Ωの愛なんて幻だ

相音仔

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番外編

君が生まれた日

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「エクレ、君の誕生日なんだが、何か希望はあるかい?」
 いつもの夕食の後に、リュミエールがそわそわと尋ねてきた。
「誕生日? あぁーそう言えば、そろそろ一年になるのか」
 彼と番になり、婚約してからもう半年以上が経った。
 ここパディーラで生きる事になってから、俺の誕生日はリュミエールと出会った日にしたのだが、その日がまもなくやってくる。
「希望って言われてもなぁ……普通は、何かするものなの?」
 特に思い当たることもなく、そう聞き返すと、リュミエールは信じられないものを見るような目で俺をみた。
「何も希望は無いのかい?  もしかして、サプライズの方が良かったかな? 私は君の誕生日を初めて祝う事になるから、出来たら希望を聞いて最大限それに沿いたかったんだが……」
「いや、そんな事初めて聞かれたから。誕生日って祝うもんなんだね」
 焦ったように言ってくる彼に、のんびりとそう返事をする。
「えっ。これまでは祝ったりしなかったか?」
「うん。一度も無い」
「一度も⁉ モーヴェでは、生まれた日を祝う習慣は無いのかい?」
 リュミエールは愕然とした表情でそう聞いてくる。
「どーなんだろ。裕福な家庭では祝うのかな? あーでも、学生の時、同級生がそういう話してたような気も……」
 学生時代は、それなりに話す同級生はいたが、特別仲の良い友人がいたわけじゃない。友人間で祝うようなことも無かった。
 でも、普通の一般家庭ならご馳走くらいは食べるのだろうか。
「誕生日パーティーもしない? ご飯を食べに出かけたり、合わせて旅行したり、色々あるだろう。本当に一度も無いのか……」
「う、うん。普通の日だね」
 あえて言うほどの事でもないが、あの父親からおめでとうなんて言われた記憶は一度もなかった。
「普通の日じゃないよ! 君がこの世に生まれた大事な日だ。パディーラでは、誕生日は盛大に祝うんだよ」
 リュミエールは勢いよくそういうと、頭を抱えてしまった。
「そう、なんだ。文化の違いかなぁ」
 もうすぐ一年がくるけれど、未だに時々戸惑う事がある。
「それじゃ、まさか成人のお祝いも何もなかったんじゃ……」
 考え込んでいたリュミエールは、はっと思いついたようにそう言った。
「モーヴェの成人は18歳だね。うーん、特定の日に式典みたいなのがあって、その年の成人者を祝うのが一般的だったけど、俺は行ってないかな……」
 なんならその日も普通に仕事をしていた気がするが、これを言うとただでさえ衝撃を受けている様子のリュミエールに追い打ちをかけるようで、黙っておいた。
「パディーラでは、全体の儀式のようなものはないけれど、16歳の誕生日はそれは盛大に祝うんだ。私もいまだに思い出すくらいには、記憶に残っているよ」
 子どもを大切にするこの国で、生まれた日を祝う文化が根付いているのは、自然な事のようにも思える。
 成人後は毎年パーティーを開くかは個人の好みによるそうだが、それでも特別な日であることには変わりないらしい。
「エクレは今年で20歳になるので、間違ってないよね」
「うん、そうだよ次の誕生日で20歳」
 リュミエールと番届を出した日に19歳で登録したから、誕生日がくれば20歳になる。
「……分かった。20年分のお祝いをする」
 強い決意をするように、リュミエールが重々しくそう言った。
「え、良いよ。そんなに気負わなくても……。普通にお祝いしてくれたら」
「私の気がすまないんだよ。これから色々聞くかもしれないが、直感で選んでほしい。必ず、君の記憶に残る日にしてみせる」
「わ、分かった。無理はしないでよ」
 力強くそう言われて断ることが出来なかった。




 まだ三週間も先だったのに、リュミエールは時間が無い、もっと早くに聞くべきだったと、言いながら何やら色々連絡を取り始めた。
 てっきり家で祝ってくれるものと思っていたら、わざわざ外に貸し切りの会場を予約したそうだ。
 ルナールさんをはじめとした親族も呼んでいいか? と言われてしまった。断る理由も特にないから承諾したけれど、なんだか本当にパーティみたいだなぁと思った。もし俺に呼びたい友人とかがいたら、呼んだりするのだろう。


 
 当日、リュミエールは、朝からとても張り切っていた。起きてリビングへ降りると、テーブルの上が華やかに飾られていて、彼やその家族からの贈り物であふれていた。
 俺の行きつけの植物園に頼んで、フラワーアレンジメントを頼んだらしい。やっぱりあそこの店員はセンスが良いと思う。
 せっかくの贈り物だ。後々、ドライフラワーにも出来るだろう。また今度聞きに行こう。
 予約している店は、ガーデンレストランらしい。天候によっては、室内でも食べられるけれど、幸い今日はとても良い天気だった。
 食事の時間よりは、はやめにつくように向かった。敷地内の花々を見るのは楽しかった。とても美しく手入れされている。家の庭を手入れし始めて、そろそろ一年。もっと沢山植えたいなぁと思った。
 食事は立食形式だった。祝いの席となると、料理の量もそこそこ多い。少な目でとお願いしていても、店がこのくらいならと考える量を、俺はたぶん食べきれない。以前、ルナールさんに自分の子どもより食べないと言われたくらいだ。
 この形式なら、好きなものを必要なだけ取れるし、気楽で良い。
「お誕生日おめでとう、エクレさん」
「スティークさんとショーンさん、わざわざありがとうございます」
「かわいい息子の誕生日ですもの」
 リュミエールのご両親は、すっかり俺を実の息子のように可愛がってくれていた。今回も喜んできてくれたし、贈り物まで貰っている。
「成人のお祝いが出来ていなかったんですって? 代わりにはならないかもしれないけれど、リュミエールがとても張り切っていたわ」 
「俺にとっては普通の日なので、こんなにおめでとうって言われて、祝われるのは、不思議な気分です」
「おめでたい事なのよ。生まれてきてくれて、この世界に来てくれてありがとう。リュミエールと出会ってくれてありがとうね」
 ショーンさんはそう言うと、優しく俺を抱きしめてくれた。
「はい。俺もありがとうございます」
 その気持ちが嬉しくて、自然と俺もそう返事をしていた。

「エクレちゃん、やっぱりそのお洋服よく似合ってる」
 エルフィさんがニコニコしながら、そう声をかけてくれた。今日、俺が着ているのは彼女が働いているアパレルブランドのものだ。
 ユニセックスで、俺に合うサイズも多く、シンプルなデザインが気に入っている。
 この服は事前に、エルフィさんから贈ってもらったものだ。
「ここの刺繍が気に入ってます。サイズもぴったりで……ズボンたぶんわざわざ合わせてくれてますよね?」
「リュミエールからサイズは聞いてるからね。ぴったりみたいで良かったわ」
 成人Ωの最小サイズでも、男性用だと調整しないと合わない事の方が多い。女性用でさがせば合うものも多いけれど、デザインがなぁと思うこともある。
 エルフィさんのブランドのデザインは好きだから、新作が出るたびに、こまめにチェックしていた。
 
「ルナールさん、教えて欲しいんですけど」
「ん? どうしたの?」
「リュミエールの誕生日っていつなんですか? こんなに祝うのが普通なら、俺わるいことしちゃったなぁって」
 パーティーの途中でこっそりルナールさんに尋ねた。ちょっとリュミエールに聞きにくい事を教えてもらうのは、いつもだいたい彼だ。
「いやー、流石にこれは普通じゃないけどね。成人のお祝い並みだよ。僕の家はまだ子どもも小さいし、家でわいわい祝う感じかな」
 なるほど、毎年この規模で祝うわけじゃないらしい。
「なるほど、俺も家で祝うくらいなら出来そうです」
「リュミエールが誕生日は、今日から丁度一か月後だよ。去年はエクレに会って、バタバタしてる時期だったから、僕は贈り物だけにしたかな」
 その時期ならやっと言葉を覚えはじめた頃だし、一緒に住み始めて間もない。教えて貰っても何もできなかっただろう。
「去年祝えなかったの残念に思ってる? 気にしないでいいよ、あの子、女神様がエクレを贈ってくれたって、浮かれまくってたから」
 そう言われると、すこし恥ずかしいが、彼が喜んでいたと聞けるのは嬉しい。
「リュミエールみたいに盛大には、ちょっと難しいですが。今年は頑張ってみます」
 パーティを主催したいなんて、はじめての経験だ。でも、わくわくしている自分もいた。 
「大人になってからは、家まで祝いに行く頻度どうしても落ちちゃうんだけど、エクレが色々頑張るなら、僕も参加してもいい?」
「もちろんです。色々ご相談させてください」
 リュミエールは俺がすることは、ほとんど肯定するから、その中から本当に彼が喜びそうな事を探すのは、なかなかに難しい。
 ルナールさんに若い時の好みとか、実はして欲しいと思っていた事とかをこっそり聞くのは大事な情報源だ。

「エクレ、何処にいるの?」
「はーい! あれ、珍しい。リュミエールお酒飲んでる?」
 呼ばれて近くにいくと、彼から僅かにお酒の匂いがした。
「あ、わりぃ。俺が飲ませちまった。しっかしこいつ飲むといつにもまして……。エクレと住むようになってから、飲みにも行ってなかったから知らなかったぜ」
 オーベルさんが、少し疲れたように、そう呟いた。リュミエールはたまに家で晩酌をしているけれど、変な酔い方はしないはずだ。
「エクレ、料理は満足した? デザートまだあるよ」
「うん、いっぱい食べたよ」
「なら、良かった。私は君の料理が一番好きだけどね」
 リュミエールはそう言って、俺を引き寄せると、頬に軽くキスをした。
「え、うん。ありがとう」
「……かわいいなぁ。なんで、こんなに可愛いんだろう。オーベルもそう思うだろう?」
「あーはいはい。エクレは可愛いよ」
「はぁ。女神様も人が悪い。最初からパディーラで生まれてくれてたら、すぐに見つけて、幼い頃から傍で見守ったのになぁ」
「え? えぇ!? これ、リュミエール酔ってます?」
 いつもと様子が違って、思わずオーベルさんにそう尋ねた。
「だから、そう言ったじゃないか。平然としてるから、二人きりならいつもこんな感じなのかと思ってた。さっきらずっとこの調子だよ。俺はもうお腹いっぱいだから、あとはエクレくん、よろしくな」 
 やれやれと言ってオーベルさんはルナールさんの方へと逃げていった。
「リュミエール、お水飲む?」
「ん? くれるの? ありがとう」
 手渡そうとしたグラスごと、手を取られてそのまま飲まれてしまった。そして、そのまま手を引かれて、彼の膝に抱き上げられる。
「ちょ、ちょっと。皆いるからさ、抱っこは良いよ」
「少しくらい許してほしいな。私のかわいいエクレなんだって、見せつけとかないと」
「誰にだよ。周り身内ばっかりじゃないか」
 皆空気をよんでか、ちょっと離れてくれているのが、余計に恥ずかしい。
「エクレ、ありがとう。私の所に来てくれて、本当にありがとう」
 朝からリュミエールには何度もお祝いされたし、こうやって感謝されていた。
「この先もずっと、君の誕生日、お祝いするから」
「分かってるって。……ありがとう」
 この世に生を受けたことを、素直に良かったと思える日が来たのは、貴方のおかげだ。
 少しくらい照れくさくても、この愛を受け止めるべきだろう。
 



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みんなの感想(2件)

ぽんず
2024.02.18 ぽんず

一気読みしました!
続きが気になり過ぎてご飯食べる時もスマホの画面が小さく煩わしくなってiPhoneの読み上げ機能を駆使しながら読破しましたっ
少しずつ愛情に気づいていくエクレの心情の変化に心が暖かくなりましたт‪ ̫ т
素敵なお話をありがとうございました!

解除
るる
2024.01.20 るる

続きが待ちきれず完結まで読んできました!とっても好きなお話でした!不憫からの溺愛最高です!異世界に行ってからは優しい人ばかりで安心しました。素敵なお話ありがとうございます!

2024.01.21 相音仔

読んで下さってありがとうございます。不憫な子が幸せになる話が好きでして、もっと読みたいと思って自家生産しました。お気に召していただいて嬉しいです。

解除

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