攻略なんてしませんから!

梛桜

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二人のヒロイン

試験の前のあれこれ

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 ラズーラ殿下を護衛無く一人にするわけにはいかないので、私達が離れたのはラズーラ殿下の姿を視界で捉えられる場所です。丁度席が空いていたので三人で座る事にして、新しいお茶とお菓子をセットしました。相変わらず瞳をキラキラさせて、お菓子を食べていいか視線で聞いてくるアズラが可愛いです。たんとお食べ。
 ハウライトとオブシディアンは私の足元で眠っています、まん丸猫団子可愛い。色合いが白と黒なので勾玉みたいな形で寝ています。スクショ!スクショしたい!!

「何をそわそわしているの?アリア」
「…あ、いえ、お菓子を食べて貰えたのかと」

(ルチルレイも気になるけど、二匹に悶えてましたとは言い難い)

「闇の守護聖獣様は遠慮無く食べているだろうけど、ルチルレイ嬢が気になる?」
「ええ、まぁ」
「リィ殿下も一緒だし、ラズ殿下は身分柄女性の扱いは慣れているから大丈夫だよ」
「そうですけど…」

 本当なら、ルチルレイの守護は光の守護聖獣として青年に成長しているハウライトなのだからとは言えません。ハウライトが守護していれば、ルチルレイが何もしなくても、光の守護で好感度が上昇していたんだと思うんです。
 何度かルチルレイルートを思い出そうとしているけど、アメーリアルートばかりやっていたから、流れ作業のようにしかやってい無かったルチルレイルートは本当にうろ覚えです。ごめんなさい。

(だって、最初から融通されてる攻略って楽しくないし、アメーリアのほうが好みだったし、なによりもアメーリアの方がアズライト様が沢山出てくるし)

「そういえば、こっちもあと一人考えないといけないね。ラズ殿下のことだからきっとマウシットを引き込みそうだし、知り合いの貴族科の生徒に頼むか、魔法特進科の生徒にでも…」
「今のままでも私は十分なのですけど」
「去年までならそれでも大丈夫だったんだけどね、流石に組数が多すぎて試験が大変になってしまったんだよ」
「確かに…、人数自由ですと一人で参加も可能ですものね!アイクお兄様、私指揮官をやってみたいですわ」
「そうだね、ラズ殿下の裏をかけていいかもね。私は去年で知られているし」

(ヒロインが指揮官なんて吃驚でしょうが、私はアイクお兄様とアズラが一緒でのチーム戦は、ゲームでも何度もやってるので必勝法は完璧です。ハウライトとオブシディアンの光魔法と闇魔法をしっかりと頭に入れて、戦略を組めば…ってそうじゃない!今はルチルレイだって!)

 言い訳を頭の中でグダグダ考えているけど、隣で美味しそうにカップケーキを食べているアズラを見ていると、和みますわ。流石私の癒し様。嬉しそうに揺れる尻尾も、ついつい『うにゃうにゃ』言いながら食べてしまうのも、可愛いとしかいえません。

「アリア、美味しいね!」
「私も分も差し上げますわ、沢山食べて下さいね」
「ほんと!?」
「アメーリア姉様のお菓子なら、僕も頂きたいです」
「ずるいですアズラ、私もアリアお姉様のお菓子は昔から大好きですよ」

 私の分のお菓子をアズラに上げようとしたら、聞き覚えのある声が耳に届いた。顔を上げると穏やかな微笑みを口元に浮かべたマーカサイト様と、私のもう一人の癒しでもあるセレナローズが目の前に!セレナローズはアズラの従兄妹でもあり、雪豹の獣人なんです。ふわふわ真っ白の毛並みに大きな尻尾が特徴の可愛いもふもふさんですが、人型でも美少女なんです。
 腰まである長い髪は今はポニーテールにしてますが、先端に行くほどに白くなり、薄い空色の綺麗な瞳が涼やかでとても綺麗です。白い肌に映える赤い唇もセレナローズの名前にぴったりです。

(小さい頃から美少女でしたけど、今ではかなり綺麗に育って嬉しい限りです)

 だけど、セレナローズもマーカサイト様もにっこりと微笑みを浮かべているのに、何故かアズラが反論できない空気は何なんでしょう?お菓子の追加を貰えると思っていたアズラの耳がしゅんとしてますし、尻尾が何処か警戒しています。二人は私を挟んで左右に座るようなので、お菓子と温かいお茶を用意しました。

「ああ、丁度いい。マーカサイト、騎士科との合同試験に名前貸してくれないかな?」
「ええ、アイドクレーズ兄様からのお申し出でしたら、喜んでお引き受けいたします」
「ありがとう、ラズ殿下より先にだしておかないと、騒ぎになってしまうからね。実はもう出してしまったんだ」
「え?アイクお兄様いつのまに!?」
「ふふ、内緒」

(風魔法でも使って届けを出したのかしら…?兎に角組み分け発表が七日後ですし、其れまでは貴族科の令嬢も静か…よね?)

「アメーリア姉様のお菓子はいつも美味しいですね、ラーヴァが羨ましいです」
「いつでも遊びに来ても宜しいのよ?マーカサイト様なら、ラーヴァも喜びますもの」
「はい、だけど、僕は寮に入っていますから」
「ホーランダイト家も学園に通うには少し遠いからね、何か不自由はないかい?」
「今のところは大丈夫です、ありがとうございます。アイドクレーズ兄様」

 いつもの穏やかでほんわりとした笑顔に戻ったマーカサイト様と、嬉しそうに尻尾を揺らめかせ、私のお菓子を美味しいと嬉しそうに食べてくれるセレナローズに挟まれて、私は束の間の癒しの時間を味わいました。(ただし、アズラはそうも行かなかったようですが)


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