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5歳
俺が死んだ日
しおりを挟むほんの少しだけ痛い描写が入ります。
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兄様!
「月都兄様!」
この小さな部屋に俺の声が響く。
……ってあれ?月都?…誰だっけ…?
あぁ。夢か
寝ぼけて夢の中の人物を叫んでしまったらしい。にしてもリアルな夢だったな……
「ふぁあ」
ねみ
てか俺まだ制服じゃん
学校から帰ってきて寝ちゃったんだ
…着替えよ
着替えも終わり部屋のドアを開けて1階へと降り、リビングへ向かう。
「あら、明。今呼びに行こうとしてた所よ。もう夕飯だから手洗ってらっしゃい」
あきら?明……?あぁ。俺だ。
自分の名前を忘れるなんてどうかしてる。俺の名前は緒方 明だ。そうだよ。うん。
……まだ寝ぼけてんのかな……
あれ?
「今日母さん早いね。仕事は?」
今は夕方の18時30分、仕事のある日なら20時なんてざらでそういう日は兄と交代でご飯を作る。
そのため平日のこんな時間にエプロンを着て台所へ立っている母を見て驚いた。
「今日やっと納品出来たのよ……怒涛だったわ……」
グラフィックデザイナーとして広告代理店で働いている母は、いつも忙しそうだけど凄く楽しそうにしている。
本当は子供が出来たら辞めようと考えてたらしいが、思ったよりも手のかからない子供達でそのままずっと仕事を続けていると言っていた。
「そうなんだ、おつかれさまー」
「父さんは?母さんと一緒に帰ってないの?」
父も母と同じ会社で働いているので一緒なのかと思った。
「あぁ。父さんは部下のミスを尻拭い中よ…ずっとニコニコしてるから部下に頼られちゃって大変なのよ」
うん。確かに。一年中と言っても過言ではないほどニコニコしている父はものすごく優しい。俺もそんな父が大好きだ。
「おい明」
後ろから憎たらしい声が聞こえる。
「はぁ……何幸兄」
「コンビニでコーラ買ってこい」
「あ、僕もチョコアイスー!」
和兄もかよ!
…この2人の兄は無駄に顔が良いのが腹が立つ。
長男の緒方 幸 は素晴っらしく外面の良いイケメンだ。
4歳上の20歳で国立の大学に通っている。
真っ黒な髪に三白眼で目尻がきりっと上がっていて少し威圧感がある目は、普段はニコニコしているため分かりにくい。
俺をパシリにする主犯なわけで本当に嫌い……とまではいかないがとてもムカつくのだ。
そして隣であわよくば自分もと乗りかかってくるのが次男の緒方 和。俺の3歳上19歳だ。
こっちの兄も顔が整っているわけでそれを活かしてモデルなんかをしちゃってる。
アッシュオリーブに染めた髪にパッチリした大きな瞳、お人形さんみたいな顔をしていて結構人気があるらしい。
でも俺は違う。
「やだよ、自分達で買いに行けば」
「却下」
と言いながらお金を渡してきてさっさと行けと目が行っている。
「あ、明。ごめん醤油切れちゃってたんだついでに醤油もいいかしら?」
母さんもかよ!!
おつりでお菓子かなんか買っていいからとお札を1枚渡された。
……子供じゃないんだし…
はぁ
「分かった行ってくるよ。和兄、金!」
そう言うと嬉しそうにお金を持ってきて俺に差し出した。
いってきまーす
ほんと人使い荒いんだから、そろそろ自分でコンビニくらい行って欲しいよ。
家から近いんだし。
文句を散々頭の中で吐き出しながら歩いていると、目の前の酔っぱらったおじさんが目に入る。
うわ、こんな時間から酒かよ。
めっちゃフラフラしてるし……大丈夫かな………いや、あんま酔っぱらいと関わらない方が………………ああもう!!!
「大丈夫ですか?」
酔っぱらいに近づいて少し大きな声で喋る。
その途端フラッとしたので腕を貸そうと右手を前に出した瞬間ものすごい力で胸を押されて電柱にぶつかった。
ガンッ!!!!!
いたいっ……!
やばい
いたい
やばい
頭がかち割れそうなほど痛い!!!!!!
だめだ意識が朦朧としてきた。
立てる力もなく地面に座り込んで横へ倒れた。
熱い……
おれ……死ぬのかな?
ーーーーーーーーーー
ゆう
聞き慣れた声に気づいて目を開けると兄達4人が俺の顔を覗いていた。
……?あれ?じゃあさっきのは夢?
いや、違う。
あれは明が死んだ日の記憶だ。
俺あんなに呆気ない死に方だったのかよ……酔っぱらいを助けようとして死ぬとかどんなだよ……。
なんか悲しくなってきた……
「ゆう?……よかったあ……」
泣きそうな目をして俺の頭を撫でる直哉兄様。
「あ、にぃ……げほっ、げほっ」
喉が痛くて喋れない。
「ゆう!大丈夫?!喉が痛いのかい?すぐにお水とお薬を用意するからね!」
「兄様落ち着いてください。今お医者様が来てくれますわ」
「優…大丈夫か?」
心配そうに眉を下げる寿人兄様はなんだが可愛い。
コクっと頷くと嬉しそうな顔をしてくれた。
「さて優?本当に心配したんだよ?どうしてあんな所に居たのかな?」
月都兄様……
ニコッと笑っているが目が全く笑っていない。
……おれ2回死ぬのかな?
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