【完結】かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜

倉橋 玲

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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子

狙われた店主

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 男との謎の一日(男はデートだと言い張っていた)を過ごしてから、早くも三度目の朝を迎えた。少し意外なことに、昨日も一昨日も男が店に顔を見せることはなく、穏やかな日常が戻ってきたようだった。
 いくら他者に興味のない少年でも、あの不思議な男が悪い人間ではないことくらいはなんとなく判っていた。好きだとか愛しているだとかの言葉が本気かどうかは知らないが、恐らく、嫌われている訳ではない。だからと言って心を許せるとかそういう話にはならないが、少なくとも、当初の印象よりはずっとマシだ。勿論、彼が傍にいることで居心地の悪さだとか気持ち悪さを感じる以上、こうして関わらないに越したことはないのだが。
 それでも、僅かなりともあの男に対する好意的な感情があったのだろうか。
 あのとき渡された指輪を、少年はなんとなく身に着けていた。と言っても、指に嵌めるようなことはしていない。なんとなく寝るときはベッドの棚に置いておくとか、外出するときはポケットに忍ばせておくとか、その程度だ。
 その日もそうだった。夕食になりそうな食料がなかったので、店を早めに締めて食材を買いに出たのだが、なんとなく例の指輪をズボンのポケットに入れて出てきたのだ。
 夜の市でお金を使いすぎてしまったため、当分は節約生活である。できる限り出費を抑えようと首都の外れにある商店へと出向いたのだが、近道だからと人通りが少ない道を選んでしまったのがいけなかったのかもしれない。
 買い物を終えた帰り道。食材を抱えていた少年は、突然背後から強く頭を殴られ、あまりの痛みと衝撃に小さな悲鳴を上げて地面に転がった。逃げることはおろか、何があったのかを確かめるために振り返る余裕すらない。恐らくは意識を刈り取るためにされたのだろう行為は、少年からそれらの選択肢をことごとく奪って行った。
 喉から漏れた悲鳴と、食材が詰まった紙袋が地面に落ちる音と、自分が無様に倒れ込む音。それをどこか他人事のように聞きながら、薄れゆく意識の中、少年がふと思い出したのは何故か、あのとき一瞬だけ見ることができた赤銅色の長い髪と、ポケットに入ったままの指輪のことだった。
(あたま、いたい、な……)
 そういえば、今も持っている指輪のことを、お守りのようなものだとあの男は言っていたが、果たしてそれは真実だったのだろうか。
 そこで、少年の意識は完全に途切れた。
 




 声が聞こえる。
 ああ、この怒声はあの人のだ。だって『僕』に言葉をかける存在なんて、あの人くらいしかいない。それがたとえ怒りに染まったものだとしても、そこにいると認められていることは、嬉しかった。ないものとして扱われるよりは、ずっとマシだった。『僕』の世界は小さく、自分とあの人だけしかいなかったから。
 ああ、でも。
 その願いが大それたものだとしても。
 罵声でも怒声でも悲鳴でも狂気でもなく、愛されてみたかったのだ。
 他でもない、世界の全てである、母親に。
「――ぉ、かぁ……」
 呟きかけたところで、はたと気づく。違う。だって、もうおかあさんはいない。何処にもいなくなってしまったのだ。だって、そう。おかあさんはあのとき、ぼくが、この手で、
 
 
 
 ばしゃん、と頭から冷水を掛けられた感覚に、ふと瞼を押し上げる。うっすら開けた視界に、投げ出された自身の脚と石造りの床が見えた。震えがくるほどに酷い寒さは、底冷えのする部屋で冷水をぶちまけられたせいだろう。だが、寝起きのぼんやりとした頭は、寒さのせいで急激に冴えていった。
 そうだ。あのとき帰り道で頭を殴られて意識を失って、気づいたらここに繋がれていたのだ。
 窓ひとつない石牢のような部屋。そこに囚われてから、どれほどの時間が経っただろうか。手脚に嵌まっている金属製の枷は重く、身じろぐ度に鎖が擦れる音がして不快だ。確かさっきまで散々殴打されていたから、そのせいで一時的に意識が飛んでいたのだろう。
 ようやく自分の身に何が起こったのかを思い出した少年に、声が掛かる。
「おう、起きたか坊や」
 良くない声だ。
 声の方へと視線を上げれば、気絶する前に居た男とは別の男が、にっこりと微笑んでいた。一見優しげにも見える表情と声音で、おかえり、と言われたが、少年には判った。表面的に取り繕おうが、これは気絶する前の男よりも危険な相手だ。自身に向けられる悪意に嫌というほど慣れ親しんできた少年にとって、それを察知するのは容易なことであった。
 対面している相手の薄灰の瞳に張り付く嗜虐の色に、少年はとことん嫌な気分になった。こういう手合いはタチが悪いと、経験上知っているのだ。つまり、先程よりも状況は悪化しているということである。
 しかし、何故こんなことになってしまったのだろう。不幸というものは常に理不尽で、時間も場所も理由も選ばず急に降りかかる事象であるとはいえ、今回のことは身に覚えがなさ過ぎる。
 あのとき貰った服なんてタンスの奥底にしまったっきりだから、裕福そうな見た目はしていないし、寧ろどちらかといえばみすぼらしい方だ。唯一、安心感が気に入って着けている蝶の眼帯だけは分不相応に高級なものではあるのだろうけれど、ぱっと見て目立つものではない。誘拐するだけの価値なんてないのに、どうしてよりにもよって自分を狙ったのだろうか。相手がよほど間抜けだったか、なんでも良いから痛めつける相手が欲しかったのか。
 この部屋に連れてこられてすぐはそんなことを考えたものだが、暴力の合間合間に寄越される問い掛けは、明確な目的を以て少年を捕らえたのだということを嫌というほどに教えてくれた。
「ん? ちゃんと起きてるか? おーい」
 内側に向いていた意識を外へ向ければ、灰色の瞳が思っていたよりも近くにあって、思わずのけ反りそうになる。すんでのところで堪えたのは、今まで培ってきた危機に対する判断力のおかげだろう。こういう手合いは、反応すればする程に喜ぶのだ。
 だから少年は、ただ視線を向けるだけに留めた。見ず知らずの他人にパーソナルスペースを侵されるのは酷く気分が悪いが、努めて表情を無に取り繕う。笑顔を作る方が慣れているが、ここで下手に笑みを浮かべても相手を煽るだけだ。
「おー、起きてるなぁ。いいぞ坊や、偉い偉い」
 まったくそうは思っていない声音で男は笑っている。なんとなく、次に続く言葉は察しがついた。
「偉いついでに、素直にお口が利けるだろう?」
 ほら、案の定。
 ここに連れて来られてからずっと少年が要求されているのは、ただひとつ。頻繁に店に訪れていた、あの胡散臭い男についてのことだった。
 しかし、話せと言われても困ってしまう。少年があの男について知っていることなど、名前と、得体が知れないということと、頭が少しイかれているらしいということくらいだ。そもそも顔すら判然としないような男だから、ロストという名も本当かどうか怪しい。
 とにかくこんな有様なので、いくら問い詰められたところで、よく知らないとしか答えようがない。
 ところがどうしてか、少年を連れ去った連中は、少年と男がそれなりに深い仲であると勘違いをしているようなのだ。いや、確かに睦言のようなことを言われはしたが、少年がそれに応えた覚えはないし、断じて深い仲などではない。寧ろ、客でもない彼との仲は、足湯のように浅いと思っている。そんなこんなで、隠し立てをするなと暴力を振るわれたところで、本当に何も答えることができないのだ。
 よって少年は、困った顔を作って、もう何度も返した言葉をまた繰り返すことになる。
「そう言われても、あの人のことはよく知らないんです」
 表情を作らずとも実際かなり困っているのだが、気を遣わないと内心の飽きが表に出てしまいそうだったのだ。それくらいには、もうずっと同じ台詞ばかりを吐いていた。
 対する男も同じようなもので、代り映えのしない返答に笑みを深める。その表情に、少年は反射的に身構え、歯をしっかりと食い締めた。
 次の瞬間、鈍い音とともに左の頬を打った強い衝撃に、少年は飛ばされるようにして床に倒れ込んだ。
 もう何度も殴られているせいで頬は既に熱を持っていたが、そこにまた、じんじんとした痛みが上乗せされる。そのことに顔を顰めながらも、口の中を切らずに済んだことには安堵した。肉体の痛みには慣れているのだが、それでも血の味はあまり好きではないのだ。
 内心で少しズレた感想を抱いている少年を見下ろして、男はわざとらしくため息を吐いた。
「なんだってそんなに頑ななのかねぇ。坊やとあの男が仲良しさんなのは、ちゃんと判ってるんだぞ?」
 強情でも誤魔化しているのでもなく、事実として仲良しでもなんでもない間柄だ。だが、それを理解してもらえる気配は一向にない。何ひとつ判ってないじゃないか、と心の内で少年は毒吐いた。
「聞いてるのか?」
 男が少年の長い前髪を無造作に掴み、そのまま引っ張り上げる。無理やり顔を上向かされた少年は、聞いていないのはそっちの方だと思ったものの、口にしたって何も良いことがないのは判っていたので、ただ黙っていた。
「……聞いてます。でも、何度訊かれても僕は知らないから答えられま、」
 言葉尻は、明確な音になる前に咳に変わって掻き消えた。男の硬いつま先が、少年の腹を強く蹴り上げたのだ。腹部への衝撃に逆流してきた胃液で、喉が焼かれる。せり上がってきたそれが口から飛び出そうとするのをすんでのところで堪えられたのは、ただの偶然だった。
 床に蹲って嘔吐き混じりの咳を繰り返す少年を呆れたような顔で見下ろして、男が背後を振り返る。ちかちかする視界の端にそれを捉えた少年は、いつの間にか誰かもう一人、この部屋に人が存在することに初めて気づいた。
「どうしましょうか、デイガーさん。こいつ、見かけによらず中々強情ですけど。いっそ殺して次のを用意した方が良くないですか?」
 あっけらかんとした物言いでふざけたことを言う男を、デイガーと呼ばれた相手が穏やかな口調で諫めた。
 デイガー。その名には聞き覚えがある。
「殺すなんてとんでもない。彼の監視は怠らなかったが、残念なことにこの子以外に密に連絡を取っている相手なんていなかった。つまり、替えがきかないってことさ。だから、全て吐かせるまで殺してはいけないよ。いいね」
 そう言った声にも、聞き覚えがあった。耳に馴染む穏やかな音。ついこの間、あの人に連れていかれた庭園で、これと同じ声を、確かに。そうだ、名は、
 デイガー・エインツ・リーヒェン。
 少し離れた場所で少年を眺めていたのは、不明瞭な男が通っている裏カジノのオーナーだった。
 なんだって裏カジノのオーナーという立場の人間が、あの男に執着しているのだろうか。ぼんやりとそんなことを思う少年だったが、恐らくはデイガーのものだろう足音が近づいて来るのに気がついて、のろのろと顔を上げた。そうして視界に映った人間に、少年は身体を固くした。今までの比ではないくらいに、ぞわりと背筋が泡立ち、鳥肌が立つ。
 良くない、ではない。これは危険だ。
 その判断は正しかった。少年が自らの警戒レベルを最大限に引き上げると同時に脚に焼けるような痛みが走り、彼は細い喉から引き攣った悲鳴を洩らした。殴られるだとか蹴られるだとか、そういう類の暴力ならばここまで声を上げることなどない。それくらいならば慣れているし、悲鳴を上げるほど相手を煽ると知っているからだ。だが、この痛みは違う。
 何が起きたのかきちんと整理しきれていないまま痛みの方に目をやれば、大振りのナイフが腿に深く刺さっていた。柄を握る手の持ち主、デイガーに突き立てられたのだ、と認識しきる前に、肉に埋まったナイフを無遠慮に捻じられ、また悲鳴が上がる。
「太い血管は避けて刺したから、そんなに叫ばなくても大丈夫だよ、君。ほら、きちんと座って、顔を上げなさい」
 幼い子供に言い聞かせるような優しい笑みを浮かべたデイガーが、少年の髪を掴んで身体を起こさせる。そのまま無理矢理床に座らされた反動でナイフが深くを抉り、少年は喉を引き攣らせた。その表情に、先程までは窺えていた冷静さはもうない。少年は今、己が紛れもなく被食者であることを認識したのだ。
 一方のデイガーは、打って変わって怯え切った目をしている彼に満足したのか、柔い笑みを深めた。
「うん。自分の置かれた立場というものがようやくきちんと理解できたようだね。いいこいいこ」
 ナイフから離れた手に頭を撫でられ、少年の青褪めた顔はより一層色を失い、寒さから来るものではない震えがその身体を支配した。
「さて、落ち着いたところで、もう一度訊こうか。あの男は何者で、その目的な何なのか。教えてくれないかな?」
 歯の根も噛み合わない様子の少年に、デイガーがにこやかに問い掛けた。それはやはりこれまでと同じ内容であったが、頭の中が痛みと混乱でいっぱいになっている少年が、今まで以上の答えを返せるはずもない。いや、そもそも相手が望む答えなど端から持っていないのだ。冷静であろうとなかろうと、答えられないことに変わりはなかった。
 最早否定の言葉すらも返せない少年に、デイガーは困ったように眉尻を下げて溜息をついた。
「うーん、そんなに難しいことを言ってるかな? ただ少しあの男について知りたいだけなんだけれど」
 そう言いながら伸びた手が、少年の腿に刺さるナイフに伸びる。そして彼は、握ったそれをぐりぐりと左右に揺らし始めた。傷口を押し拡げるように肉と神経が掻き混ぜられる痛みに、悲鳴を上げた少年の身体がびくびくと痙攣する。
「ほらほら。素直に教えてくれないから、こうして痛い思いをするんだよ。まったく、こんなことをされてまで隠しておきたいくらい彼が大切なのかい?」
 脂汗の滲む頬を軽い力で叩かれ、少年はのろのろと首を横に振った。大切だから隠してるんじゃない。何も知らないだけなのに。
 そう思ったところで、追及の手は緩まない。何度も何度も同じところを抉られては、その度に全く同じ質問をされる。潰えかける気力を総動員し、かろうじて首を振って意思を示したところで、また同じことが繰り返されるばかりだった。
 終わりの見えない繰り返しは少年の身体と精神と疲弊させたが、それは相手も同様だったのだろう。温和な笑みに少しだけ苛立ちを滲ませたデイガーは、後ろに控えていた男に水桶を持ってくるようにと指示を出した。すぐさま用意されたそれを少年のすぐ目の前に床に置いてから、にっこりと微笑む。
「あの男の正体と目的を、教えておくれ」
 知らない。
 本当に、何も知らないのだ。
 痛みに段々と朦朧とする頭を叱咤して、のろりのろりと首を横に振った瞬間、後頭部を掴まれる。そのまま勢いよく顔面を水桶に突っ込まれ、少年はごぼごぼと息を漏らして水を飲んでしまうが、頭を押さえる力は一向に緩む気配がない。あまりの苦しさに痛みも忘れてもがいてもがいて、それでも呼吸することが叶わず意識を手放しかけたとき、強い力で顔を上げさせられた。
「っ、げほっ、ごほっ、」
「おやおや、大丈夫かい?」
 水を吐きながらひゅーひゅーと呼吸する少年の頭を、デイガーが撫でる。
「とても苦しかったね。可哀相に。でも、君が良い子に話せばこんなことにはならなかったんだよ」
 乱れた呼吸を整えようと努めながら顔を上げれば、にっこりと微笑むデイガーと目が合った。
「それで? あの男のことを教える気にはなったかい?」
「……ぼ、く、……なにも……しらな、」
 否定の言葉をそれ以上を紡ぐことは、許されなかった。再び水面に顔を叩きつけられて、意識が飛びかけるまで酸素を絞り取られる。それが終わったと思ったら問い掛けが投げられ、あとはもうただの繰り返しだ。疲弊しきって気絶しようものなら、腿の傷口をぐちぐちと掻き混ぜられて覚醒を促され、そしてまた酸素を奪われる。
 一体どれだけの間、そうされていたのだろうか。時間の感覚なんてとっくになくなっていて、少年はもうずっと何日もここにいるような気すらしていた。
 いよいよ虚ろになってきた目に、デイガーは忌々しげに息を吐いた。そこで彼は、ふと思いついたように、少年の顔に手を伸ばす。ぼんやりとその指先の行方を追っていた少年は、それが向かう先に己の右目があることに気づいて、反射的にびくりと肩を跳ねさせた。跳ねさせてしまった。
 もう反応を返す気力すらなくなったかのように思えた少年の顕著なそれに、デイガーは一瞬止まった後、にっこりと微笑んだ。
「そんなにここは嫌なのかな?」
 右目を覆い隠す眼帯に指先が触れ、少年は反射的に逃げようと身を捩った。だが、いつの間にか後ろに回っていた別の男に押さえこまれてしまう。
(そこは、いやだ)
 少年の顔に浮かぶ明確な恐怖と拒絶を見て取ったのだろうデイガーが、するりするりと眼帯を撫でる。
「そういえば君、ずっと眼帯をしているけれど、こちらの目はどうなっているんだい? もしかして、お顔を隠さなくてはいけないような酷い傷でもあるのかな? ……片目だけそんな状態だなんて、可哀相に。とても可哀相だから、」
 デイガーの指が眼帯のベルトにかかり、少年が息を飲む。
「左目も、同じようにしてあげようか?」
 ベルトにかかる指に力が籠もるのを感じて、少年は目を大きく見開いた。
 まって、とうまく回らない舌が言う。
「ま、まって、いやだ、やだ、いやだ、やだ、そこは、そこはいやださわらないで、やだ、やだ、やだやだやだやだやだ……!!」
 気力を振り絞るように大きくなる懇願の声に、しかしデイガーはただ微笑みを返すだけで。
 パチンとベルトが外れる音がどこか遠くで聞こえた気がして、そしてとうとう、少年の右の瞳は光に晒されてしまう。
 それは少年にとって忌まわしい瞳だ。この世の何よりも汚くておぞましい、化け物の瞳だ。だっておかあさんはこの目が嫌いだと言った。お前なんて産まれてこなければ良かったと言った。そうだ。全部この目が、違う、全部、
 全部、ぼくが悪いんだ。
 石造りの冷たい部屋に、引き絞った弓のように張り詰めた悲痛な叫びが響き渡った。
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