スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第48話 モリスさんにすごく叱られました #3

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ああ、ここからいつものモリスさんの始まりか……

という事で、モリスさんに一通りの事を説明した。
――凝固した後に圧縮したら粉々になった事。
――それを更に圧縮したら今度はものすごくサラサラな粉になった事。
――最後に融解した状態でやってみたら、圧縮に成功した事。

「ふーん、なるほどなるほど。その粉末状の魔石っていうのも、もしかしたら何か便利な新素材として使えるかもねえ。これはまったく別の研究になりそうだ。それとも、『魔石パウダー』なんて化粧品にして売り出してみようか? もちろん臨床実験を重ねて、効果と安全性が確認出来てからだけど。もし『皮膚を伝う自分の魔力でマイナス10歳の美肌に!』なんて効果があったら、奥様方のちょっとした人気商品になったりしてね」

ははは、魔石が化粧品って……

「それにしても【融解】した状態からの【圧縮】か。確かに理にはかなってるかもしれないけど、君も面白い事を考えつくねえ。で、それで成功したのが『これ』って訳だ」
そう言ってモリスさんが手に取って眺めているのが、さっき【圧縮】したキューブ型の魔石。

「確かに見た目より重いねえ。これは同じ大きさの魔石の3個分――いや4個分くらいの重さかな? まあ正確なところは天秤で計ってみれば分かるか。うーん、これってどうなのかな。見た感じは圧縮していない魔石と変わらないようだけど……なら物質的には安定した状態って事なのか? そうなら爆発の恐れは無いのかもしれないけど、ただこれ、魔力の充填とか属性の付与とかが出来るからなあ。それについての安全性も確認する必要があるか……」

そう言って暫く考え込むモリスさん。

「よし分かった。カルア君、この魔石は暫く僕に預けてみないか? ちょっと本部の研究設備とか使って色々試してみようと思うんだ。事によると、これはとんでもない発明かもしれない。そう……例えばだ、今各ギルドにはそれぞれ設備室があって、そこに通信や共有なんかの様々な設備があるってのは君も知ってると思うけど、もしその設備がそのまま手のひらサイズにまで縮小されたらどうなると思う? そんな可能性だって無いとは言えないんだ」

ホントに!? だって大きな部屋が手のひらサイズとか……全然想像出来ないや。

「勿論そこまで行くのは今すぐって訳にはいかないだろう。これから研究を重ねていって少しずつ進歩してやがて――って事になるだろうけど、まあそんな可能性さ。もちろんこの魔石の【圧縮】と魔石パウダーの発見・発明者はカルア君、君だ。その手柄を盗むような真似はしないし、誰にもさせない。世間に発表する時が来れば、当然それは君の名前で登録する。だからさ、これについては僕を信じて僕に任せてくれないか?」

モリスさんを疑うなんてある訳無いよ!
……悪ふざけ以外では。

「分かりました。僕がモリスさんの事を信用しないなんてありえません。この後の事は全て、モリスさんにお任せします」

「ありがとう。君にそう言って貰えるなんて僕も身が引き締まる思いだよ。後はオートカとミレア君にも声を掛けなきゃな。それである程度の成果が出たらいよいよ発表だ。カルア君、【遠見】の応用に次いでまたまた君の名が歴史に刻まれちゃうね。やったね!」

何だろう、全然うれしく感じないんだけど……

「まあ当然これについても前回と同じく、極力君の方に影響が出ないように気を付けるよ。君はもう暫く学生生活をエンジョイしててくれればいいよ。ああそうそう、さっきは厳しい事も言ったけど、そこまで気を使わないといけないのは【圧縮】くらいだから、まあ安心してくれていいよ。もちろん油断は駄目だけどね。だからまあ、やり過ぎない程度に頑張ってね。多分それくらいでも君の名前は学校の歴史に刻まれちゃうだろうからさ」

「はっ、はは……頑張ります」
「よし、じゃあ今日はここまで。って事で僕はそろそろ戻るよ。カルア君、また王都で会おう。それじゃあねええぇぇぇ……」

最後はいつものように声だけ残して消えていくモリスさん。
――はあ、でも今日は真剣に考えさせられたな。
【圧縮】を使う時は要注意、うん覚えた。



バンッ!!

えっ何!?
突然勢い良く扉が開いて――
「そこにいるのは誰っ!? 頭の後ろで手を組んで床に……ってあれ? カルア君?」
「ピノさん? ってあれ? どうしてここに?」

多分仕事帰りなんだろうけど、でもギルドからピノさんの家に行くならこの道じゃないし……

「それはこちらの台詞と言うか……私は仕事帰りよ。ほら、ずっとこの道が通勤コースだったでしょ? だからここを通るのが習慣になっちゃって。そうしたらカルア君の家の明かりがついてたから、これはもしかして泥棒かも――って」

そうだったのか……
近所の奥様方には伝えたけど、ピノさんにも伝えといた方がよかったかな。

「脅かしてしまってすみません。ちょっと錬成で実験したい事があって、それをやってたんです」
「ああなるほど。あっちの部屋よりここの方が広くてやり易そうだものね」
「ええ、そうなんです」
「ふふ、でも泥棒じゃなくてよかった。制圧するのは簡単でも、連絡したり引き渡したりとか――後の処理の方が色々と面倒だものね」

この言葉にもう驚くことはない。
だってもう知ったから。この可愛らしいお姉さんは――バーサクなフェアリーさんだから。

「そうそうカルア君、ご飯はもう食べた?」
「はい、カレヱを。今日も美味しかったです。あ、でもご飯を炊くのは自信が無かったから、今日はパンと一緒に食べたんですよ」
「そっか。もしかしたら一緒にご飯食べれるかなって思ったけど、残念」

僕も残念。そうと分かってたら食べずに来たのに。

「あっそうだ、いい事思いついた。ねえカルア君、簡単にご飯が炊けるように専用の鍋を作りましょうか? カルア君が魔石鍋を作ってくれて、私がご飯が上手に炊けるような付与をすれば出来ると思うの。ね、どうする?」
「それは是非、お願いしたいです」
「うん、分かった。じゃあ早速作りましょうか」

そして――
全自動炊飯鍋、完成しましたーーっ。
それで僕がご飯を炊いて、ピノさんがおかずを用意したら、さあ一緒に晩御飯。いただきまーす。
――ってあれ? 晩ご飯はもう食べて来たって……?



▽▽▽▽▽▽
モリス「危険性は教えとかなくちゃね。でもカルア君はやらかしてこそだよね」
ピノ 「だって一緒にご飯、食べたかったから……」
カルア「うーんピノさんもぉたべられないよお(寝言)」
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