スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第33話 とてもよく切れる剣が出来ました #1

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「さて室長、説明してもらえるんですか?」
カルアとピノを送り出してから、ロベリーはモリスにたずね――いや、たずねた。

「そうだね、ロベリー君も結局こうして関わりを持っちゃった訳だし、こうなれば君にも参加してもらった方が良さそうだ。ただし、他言無用で秘密厳守が条件だけど、どうする?」
「もちろん参加しますし秘密は守りますよ。というかですね、室長の秘書をやってる時点で秘密厳守なんて今更でしょう?」
「あっはっは。それもそうだね、了解了解。じゃあロベリー君、ようこそ『チームカルア』へ」

こうしてロベリーをチームに加える事となったモリスは、それから時間を掛けてフィラストダンジョンの新トラップ発見に端を発する一連の騒動、その全てをロベリーに語って聞かせた。
当然その内容はかなり早い段階から『カルアのやらかしについて』が中心となるのだが。

「…………」
その全てを聞き終え、しばし呆然とするロベリー。
「はぁ、室長もですけど、皆さん苦労されたんですねえ。あの最強職員もピノに胃薬を頼む訳だ……」
カフェでのピノの言葉を思い出しながらそんな事を呟いた。

そしてボソッと言葉を続ける。
「それにしてもカルアくん……あんな可愛い顔して『歩き回る地雷原』だったなんて」
「あははは、『歩き回る地雷原』って彼にピッタリの言葉だねえ。彼の二つ名としてギルドの会員情報にこっそり登録しちゃおうか?」

そんなモリスの能天気な言葉にロベリーは警鐘を鳴らす。
「そんな事したら今度はピノの地雷の方を踏み抜いちゃいますよ? それって即死案件ですからね」
「おっと、即死とは穏やかじゃあないな。僕も命は惜しいからね。そういう危険な箇所には触れないでおくとするよ」

それと今の話の中でロベリーにはもうひとつ気になる点が。
「それにしても……そんなカルアくんを学校に、ですか。ずいぶん思い切ったというか無茶なプランだって気もしますけど」
「まあリスクはあるだろうね。ただほら、魔法の基礎や常識、それに一般的な難易度感なんかを肌で感じてくれれば、彼も何かやらかす前に自分から気づいてくれるようになるんじゃないか――ってね。ブラック君の発案だったけど、僕もいい案だと思ってるよ」

モリスの言葉に、それでもやっぱりロベリーは不安を拭いきれない。
「そううまく運んでくれればいいんですけどね。逆に地雷が増えるとか信管が軽くなるとか……、苦労が増える事になるかもしれませんよ?」

「ふむ、その可能性も無いとは言えないね。でもまあ、きっと大丈夫だよ。彼自身が緩やかに成長していく事で、その危険も緩やかに減っていく――っていう無理の無いだからね」
ああ、やっぱり……
「はあぁ……。室長、これまで何回『想定外』って言葉使いました?」
「……あ…………」



大通りを歩く僕とピノさん。
日は西の空へと傾きを増してきて、そろそろ夕方って言ってもいい時間に差し掛かってきたかな。

「さてカルア君、デートの締めくくりと言えばやっぱりディナーですよね。でもここで残念なお知らせをしなくちゃなりません」

残念なお知らせ……?
って何だろう?

「実は王都の門って、日没で閉鎖されちゃうんですよ。なので今日帰るためには、ここでディナーって訳にいかないんですよね」

あれ? でも転移しちゃえば……ああそうか、入退場記録!

「じゃあ仕方ないか。だからってあんまり早く食べたら、後でまたお腹空いちゃいますもんね」
「そうなんです。という事でカルア君、今から市場に行きましょう。王都の市場は凄いですよぉ。何といっても各地の珍しい食材とかヒトツメでは見られない品が色々揃っていますからね。ふふふ、今日はいつもと一味違った夕食をお約束しましょう!」
「やったっ! すっごく楽しみです」



「そこのかわいいご夫婦! 是非うちの店に寄ってってくれよ。うちのは全部近くの農園から今日届いたばかりの新鮮野菜だ。何たってうちの提携農園だからね、定番から珍しいところまで何だって用意してるよ。どうだい? 今だったら特別に安くしとくよ?」
「やだもう! まだ夫婦じゃないですよっ。カルア君、ちょっとこのお店見ていきましょうかっ」



「そこのカップルさん、今夜は肉なんてどうだい? 彼氏には精を付けて頑張ってもらわないとね。動物肉から魔物肉まで色々と揃ってるよ。うちは専属のハンターと直接契約してるからね」
「そうね。カルア君は冒険者としてまだまだ頑張らなくっちゃだからね。そうだ、いつも魔物肉だから、たまには動物肉も食べ比べてみましょうか」
「はいっ」

「まいどあり。うちの肉食ってくれればもう今夜か――」
「わざわざ言い直さなくっていいですよ?」
「すっ、すみません……」

最近分かるようになったんだけど、ピノさんの笑顔って時々ヒュッてなる時があるよね。
あ、店主さん少しおまけしてくれたみたいだ。



「あとは昔行きつけだったお店でちょっと珍しい調味料を買うだけ。ふふふ、期待していて下さいカルア君。今日の夕食は暑い国の郷土料理『カレヱライス』に決定しました!」
「おおー! どんな料理かまったく分からないけど、すっごく楽しみです!」
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