた。婚約破棄が衝撃だったのではない。前世の記憶が次から次へと蘇ってきたからだ。
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「かしこまりました。えっと……ティアナ様とお幸せに」
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「婚約破棄しただと?!!」
自宅に帰ると烈火のごとく怒りを露わにする父が出迎えてくれた。
「あら、お父様、婚約破棄『された』ですわよ。それより卒業をお祝いして下さいませ」
「何が卒業だ!!国王陛下に直訴してくるぞ」
「それはお勧めいたしません。冷静にお話ができない状態で直訴されましたら、逆に手討ちにあいましてよ」
そう悪役令嬢は卒園パーティー後、父親と共に王宮に乗り込むが、勢いあまって剣を抜き手討ちにされてしまう。親バカとは本当に怖い。
「ではどうするのだ……」
妙に冷静な私に何か考えがあるのを察したのか、父親のテンションがグッと下がる。
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「といっても、そもそも私が殿下の心変わりに嫉妬して級友を虐めたのがきっかけですからね……。その金額については、期待しないで下さいませね」
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「お前なんぞ、『医者の嫁』にでもなってしまえ!!!!」
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