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問4 異なる2点間の距離を求めよ
答4-1
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視界ディスプレイの右上に表示された対戦相手の名前は「Stomach」だった。
腹……はら……おなか……?
なぜその名前を付けたんだストマック。……いや、意外と人名っぽいな。
俺は対戦相手の名前の由来を考える事に容量を割くのをやめ、目の前の状況に集中する。
今回のフィールドは【跫音の谷】だ。
空から見ると大地がひび割れたように見える複数の細い谷間が舞台で、谷の幅は30m程度のものが多い。
その谷と谷を横に繋ぐように人が1人通れる程度の太いパイプがトンネルのように貫通していて、地形を迷路のように入り組ませている。
パイプはゲーム的な通路としての役割の他に、フィールドのオブジェクトとして大小様々な管が谷間には無数に張り巡らされている。その中のおそらく水道管であろうものが時折ぴちょん、ぴちょんと水滴を滴らせ、濡れた誰かの足音が忍び寄って来るように聞こえる。
見上げた空は快晴だが、100mはあろうこの谷底まで満足な光は届かない。そんな薄暗い世界に響く水音は不気味で、閉所も多いため孤独感が際立つ。
あまり俺が好きなフィールドでは無いのだが、今回のデッキとは相性が良いだろう。初戦から幸先が良いスタートだ。
まずは地形の把握と手札の確認から。
相手の力量が分かるまでは無茶はせず、対人戦の基本を忠実に守っていこう。
4枚の手札に注視する。
キーカードの2枚はまだ手にはない。早速【もちもちシューズ】があれば装備して登ろうと思ったのだが、断念する。
デッキを回してさっさと引き込むのも手だが、さほど隠密性を考慮していないデッキのため、回すことにより発生する音やエフェクトで一方的にこちらの居場所が知られるのは得策ではない。
俺はみずちのような「お嬢様ご乱心スタイル」はゴメンだ。
と、思っていると、どこからか爆発音が小さく聞こえた。
このフィールドには勝手に爆発するようなオブジェクトは無いので、間違いなく対戦相手のストマックがカードを使用して発生した音だ。
このマップはとにかく大きな空間が無いので、待ち続けるようなスタイルのプレイヤーが有利な場所に陣取っていると非常に面倒くさい。
ストマックはどうやらそういうタイプではなさそうだ。こちらとしては願ったり叶ったり。
谷間は音が反響するため正確な位置は把握し辛いが、おおまかな目安を付けてすばやく足を進める。
2つ目のパイプトンネルを通過した俺は、壁面の管を辿り少し高い位置にある足場に飛び乗った。
デッキ内に対戦相手のサーチ系カードは入れていない。見つける為には自分の視界で探すしかない。
足場の近くの太いパイプに身を隠しながら、辺りを窺う。
さっきの音量的には、そろそろ接敵してもおかしくないのだが――いや、いた。
5、60mは先だろうか。谷底の通路区画を無防備に歩く、目立つ金髪に全身を覆う黒いロングコートを羽織ったストマックの姿を捉える。
彼は手に銃器を持ち、落ち着かずにきょろきょろと辺りを見渡しながら進んでいた。
その挙動と表情は不安そうで、まだ彼まで距離があるにも関わらず自信の無さが伝わってくる。
うーん、これ……なんだろう。人狩りをしている気分になる。
さながら、草食獣を襲う肉食獣の気持ちと言いますか……。
別に俺が肉食獣かと言うと、精神的には完全なる草食獣なので性格と状況の齟齬に頭がバグりそうになる。
ま、見つけちゃったものはしょうがない。行ってみますか。
俺は手札のショットカードをアクティブ化した。
両手の平を空に掲げると、その上に小さな積乱雲が生成される。
むむむ……と意味も無く力みながらその姿勢を継続していると、【鳴神:玖】が作り出した雲はもくもくとその図体を成長させていった。
「そろそろ……ほいっ」
俺は3メートルほどの大きさまで膨らんだ黒い雲を、手の平を頭上から放り投げるように振り下ろして飛ばす。
するすると走るように飛行するそれは、ある程度のホーミング性能も兼ね備えているため器用に管の間をすり抜けて目標に向かって進む。
俺は雲を追いかけるべく、眼前のパイプを掴んで飛び乗り、勢いのまま次のパイプへとジャンプする。そのままパルクールの要領で渡り歩き、雲とほぼ同時にストマックの前に踊り出る。
「どもっ! お届け物でーす」
「はいぃっ!?」
俺は右手の人差し指を彼に向かって鋭く刺した。
そのアクションで銀光を散らしながら柄の無い日本刀のようなエフェクトが彼を貫く。
バレットカード【刀身の苦無】は、直線的に射出される斬撃ダメージを与えるシンプルなカードだ。
「うっ……!」
エフェクトが消える前に追撃が入る。
何の障害もなく彼の頭上に到達した雲は、ゴロゴロと音を立て、ズドンとまばゆい衝撃と共に太い雷撃を落とした。
「ぐあぁぁぁ!!」
「うぉっ、びっくりした」
だって「ぐあぁ」って叫ぶんだもん。
ダメージって当たった場所を知らせる程度だから少しピリッとは来るけど、激痛が走る訳じゃないから普通叫ばないし。
どうしたんだストマック。お腹痛いのか?
いや「苦無が刺さってから雷」はダメージを増加させるちょっとしたコンボだからゲーム的には痛いはずだけどさ。
くだらないことを考えながら、俺は次の手を打つ。
パチパチと電撃の抜けきらない彼の体に向かって【脚火】で加速して飛び蹴りを加えた。
得物を取り落とし、体をくの字に曲げて壁に叩きつけられたストマックが【脚火】の効果で爆発を起こし壁ごと崩れ落ちる。
ぐっと接近し更に4枚目のカードを切る。
相手の認識を変える【変転する世界】だ。かなりの近距離でなければ当たらないが、数秒間視界の上下左右が反転して異常に動きづらくなる強力なステータスカードだ。
これで立ち上がってもろくに歩けないだろう。
彼が落としたガジェット【鏖殺のショットガン】を足で跳ね上げて拾うと、適当に数発を持ち主に撃ち込んでから遠くに放り捨てる。
ここまでは万事順調。反撃も無し。
いいのか? こんなに楽で。
俺はわずかに感じる不安を押しのけ、次のドローを待つ。
腹……はら……おなか……?
なぜその名前を付けたんだストマック。……いや、意外と人名っぽいな。
俺は対戦相手の名前の由来を考える事に容量を割くのをやめ、目の前の状況に集中する。
今回のフィールドは【跫音の谷】だ。
空から見ると大地がひび割れたように見える複数の細い谷間が舞台で、谷の幅は30m程度のものが多い。
その谷と谷を横に繋ぐように人が1人通れる程度の太いパイプがトンネルのように貫通していて、地形を迷路のように入り組ませている。
パイプはゲーム的な通路としての役割の他に、フィールドのオブジェクトとして大小様々な管が谷間には無数に張り巡らされている。その中のおそらく水道管であろうものが時折ぴちょん、ぴちょんと水滴を滴らせ、濡れた誰かの足音が忍び寄って来るように聞こえる。
見上げた空は快晴だが、100mはあろうこの谷底まで満足な光は届かない。そんな薄暗い世界に響く水音は不気味で、閉所も多いため孤独感が際立つ。
あまり俺が好きなフィールドでは無いのだが、今回のデッキとは相性が良いだろう。初戦から幸先が良いスタートだ。
まずは地形の把握と手札の確認から。
相手の力量が分かるまでは無茶はせず、対人戦の基本を忠実に守っていこう。
4枚の手札に注視する。
キーカードの2枚はまだ手にはない。早速【もちもちシューズ】があれば装備して登ろうと思ったのだが、断念する。
デッキを回してさっさと引き込むのも手だが、さほど隠密性を考慮していないデッキのため、回すことにより発生する音やエフェクトで一方的にこちらの居場所が知られるのは得策ではない。
俺はみずちのような「お嬢様ご乱心スタイル」はゴメンだ。
と、思っていると、どこからか爆発音が小さく聞こえた。
このフィールドには勝手に爆発するようなオブジェクトは無いので、間違いなく対戦相手のストマックがカードを使用して発生した音だ。
このマップはとにかく大きな空間が無いので、待ち続けるようなスタイルのプレイヤーが有利な場所に陣取っていると非常に面倒くさい。
ストマックはどうやらそういうタイプではなさそうだ。こちらとしては願ったり叶ったり。
谷間は音が反響するため正確な位置は把握し辛いが、おおまかな目安を付けてすばやく足を進める。
2つ目のパイプトンネルを通過した俺は、壁面の管を辿り少し高い位置にある足場に飛び乗った。
デッキ内に対戦相手のサーチ系カードは入れていない。見つける為には自分の視界で探すしかない。
足場の近くの太いパイプに身を隠しながら、辺りを窺う。
さっきの音量的には、そろそろ接敵してもおかしくないのだが――いや、いた。
5、60mは先だろうか。谷底の通路区画を無防備に歩く、目立つ金髪に全身を覆う黒いロングコートを羽織ったストマックの姿を捉える。
彼は手に銃器を持ち、落ち着かずにきょろきょろと辺りを見渡しながら進んでいた。
その挙動と表情は不安そうで、まだ彼まで距離があるにも関わらず自信の無さが伝わってくる。
うーん、これ……なんだろう。人狩りをしている気分になる。
さながら、草食獣を襲う肉食獣の気持ちと言いますか……。
別に俺が肉食獣かと言うと、精神的には完全なる草食獣なので性格と状況の齟齬に頭がバグりそうになる。
ま、見つけちゃったものはしょうがない。行ってみますか。
俺は手札のショットカードをアクティブ化した。
両手の平を空に掲げると、その上に小さな積乱雲が生成される。
むむむ……と意味も無く力みながらその姿勢を継続していると、【鳴神:玖】が作り出した雲はもくもくとその図体を成長させていった。
「そろそろ……ほいっ」
俺は3メートルほどの大きさまで膨らんだ黒い雲を、手の平を頭上から放り投げるように振り下ろして飛ばす。
するすると走るように飛行するそれは、ある程度のホーミング性能も兼ね備えているため器用に管の間をすり抜けて目標に向かって進む。
俺は雲を追いかけるべく、眼前のパイプを掴んで飛び乗り、勢いのまま次のパイプへとジャンプする。そのままパルクールの要領で渡り歩き、雲とほぼ同時にストマックの前に踊り出る。
「どもっ! お届け物でーす」
「はいぃっ!?」
俺は右手の人差し指を彼に向かって鋭く刺した。
そのアクションで銀光を散らしながら柄の無い日本刀のようなエフェクトが彼を貫く。
バレットカード【刀身の苦無】は、直線的に射出される斬撃ダメージを与えるシンプルなカードだ。
「うっ……!」
エフェクトが消える前に追撃が入る。
何の障害もなく彼の頭上に到達した雲は、ゴロゴロと音を立て、ズドンとまばゆい衝撃と共に太い雷撃を落とした。
「ぐあぁぁぁ!!」
「うぉっ、びっくりした」
だって「ぐあぁ」って叫ぶんだもん。
ダメージって当たった場所を知らせる程度だから少しピリッとは来るけど、激痛が走る訳じゃないから普通叫ばないし。
どうしたんだストマック。お腹痛いのか?
いや「苦無が刺さってから雷」はダメージを増加させるちょっとしたコンボだからゲーム的には痛いはずだけどさ。
くだらないことを考えながら、俺は次の手を打つ。
パチパチと電撃の抜けきらない彼の体に向かって【脚火】で加速して飛び蹴りを加えた。
得物を取り落とし、体をくの字に曲げて壁に叩きつけられたストマックが【脚火】の効果で爆発を起こし壁ごと崩れ落ちる。
ぐっと接近し更に4枚目のカードを切る。
相手の認識を変える【変転する世界】だ。かなりの近距離でなければ当たらないが、数秒間視界の上下左右が反転して異常に動きづらくなる強力なステータスカードだ。
これで立ち上がってもろくに歩けないだろう。
彼が落としたガジェット【鏖殺のショットガン】を足で跳ね上げて拾うと、適当に数発を持ち主に撃ち込んでから遠くに放り捨てる。
ここまでは万事順調。反撃も無し。
いいのか? こんなに楽で。
俺はわずかに感じる不安を押しのけ、次のドローを待つ。
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