スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第48話 モリスさんにすごく叱られました #2

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ほほーー、魔石、こんなに小さくなっちゃったよ。
大体元の大きさの半分の半分、くらいなのかな? どうだろう?
――って、この反応!?
「カーールーーアーーくーーーーーーんっ!!」

やっぱり。
突然現れるのはいつも大体モリスさん。
――今のところは。

「こんばんはモリスさん。よくここにいるのが分かりましたね」
「いやあ、探したよー。王都中探してもいないから、もしかしたらってこっちを探してみたんだ。そしたら案の定家に帰ってるじゃあないか。何だい、学校は二日で卒業してきたのかい? だったらこれ歴代最速記録じゃあないかな。ちょっと校長に訊いてみようか――ってそうじゃないよっ!!」

ええっと……久し振りのハイテンション?

「さっき僕の想定外センサーがとんでもない反応をしたんだ。それはもう、世界の終焉が訪れたのかっていうくらいのね。それでその発信源であるところのカルア君、君を探して大慌てで跳んできたって訳さ。さあカルア君、怒らないからこの僕に正直に話してごらん。君はさっき、一体何をやったんだい?」

何って――ほんのちょっとした実験、それもただの錬成の実験。

「そんな大した事はしてないですよ? 魔石を【圧縮】しただけですから」

――ってあれ?
またその顔ですか、モリスさん?



「ねえカルア君、君が答えに『だけ』を付ける時って大概何かやっちゃってる時なんだけどさ……それって自覚あるかい?」
「ええっと、それってつまり……?」
「はぁぁ……自覚未だ無し、か。でもまあそれはいいや、もう今更だしね」

あれ? いつの間にか何かを諦められちゃった感じ?
でも今回は本当に大した事は……

「えっとさ、カルア君。取り敢えず『魔石の圧縮』に『だけ』って付けるのはやめとこうか。多分それ、世界で初めての試みだから」

「ええっと……? ああそうか、魔石を錬成出来るようになったのがまだ最近の事だから……確かにそうかもしれないですね」

ミッチェルさんも『出来んかった』って言ってたし。

「全く君はまたそうやって呑気のんきな事を――もうっ! いいかい、君がやったのは『未知の部分』が多い『最新の素材』に対する『最先端の実験』だって事だよ。それをこんな一般住宅の台所でやるなんて――」

「えっと、それって良くない事だったんですか?」
「ば・・・するかもしれないんだよ?」
「えっとすみません、よく聞こえなかったんですけど?」
「ば・く・は・つ! 場合によっては、この付近一帯が爆発で消し飛んじゃう事だって考えられるんだよ!!」
「え? 爆発――って。え、えーーーーーーっ!?」

うそっ、魔石って爆発するかもしれない危険物だったの!?


「まっ、魔石ってそんな危険なものだったんですか!?」
「――もちろんあくまで可能性の話、ではあるけどね」

いや……だとしても……爆発って?

ふぅっと一つ息をつき、そしてモリスさんはゆっくりと話し始めた。
「いいかいカルア君、【圧縮】っていうのはさ、その物を元の大きさよりもギュッと小さくするだろう?」

うん、それはそう――というかそのまんま、だよね。

「土みたいにスカスカの状態のものをビッチリ詰める――これは別にどうって事はないよね。だって空いてる隙間に詰め込むだけだから。じゃあさ、隙間が無い物を更に【圧縮】したら、その物は一体どうなると思う?」

「ええっと……?」

「うん、正解。実際どうなるかは分かっていないんだ。将来もっと色んな研究が進めばきっと分かるようになると思うけど、今はまだそれがどういう状態なのか誰にも分かっていない。唯ひとつ可能性として考えられているのは、『圧縮された状態というのはその物にとって非常に不自然かつ不安定な状態で、元の状態に戻ろうとする力が働くんじゃないか』、という事なんだ。そしてその力が一気に働いた時――、まるで開放されたバネのように……もの凄く大きな力になるかもしれない。そう、まるで『爆発』するかのように」

そうか、それが爆発……って。

「分かったかい? 君にとってはちょっとした好奇心、でも時にそれがとんでもない災害になる可能性もある――って事が」
「……はい」

思い付いたら即実行――はダメ。

「うん、理解してくれてよかったよ。まあでもそれさえ理解していれば、好奇心に従って突き進むのは別にいけない事じゃない。むしろどんどんやるべきだと僕は思うよ」
「えっ!?」

それってさっき言ってたのと逆なんじゃ……?

「――ただね、それをやるにはちゃんとした準備ってのが必要なんだ。周囲に被害を及ぼさないような頑丈な設備とか結界とかさ。それに自分自身に危険が及ばないような工夫だって必要だ」

ああそうか……
一番危険な場所にいるのはその実験をしている人――つまり僕なのか。

「前に君がさ、『ボックスの中に入ったら』なんて話してたのを覚えてるかい?」
「あ、はい」

確かその話って、モリスさんに教わって初めて【転移】を使えた日にした気がする。『【ボックス】の中に【ゲート】で入る事も出来るのかな』って。

「あれを止めたのもそうさ。『入れたけど二度と出られなくなる』なんて可能性も考えられるからね。そのあたりをよく考えて、そうなった場合の対処手段も用意して、周りにサポート出来る人員を用意して――やるならそういう準備をちゃんと整えてからじゃないとね」

「はい、よく分かりました」
「よし、じゃあこの話はこれでお終いっと」

初めてモリスさんに叱られたけど――凄く勉強になったし為になった。
やっぱりモリスさんは一流の研究者で一流の開発者なんだと思う。で、そのモリスさんはここで今日一の良い笑顔を見せ――そしてこう言った。
「ふっふっふっ……さあてカルア君、ここからはいよいよ楽しい話の始まりだ。今日君がやった実験について、その最初からすべてを僕に教えてくれるかい?」
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