スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
165 / 278

第71話 聖女と悪魔と気配察知の訓練です #3

しおりを挟む
ネッガーの動きが少しずつ良くなってきてる気がする。
何て言うか……次にどう動けばいいのかが見えてきたって感じ?
所々でギルマスから出てる指導・指示が適切って事なんだろうなあ。
僕もさっきから視覚強化の訓練をしてるけど……うーん、こっちは先が長そうだよ。
あっ、ネッガーは全部のバットを倒し終えたみたいだ。

「よし、1回目はこれで終了だ。一度ダンジョンを出て2回目に入るぞ」
そして僕達は部屋から出て――あ、その前にボックスから死骸を部屋に出しておかなきゃ。ダンジョン君、片付けよろしくね。

そんな感じでもうあと2回、合計3回やったところで今日の訓練は終了になった。
「ギルマス、最後に下の階で金属バットを1匹狩ってきていいですか?」
「勿論だとも。折角だからネッガー君も見ていくか? あの階段を降りた先に金属バットが出現するのだ」

そして3人で階段を降りた僕達の目の前に、1匹の金属バットが出現した。
気のせいかもしれないけど、ポツンと佇むその表情はどこか寂しげに見える。
だって――この下の階には凄く沢山の金属バットおともだちがいるって事を知ってるから。
まあでも狩るんだけどね。だってあれ晩御飯。

「これが金属バットか。本当に金色なんだな」
そんな新鮮な感想を漏らすネッガー。うん、僕も最初の時にそう思ったっけ。
「もう【スティール】しちゃっていい? 魔法を撃つところを見たければもう少し待つけど」
「魔法か。この魔物はどんな魔法を撃つんだ?」

「金属バットは個体によって属性がバラバラだから、何を撃つかは撃ってみないと分からないよ?」
そんな僕の声にギルマスから思わぬ言葉が。
「ふむ、今回の金属バットは水属性だな」
――えっ、何故?

「分かるんですか?」
「ああ。【気配察知】でおおよその属性は分かるな。相手が隠そうとすると難しいが、この程度の魔物なら気配で見える。アクティブ型ならはっきりと、パッシブ型だと何となくといった感じだが」

それって僕も出来るかな……

「ギルマス、僕もそれ分かるようになりたいです」
「それなら明日からの訓練、ネッガー君が倒している間に【気配察知】に挑戦してみるか? 私もカルア君にただ待ってもらうのは心苦しいと思っていたところだ」
「はい、覚えたいです! ギルマスお願いします!」

そして金属バットはピュルルルルーーっと水を飛ばし、僕らがそれを避けたところでお肉になりました。
そうだ、【ボックス】に入れる前に解体しとこう。もちろん魔法で。
金属バットの解体は見た事あるから、そのイメージで錬成カットを発動!
僕が魔法として自分で使うのなら、ピノさんだってダメって言わないよね?
「……そうか、ピノ君が言っていたのはこれか……はは、はははは」



ギルドに戻った僕達は、そのままギルマスの部屋に来ている。
その目的はもちろん、預かってもらっていた魔石の回収だ。
「そうか、ようやく魔石の使い道が決まったか」
「はい、モリスさん達が立ち上げた工房に卸す事になりました」
「良かった、チーム内で完結するのが一番安全だからな。それでその工房では誰が働くのかな?」
「あれ、そう言えば誰がクリームを作るんだろう? ロベリーさん――はモリスさんのお世話で忙しそうだし……今日これからこの魔石を渡しに行くから、その時に訊いてみますね」

そして僕は【ボックス】に入れるために魔石を魔法の鞄から取り出して――
うわっ、こんなにあるの!? こうして見ると凄い数だよコレ……
一体何個あるんだろう。何万とかかな?

「ふむ、これでようやくスッキリしたな。ああそうだ、もう間もなく新トラップ発見の褒賞金が出るはずだ。その時はまた連絡しよう」
「……そう言えばそんな話もありましたね」
「ほんの数ヵ月前の話なんだが、それからのあまりの激動に何やら随分前の出来事のように感じるな」
「本当ですねえ。あはははは」

そんな僕達の会話に、ネッガーがポツリと一言。
「……褒賞金の金額については全く気にしないんだな」

いやだって……
金属バットの素材の換金とかで、生活に全く困らないくらいのお金がさ……



そして王都へ。
そしていつもと同じようにネッガーはピノさんの転移便で――なんだけど、今日は僕も一緒だ。学校でネッガーと別れ、今度は僕の【転移】でピノさんと二人ベルベルさんのお店にやって来た。お店の前とかじゃなくて、直接奥の部屋に。

「――じゃあこの箱の中に出しとくれ」
そう言ってベルベルさんが出してきたのは結構大きな箱だった。
この大きさなら全部入るかな――と言う事で、ボックスから魔石を全部どーん。
おおっ、ちょうど一杯になった。

「結構溜め込んでたもんだねえ。この半分くらいを想像してたんだけど……。でもこれからの事を考えればむしろこれで良かったよ。何しろあのクリームは間違いなく製造が追い付かないくらいの人気商品になるだろうからね」

この間聞いた通りなら、僕も絶対そうなると思う。

「発売から暫くの間は貴族の間で争奪戦が起きるだろうね。そっちの需要が落ち着くまではひたすら貴族向けの高級品を作り続け、一般向けを作り始めるのはそれが落ち着いてからになるんじゃないかねえ。だから多分すぐに魔石の追加発注があると思うよ」

そっか……でもまあそれは大丈夫かな。

「多分セカンケイブダンジョンに行くまで毎日持って来れると思います。フィラストの魔物部屋で【スティール】しながらの訓練が続くから」
「そうなのかい。でもまあ持って来るのはある程度溜まってからで構わないよ。そうさね、この箱一杯分くらいずつでいいんじゃないか?」
「じゃあそうしますね。あ、でももしその前に必要になったら言って下さいね」

そのつもりで周回すればあっという間に手に入れられるし。

「それと買取金額だが――数なんて数えてられないから重量単位で計算するよ。別に構わないだろう?」
「僕も数は分からないし、それで大丈夫です。その辺りはベルベルさんにお任せします」
「ああ任されたよ。買取金は口座に振り込んどくからね。……さてと、今日はこれでおしまいかい?」
「はい、今日はこのままヒトツメの街に戻ってピノさんとご飯を食べる予定です」

「そうかいそうかい。相変わらず仲の良い事だね。じゃあまあ二人とも気を付けて帰んな。あたしも今日のところはそろそろ店じまいするかねえ」

あっそうだ。

「そう言えばベルベルさん、クリームの工房って誰がクリームを作るんです? 僕の知ってる人とかですか?」
「いや、あんたの知らない娘だと思うよ。ミッチェルの妹で、確か名前はミカって言ってたかねえ。うっかり口説いちまわないように気を付けるんだね」
「もう何言ってるんですかベルベルさん! ……じゃ、おやすみなさい」
「あいよ」
「ナニイッテルンデスカ、ベルベルサン?」
「ヒッ!?」



そしてピノさんと家に戻って。
目で追えないピノさんの料理姿で視覚強化の練習をして――
金属バットのローストをご近所にお裾分けしたら、すっごく喜ばれて――
あっという間に楽しいご飯が終わっちゃって、戸締まりしてピノさんを家に送って……そして王都の部屋に戻ってきた。

それじゃあピノさん、おやすみなさい。
また明日……



ヒトツメギルドにて――
「カルア君の錬成によるあの【解体】……恐らくピノ君以外は知らないだろうな。他のメンバーに共有しておかねば」
見えないところで働く苦労人、ブラックは今日もやはりブラックであった。



▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...