攻略なんてしませんから!

梛桜

文字の大きさ
35 / 71
試験開始です。

予選の合間

しおりを挟む


 勝利チームを告げる宣言が、風魔法を使って学園中に流されていく。対戦していたのは魔法特進科の貴族を中心とした、魔術師チームでした。アイクお兄様の氷魔法もそれなりに対策されていたのですが、申し訳ありませんが、作戦参謀・司令塔は私なのです。

「アリアは思った以上に、指揮官向きなのかもね」
「オブシディアンとハウライトの行動を指示出来るのは私だけですからね。言葉は解ってくれますが、オブシディアンは日中は子猫の姿ですから此方に伝わりませんし」
「対戦相手も意外なんだろうね、吃驚してくれるから楽でいいよ」

 アトランティ家の兄妹の絆を、甘く見て貰っては困ります。水と氷魔法の使い手のアイクお兄様、水と風と光と闇の四属性を使う私、子猫の姿だとは言え、守護聖獣のハウライトとオブシディアン。剣術もトップクラスで素早さでは右に出るものは無いアズライト。マーカサイト様には高みの見物を決め込んで貰っていますが、今のところ問題なく連戦連勝です!

「アイク兄様、アメーリア姉様お疲れ様です。アズライト怪我はしてない?」
「ちょっと擦り剥いてるくらいだから大丈夫、舐めてれば治る」
「駄目だよ、回復するから出して」

 試合が終われば見学をしていたマーカサイト様が、アズラの回復にやってきてくれます。前線で戦っているアズラはどうしても怪我をしてしまいますから。ジャスパー様との違いは重量でしょうかねぇ?アズラは素早さを武器にしていますから、防御力が低いのが弱点なのです。

(かと言って、今の段階で補助魔法を使って鉄壁にするのもねぇ…。魔法を読まれるのは困りますし、アズラには悪いですが、もう少しこのままでしょうかね)

 他のチームにも、アトランティ家の苦手属性の魔術を使う魔法使いは勿論居ますし、力ではアズラを上回る騎士科の先輩だって居ます。まぁ問題はチームワークなんですよね。家の柵とかどうでもいい自尊心とかね、その辺考えないと勝てやしませんって。

(騎士科と魔法特進科は、平民と貴族合同の学科だって事、ちゃんと考えて欲しいわよね)

 誰が上級貴族だからとか、誰は平民だから言う事を聞けとか。実技試験を開始する途端に始まる言い争い。二年生が其れをやるのは仕方無いのですが、あぶれた者同士が仕方なくチームを作った場合、まず衝突します。

「魔法特進科の貴族チームは楽だよね、騎士科を動かさないから」
「反対に平民の騎士科チームは、魔術師を補助にしかしないの勿体無いですよね」
「決勝までは、このままアリアに指揮官を頼もうか。いけるよね?アリア」
「勿論ですわ、お任せ下さい」

(元ゲーマーの血が騒ぐ、子供が出来ては廃人レベルまでやってませんけど、同年代からすれば、やり過ぎなくらいゲームしてましたからね。話通じる友人少なくて私涙目だった)


 まぁ、負けるつもりはありません。ハウライトとオブシディアンも一緒に頑張ってくれてますから!


「アリアお姉様!アズラー!」
「セレナ、こっちよ」
「お疲れ様です、上位に入るなんて流石ですわ。来年は是非とも私と組んでくださいませ」
「勿論よ、アズラとセレナが一緒なら敵無しね」

 試験会場になっている魔法実技室から出ると、満面の笑みで出迎えてくれたのは獣人の美少女セレナです。手加減して飛び込んでくるのを抱き締めるのが、この試験での一番の癒しですわ。獣化している姿ならなおいいのですが、あまり頻繁に獣化してはいけないとコルネル辺境伯から言いつけられてしまったそうです。残念ですわ…。

「それにしても、ハウライト様の補助魔法の強さは本当驚きです」
「そうだね、オブシディアンの闇魔法を未だに使わないでいられるから、心強いよ」
「にゃあにゃーん」
「うにゃーん」

 鳴き声だけ聞いていると可愛いですが、ハウライトはドヤ顔してますからね?しかも、意味解ってないのアイクお兄様とマーカサイト様だけで、私とアズラとセレナは解ってますからね?
『当然です、私はアリアの守護聖獣ですから』
『僕も、アズラより強い』
 こっそりと項垂れているアズラの頭をポンポンと撫でると、パッと嬉しそうな顔をするのが可愛いです。獣化したら遠慮なくモフるのですが、この前の救護室での事を思い出すと、迂闊にモフモフ出来ないんです。細められたエメラルドグリーンの瞳の色気が、半端なかっ…。

(駄目駄目!まって、思い出さないで!)

「次はルチル達のチームの応援をしましょうか」
「ラズ殿下に見つからない様に、こっそりね?」
「え?応援駄目なんですか?」
「それは後での、お楽しみにしょうか」

 口元に人差し指を添えて『内緒』ってやるアイクお兄様、今でもくっそ可愛い!!なんだうちの男性陣こんなに可愛いとか悶え死ぬわ!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

処理中です...