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はじめての異世界 ―ウィリデ探訪編―
ウサギという名のモンスター
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エルネスから離れているせいか、頼りない気持ちになっていた。
彼からは合図をしているうちに逃げられる可能性があるので、穴の様子に注意しているようにと指示があった。
反対側で穴を見つけ次第、何らかのアクションを起こすということだろう。
背の高いとうもろこしに阻まれて、エルネスの姿が見えなくなっていた。
目の前に空いた穴には特に変化が見られず、今のうちに魔術の予行練習をしておくことにした。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
よしっ、感覚はしっかり掴めている。
これなら、いつ魔術を使うことになっても大丈夫だ。
俺の魔術は作物を全滅させるほどの火力はないので、周囲に気を配りすぎる必要はないように思われた。
ただ、出力を上げすぎるとマナ焼けを起こす可能性があるので、適度なさじ加減は慣れが必要な気がする。
きっと、水でダメージを与えられるのは難しいと思うので、動物が怯みそうな火の属性を中心に使うことにしよう。これで心の準備は万端……なはずだ。
不安が拭えないまま待機していると、穴の奥で何かが光ったように見えた。
それがエルネスによるものだと気づいて、慌てて臨戦態勢に入った。
穴の反対側から伸びる光を背にして、穴から何かが出てこようとしていた。
それを迎え撃つべく、マナに意識を向けて魔術の発動体制に入った。
「――おっ、おおっ!?」
勢いよく数匹の動物が飛び出てきた。
こいつらがミノルウサギか。
「……ウサギにしては何だか大きすぎないか」
そもそも地面に空いた穴が不自然に大きい気はしていた。
小動物のねぐらにしては直径が広すぎた。
ウサギたちの大きさは50センチ以上あり、暗めの茶色い体毛が生えている。
俺と同じように唐突な遭遇に彼らも驚いているようだ。
すぐに逃げ出さずに、戸惑うような瞳を向けてきた。
「えっと、どうしたらいいんだ……」
ウサギたちを足止めしようにも無害に見えてしまう。
本当に魔術で攻撃してもいいのだろうか。
俺がウサギたちを見極めきれないように、彼らも同じように見えた。
落ち着いて観察してみると、大型のものに紛れて小さい個体が紛れている。
子どものウサギに見えるものの、狙い撃ちすれば母性本能を刺激して猛反撃を食らいそうな気もする。
これだけ大きいサイズに噛まれたりしたら、シャレにならないだろう。
「と、とにかく、一匹だけでも……」
迷いを振りきりながら、火の魔術を発動させる。
あの大きさのウサギにダメージを与えるには、指先程度の炎ではどうにもならない。かといってやりすぎはマナ焼けにつながる。
悩んだ末に10センチほどの火の玉を作り、一番近い距離のウサギに直撃させることにした。――その距離10数メートル。
「……悪いな、頼むから恨むなよ」
意を決して右手をかざしながら火の玉を発現させる。
そして、狙いを定めて発射した。
「よ、よしっ、当たったか!?」
ギリギリで回避されてしまい、着弾した場所でぶすぶすと煙が上がるだけだった。
見た目以上にすばしっこいようで、上手く狙わないとかわされてしまうらしい。
初手で攻撃の意思を察知されて、ウサギたちは散り散りに逃げようとしていた。
連続で魔術を発動しようとしたが、無闇に消耗するのはリスクが高いと感じる。
――と諦めかけたところで、どこからともなく複数の火球が飛んできた。
次の瞬間、それらはウサギたちの周囲で爆ぜるように燃え上がった。
「間に合ってよかったです」
気がつくと少し離れたところにエルネスが立っていた。
助っ人の存在に気を取られていると、彼はウサギの方を指さした。
爆煙の様子が静かになった頃、ウサギたちはその場で横になるような姿勢で倒れていた。
俺には何が起きたのか分からなかった。
彼からは合図をしているうちに逃げられる可能性があるので、穴の様子に注意しているようにと指示があった。
反対側で穴を見つけ次第、何らかのアクションを起こすということだろう。
背の高いとうもろこしに阻まれて、エルネスの姿が見えなくなっていた。
目の前に空いた穴には特に変化が見られず、今のうちに魔術の予行練習をしておくことにした。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
よしっ、感覚はしっかり掴めている。
これなら、いつ魔術を使うことになっても大丈夫だ。
俺の魔術は作物を全滅させるほどの火力はないので、周囲に気を配りすぎる必要はないように思われた。
ただ、出力を上げすぎるとマナ焼けを起こす可能性があるので、適度なさじ加減は慣れが必要な気がする。
きっと、水でダメージを与えられるのは難しいと思うので、動物が怯みそうな火の属性を中心に使うことにしよう。これで心の準備は万端……なはずだ。
不安が拭えないまま待機していると、穴の奥で何かが光ったように見えた。
それがエルネスによるものだと気づいて、慌てて臨戦態勢に入った。
穴の反対側から伸びる光を背にして、穴から何かが出てこようとしていた。
それを迎え撃つべく、マナに意識を向けて魔術の発動体制に入った。
「――おっ、おおっ!?」
勢いよく数匹の動物が飛び出てきた。
こいつらがミノルウサギか。
「……ウサギにしては何だか大きすぎないか」
そもそも地面に空いた穴が不自然に大きい気はしていた。
小動物のねぐらにしては直径が広すぎた。
ウサギたちの大きさは50センチ以上あり、暗めの茶色い体毛が生えている。
俺と同じように唐突な遭遇に彼らも驚いているようだ。
すぐに逃げ出さずに、戸惑うような瞳を向けてきた。
「えっと、どうしたらいいんだ……」
ウサギたちを足止めしようにも無害に見えてしまう。
本当に魔術で攻撃してもいいのだろうか。
俺がウサギたちを見極めきれないように、彼らも同じように見えた。
落ち着いて観察してみると、大型のものに紛れて小さい個体が紛れている。
子どものウサギに見えるものの、狙い撃ちすれば母性本能を刺激して猛反撃を食らいそうな気もする。
これだけ大きいサイズに噛まれたりしたら、シャレにならないだろう。
「と、とにかく、一匹だけでも……」
迷いを振りきりながら、火の魔術を発動させる。
あの大きさのウサギにダメージを与えるには、指先程度の炎ではどうにもならない。かといってやりすぎはマナ焼けにつながる。
悩んだ末に10センチほどの火の玉を作り、一番近い距離のウサギに直撃させることにした。――その距離10数メートル。
「……悪いな、頼むから恨むなよ」
意を決して右手をかざしながら火の玉を発現させる。
そして、狙いを定めて発射した。
「よ、よしっ、当たったか!?」
ギリギリで回避されてしまい、着弾した場所でぶすぶすと煙が上がるだけだった。
見た目以上にすばしっこいようで、上手く狙わないとかわされてしまうらしい。
初手で攻撃の意思を察知されて、ウサギたちは散り散りに逃げようとしていた。
連続で魔術を発動しようとしたが、無闇に消耗するのはリスクが高いと感じる。
――と諦めかけたところで、どこからともなく複数の火球が飛んできた。
次の瞬間、それらはウサギたちの周囲で爆ぜるように燃え上がった。
「間に合ってよかったです」
気がつくと少し離れたところにエルネスが立っていた。
助っ人の存在に気を取られていると、彼はウサギの方を指さした。
爆煙の様子が静かになった頃、ウサギたちはその場で横になるような姿勢で倒れていた。
俺には何が起きたのか分からなかった。
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